
田原の海岸で海霧を見たあとは,和歌山県r43で山へ向かって北上した.山深くなってくると冷え込みが厳しく,古座川町の瀧之拝太郎という道の駅にて休憩することにした.早朝ということもあって,道の駅には人の気配すらなかった.

休憩を終えて,ほぼ一年振りとなる和歌山県のルートフォーティスリーで山の中に突入した.一年前は今回と逆で,新宮市から古座川町へと南下したのだが,日没寸前での走行だった.その過酷な道程から,しばらくはこの道を走ることはないだろうと思っていたが,人間の記憶力は実に頼りなく,再びこの地を走っていた.

山を登る前の平坦な道を進んで行くと,古めかしい年季の入ったつり橋が現われた.一年前は夕闇の中,急ぎ走っていたので,つり橋の存在に気付きもしなかった.つり橋には,野中と書かれた板が打ってあった.この辺りの地名だろうか.

そして,このつり橋を数歩だけ歩いてみたが,予想以上に激しく揺れるので,対岸へと行くのは諦めることにした.踏み板には,真っ白な霜が張っていた.

つり橋の下には,地図には小川と表記された川が流れているのだが,この川の水の色がとても綺麗だった.水は群青と深緑の中間の様な色を呈していた.この川の色だけは,いつまで見ていても飽きない気がするのであった.

対岸に小さな滝があるところもあって,静かな山の朝,オートバイのエンジンを止めると,川にそそぐ水の音だけが辺りに響いていた.まるでこの世に存在する唯一の音のように.

川沿いの道を景色を楽しみながら,走っていると,ようやく山の中にも太陽の日差しが届いてくるようになった.ここで初めて青い標識が現われた.r43は那智勝浦町へと通ずるが,今回は途中でr45にスイッチし,新宮市熊野町へと抜けることに決めた.

そして,川沿いの道ともここでお別れで,いよいよ道は登り区間へと入っていく.時折,視界に現われる真冬でも青々とした紀伊の山がとても印象的だった.
コメントありがとうございます.
まずは,御無事で何よりです.
わたしは,暗闇の中で走行したことはないのですが,ちょり様のコメントから,現場の絶望的・危機的状況がありありと頭に浮かんでくるようでした
r43は山深いところですので,陽が暮れ出すと,あっと言う間に漆黒の闇に包まれ,心細い思いをされたかと思います.
そして,四輪でr45の分岐点まで行かれたという事で,暗闇の中での幅員1.7メール区間を通過しておられ,本当に大変だったことと存じます.あそこは,昼間でも走行がおっかないので・・・.
また,行き止まりの林道情報についてもありがとうござます.わたしも機会があれば,立ち寄ってみようと思います.
コメントありがとうございます.
ホイールキャップとリムの件,路面状況の悪さが物語ってますね.さらに自動車ですと,あの幅員では走行ラインを選べませんので,拳大ほどの岩の上をいやおうなしに進んで行かれたかと思います.タイヤから精神衛生上よろしくない乾いた音が,頻発していたのではないでしょうか.不幸中の幸いと言いますか,パンクされずによかったです.
ちょり様もライダーでしたか.わたしもまた425号線を走りたいと思っています.
コメントありがとうございます.
わたしも250ccとはいえ,カウル付きのオートバイでr43のような道を走りますと,石ころや木の枝葉が車体にヒットするのがよくわかります.
さらにカウルの内側に,石ころや木の枝葉がたまってしまうなんてことも・・・.
一度,FIランプが点灯してしまったこともありました.お店でみてもらったところ,石ころのヒットが原因でラジエターファンの回路がやられていました.幸い,真冬でしたので,ラジエターファンを使うことがなかったので助かりました.
お店の方からは,路面の悪いところをよく走っていますかと聞かれてしまいました.さすがに,r43や425号線が好きでよく走っているとは言えませんでしたが.
お互い,安全で運転で行きましょう.
ご無沙汰しております.コメントいただき,ありがとうございます.
まずは無事に走破されたとのことで,よかったです.
ちょうど2年越しの二輪でのリベンジですね.
昼間と夜間の両方を走行した人にしか,わからない怖さがあるというのは説得力があります.
当日は天気も良かったと思いますので,紀伊山地の山並みもきれいだったかと思います.
悪路・廃墟・絶景と三拍子そろった道程の2時間におよぶ走行,お疲れ様でした.
わたしも暑くなる前に再走したいと思っています.