(前回のお話の続き)
ゲボ爺「えー、オホン…ッ! エキサイティングなところすまんが、ここはひとまず食事にせんかのう。」
「空腹で議論するとろくな結果にならない…。何かうまいものでも食べながら、じっくり話し合ってみるのもよかろうて。」
…
テヨ姫「そうね、王国のコトノハ奉行の娘…い、いえ旅芸人の片割れともあろうものが、少々取り乱してしまいましたわ。」
デス太郎「フッ…。そのしゃべり方は芸風か。」
「…駅から少しいったところに、伝説のすた丼屋があるから、俺はそこで晩飯をいただく。そちらさん達もそれでいいな?」
ゲボ爺「何じゃと、伝説とな!? この地方に伝わる料理なのか? それは楽しみじゃわい。」
デス太郎「伝説は屋号についた枕詞みたいなものだが…それはいいとして、結構ウマいからまあついてきな。」
……三人は駅の方へ向かって歩いていきました
(すた丼の店内にて)
デス太郎「俺は『すた丼の油そばセット』を。」
テヨ姫「アタシは『ミニすた丼のデザートセット』にするわ。」
ゲボ爺「ワシは『すた丼の餃子セット』にするかな。」
…
ゲボ爺「若いの、酒は飲まんのか?」
デス太郎「何かイベントや特別な祝い事の席でしか飲まない。酒には結構弱い性質(タチ)なんでね」
…
テヨ姫「にんにくをつけて食べるとまた違ったおいしさがあるわね」
デス太郎「お姫様といっても飽くなき食への探究心の方が勝ったようだな。」
…
ゲボ爺「ワシらは姫にお仕えしながらこうして諸国を旅しておるのじゃ。」
…
デス太郎「何?姫僕漫才?そいつは新しい芸風だな!はっはっは!」
…
(こうして三人は食欲も満たされ、楽しい時間が過ぎていくのでした)
デス太郎「さて、腹もいっぱいになった事だし、そろそろ行くか。」
ゲボ爺「なかなかの美味であった。しかし思いだすのう、我が城に伝わる伝説の料理を…。」
(帰路につく三人)
デス太郎「…で、それってどんな料理なんだ?」
ゲボ爺「その名も『極上の旋律を奏でしテールスープ』じゃ。さすがのすた丼の旨さもこれには敵うまい。」
ゲボ爺「…もう一度言うが『極上の旋律を奏<でしテ>ールスープ』じゃて。」
デス太郎「『でして』…ああその『でして』か…。」
「それならコピュラ動詞である『です』と違って、『奏でし』は一般動詞『奏でる』の変化したただの述部だから…別口入力には関係ないから。」
ゲボ爺「ほへっ?」
デス太郎「まっ、さぞや美味いスープなんだろうな。へへっ。」
デス太郎「…ところで、その伝説のテールスープを、実際に味わったことはあるのか?」
ゲボ爺「何を申すか?お城の書庫に眠っている古文書にはそう書かれておるのじゃぞ。それはそれは極上のスープで…」
デス太郎「いや、その書物を手に取って読んだのか?」
ゲボ爺「いや、調理長が宴会の席で大仰にのたまっていたのを好奇心で聞いておっただけだったが、あのご講説は本物じゃったですぞ。」
デス太郎「…じゃあ、それはあんたが直接見聞きしたものじゃないんだな?」
ゲボ爺「まあ…そうじゃがの。」
…それを聞いたデス太郎はやれやれと言った調子で諭すように言いました。
デス太郎「爺さんよ、それは「極上の旋律を奏で<し>テールスープ」ではなくて「極上の旋律を奏で<ける>テールスープが正しい言葉の使い方だからな。」
「…過去をあらわす助動詞『き』と『けり』には微妙な違いがあって、その使い分けがあやふやなケースがよくみられるんだよ。」
「『奏で<し>』の<し>は『き』の連体形で、『き』は自分が直接経験した過去、体験過去をあらわすのに使う。」
「一方<けり>は伝承・伝聞の過去を回想したときに使われ、その連体形は『ける』だ。」
「御大層な料理を紹介したいのならせめて事実にもとづいた発言をすべきだったな。」
ゲボ爺「うぬぅ、伝説のテールスープはあるんじゃあ…確かに存在したのじゃよ…くっ。」
デス太郎「さて、駅についたぞ。機会があったらまた会おう。」
こうして一行は駅で別れて、それぞれの帰路へと向かうのでした。
…
…
…
心地の良い涼風に吹かれながら、デス太郎はすた丼屋でのテヨ姫の一言を噛みしめるように思い出します。
…"[て]キーが無いのなら、作ってしまえばいいじゃない"
デス太郎は歩きながらひとり呟きました。
「[て]キーを新設するとなると、レイアウトとか色々帳尻合わせをしなくちゃならないな…。」
「これはまた、面倒なことになったもんだな…。フッ…。」
(お話はこれで終わりです)
