上北山村からサンギリ線を進めば,R169を迂回してR425へ接続することができる.R169は交通量が少ないとはいえ,自動車の隊列に引っ掛かてしまうことが多いので,サンギリ線はちょうどいいショートカットコースだ.
とはいえ,行きつく先はR425のど真ん中,坂本ダムなのでまわりにあるのは大自然だけであることを承知しておかなければならない.自販機はもとよりトイレもないので,サンギリ線を進むにあたっては少し覚悟がいる.
舗装はされているものの幅員極小で路面状態があまりよくないサンギリ線を走破すると,坂本ダムの開けた景観が出迎えてくれる.ダムには自販機やトイレがあったりするが,ここには特に何もない.かえって,それが坂本ダムらしくていいと思う.
坂本ダムの堰堤の柵の高さは,オートバイのシートの高さより少し高いくらいなのでなかなかスリルがある.そして,音という概念が無意味に思えるほど,辺りは静まり返っている.この空間だけ時が止まっているような感じは相変わらずだ.
紅葉の時期に坂本ダムへ訪れたのは,初めてかもしれない.辺りの樹木は少し色付いていて,標高の高いところは紅葉がピークを迎えていた.坂本ダムと言えば夏というイメージがあるけれど,紅葉の坂本ダムもきれいでいいと思う.
サンギリ線は寒かったけれど,この辺りはぽかぽかと暖かくて気持ちがいい.それにしても,巨大なダム湖は圧巻で堰堤がとても小さく見える,ダムができる前,大峡谷の姿はどんなだったのだろう.
そして,坂本ダムと言えば朱色の鉄橋が特徴的だ.不動橋や備後橋,出合橋と立派な橋がある.鉄橋の塗装は錆びかけていて,少しくたびれているけれど,貯水池の緑色に染まった水との相性は抜群だ.
橋の上ではオートバイを停めて,何をするでもなく景色を眺めてしまう.坂本貯水池はいつだって,吸い込まれそうなほどにきれいな緑色を呈している.
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