ゲボ爺「えー、オホン…ッ! エキサイティングなところすまんが、ここはひとまず食事にせんかのう。」
「空腹で議論するとろくな結果にならない…。何かうまいものでも食べながら、じっくり話し合ってみるのもよかろうて。」
…
テヨ姫「そうね、王国のコトノハ奉行の娘…い、いえ旅芸人の片割れともあろうものが、少々取り乱してしまいましたわ。」
デス太郎「フッ…。そのしゃべり方は芸風か。」
「…駅から少しいったところに、伝説のすた丼屋があるから、俺はそこで晩飯をいただく。そちらさん達もそれでいいな?」
ゲボ爺「何じゃと、伝説とな!? この地方に伝わる料理なのか? それは楽しみじゃわい。」
デス太郎「伝説は屋号についた枕詞みたいなものだが…それはいいとして、結構ウマいからまあついてきな。」
……三人は駅の方へ向かって歩いていきました
(すた丼の店内にて)
デス太郎「俺は『すた丼の油そばセット』を。」
テヨ姫「アタシは『ミニすた丼のデザートセット』にするわ。」
ゲボ爺「ワシは『すた丼の餃子セット』にするかな。」
…
ゲボ爺「若いの、酒は飲まんのか?」
デス太郎「何かイベントや特別な祝い事の席でしか飲まない。酒には結構弱い性質(タチ)なんでね」
…
テヨ姫「にんにくをつけて食べるとまた違ったおいしさがあるわね」
デス太郎「お姫様といっても飽くなき食への探究心の方が勝ったようだな。」
…
ゲボ爺「ワシらは姫にお仕えしながらこうして諸国を旅しておるのじゃ。」
…
デス太郎「何?姫僕漫才?そいつは新しい芸風だな!はっはっは!」
…
(こうして三人は食欲も満たされ、楽しい時間が過ぎていくのでした)
デス太郎「さて、腹もいっぱいになった事だし、そろそろ行くか。」
ゲボ爺「なかなかの美味であった。しかし思いだすのう、我が城に伝わる伝説の料理を…。」
(帰路につく三人)
デス太郎「…で、それってどんな料理なんだ?」
ゲボ爺「その名も『極上の旋律を奏でしテールスープ』じゃ。さすがのすた丼の旨さもこれには敵うまい。」
ゲボ爺「…もう一度言うが『極上の旋律を奏<でしテ>ールスープ』じゃて。」
デス太郎「『でして』…ああその『でして』か…。」
「それならコピュラ動詞である『です』と違って、『奏でし』は一般動詞『奏でる』の変化したただの述部だから…別口入力には関係ないから。」
ゲボ爺「ほへっ?」
デス太郎「まっ、さぞや美味いスープなんだろうな。へへっ。」
デス太郎「…ところで、その伝説のテールスープを、実際に味わったことはあるのか?」
ゲボ爺「何を申すか?お城の書庫に眠っている古文書にはそう書かれておるのじゃぞ。それはそれは極上のスープで…」
デス太郎「いや、その書物を手に取って読んだのか?」
ゲボ爺「いや、調理長が宴会の席で大仰にのたまっていたのを好奇心で聞いておっただけだったが、あのご講説は本物じゃったですぞ。」
デス太郎「…じゃあ、それはあんたが直接見聞きしたものじゃないんだな?」
ゲボ爺「まあ…そうじゃがの。」
…それを聞いたデス太郎はやれやれと言った調子で諭すように言いました。
デス太郎「爺さんよ、それは「極上の旋律を奏で<し>テールスープ」ではなくて「極上の旋律を奏で<ける>テールスープが正しい言葉の使い方だからな。」
「…過去をあらわす助動詞『き』と『けり』には微妙な違いがあって、その使い分けがあやふやなケースがよくみられるんだよ。」
「『奏で<し>』の<し>は『き』の連体形で、『き』は自分が直接経験した過去、体験過去をあらわすのに使う。」
「一方<けり>は伝承・伝聞の過去を回想したときに使われ、その連体形は『ける』だ。」
「御大層な料理を紹介したいのならせめて事実にもとづいた発言をすべきだったな。」
ゲボ爺「うぬぅ、伝説のテールスープはあるんじゃあ…確かに存在したのじゃよ…くっ。」
デス太郎「さて、駅についたぞ。機会があったらまた会おう。」
こうして一行は駅で別れて、それぞれの帰路へと向かうのでした。
…
…
…
心地の良い涼風に吹かれながら、デス太郎はすた丼屋でのテヨ姫の一言を噛みしめるように思い出します。
…"[て]キーが無いのなら、作ってしまえばいいじゃない"
デス太郎は歩きながらひとり呟きました。
「[て]キーを新設するとなると、レイアウトとか色々帳尻合わせをしなくちゃならないな…。」
「これはまた、面倒なことになったもんだな…。フッ…。」
(お話はこれで終わりです)