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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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アルファベット+促音の単語・表現いろいろ

2018-10-12 | ジャンル横断的な問題

「イッヌ」…ネットを見てると時々目にする言葉ですがこれはローマ字入力だとどうやって入力すればいいのか一瞬悩んでしまいますよね。
打鍵的にはiltunuやixtunuで打てばいいのですが促音の直後の文字列(子音)を2度続けてタイプするというローマ字入力特有の事情が抱え持つ"盲点"を体現したかのような文字列であります。
このようなものだけにとどまらずヘボン式や訓令式のものとはまた違った独特の「ワープロ式」のタイピング規則は表記さばきを一意に決めたいがゆえの苦労も垣間見えるところですが、促音、長音、撥音などアルファベット体系とは別物の異質なファクターを一抱えに飲み込むというのは今の入力事情からすれば割り切れなさが残る感があるのは否めません。

しかし、こういった問題もペンタクラスタキーボードなら難なくクリアできてしまいます。(もちろん一応かな入力方式でやれば問題ないのですが)
よく検討してみると先述の「イッヌ」やカイジのセリフの「圧倒的感謝っ!」みたいな促音つなぎの終端が特殊である例はローマ字入力では概してウイークポイントであるようです。
有利に思えるかな入力はかな入力で濁音・半濁音の入力時は二打鍵となり時として煩雑な事や数字の入力もモード切替が必要であるなどなかなか一筋縄ではいきません。
このように従来の入力方法はもともと英語圏で使うことに最適化された物理配置を無理くり日本語であてはめて運用しようというものですから、どだい無理が出てきます。

ペンタクラスタキーボードでは[かな/アルファベット]がそもそも完全分離されておりますのでかな入力でさえもできないような表記の便宜をスムーズに解決してくれる(はず)です。
混乱の要因は日英混在・兼任のキー割り当ての未分化からきていること、これに尽きます。
[かな/アルファベット]がそもそも完全分離で何が変わるのか、の大きな議論はあるかとは思いますが、以前も説明したので割愛しまして今回は冒頭の言葉にちなんで少し関連したトピック…
「アルファベット+促音」の語に関して述べていきたいかと思います。


以前の過去記事、
アルファベット/日本語混在入力に強い(2) - P突堤2
内においてもチラッと出てきましたがちょっと補強しつつ振り返ってみましょう。

[アルファベット+促音の単語・表現いろいろ]
TVっ子 Mっ気 Mッフィー Mッキー BックをOフにしている店 みるみるUPっぷ↑↑

よく使われる/結構マニアックなのかどうなのかは別にして従来の入力方式だとモードの切り替え等でなかなかもどかしい変換になる語群でありますがこんなのもペンタクラスタキーボードでは難なくこなせる例です。
あるいは文末の装飾ニュアンス的なものだと

オロナミンCッッッ! ももいろクローバーZぇぇぇっと

みたいなものもあるかと思います。「っ」ばかりではなく小文字母音「ぁぃぅぇぉ」のものも含めて考えてみることができますね。
さらには「--ぷり」「っぽさ」のような文法要素や別口入力でもある「と」「て」などとの結合、あるいは口語的な語尾などの例:

GREATっぷりに痺れた Mっぽさ HUGっと!プリキュア Rって本当? C#っちゃあC# ggってみたら

なども促音結合例のバリエーションとして押さえておかなければなりません。
こちらは文法的機能や別口入力の助詞とのカラミでもあるので単に名詞単語として認識するのではなく、構文解析上や別口要素付加物として多少ややこしくなるかとも思いますがアルファベットととの境界はハッキリしているので余計な混乱を招くこともないかと思います。
「C#っちゃあC#」の例ですが「っちゃあ」はともかくアルファベット部分のC#のように記号が混在している場合でも同列に処理していけば良いので例えばF1のような数字の場合でも問題なく処理できるのではないでしょうか。


さて、ペンタクラスタキーボードの根本に立ち返って概観してみると「キーが多ければそれはそれでいいことだ」ということは素直に受け取って良いメッセージなのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
浅慮を承知で言いますと日本語のかなの体系は英語のそれとは違ってモーラ[注1]の一文字一文字が立っていますから…つまり英単語におけるアルファベットは例えて言うのなら漢字の部首みたいに部品としての構成要素の側面が大きくて、一文字一文字の粒度は砂絵のように粒は揃っているが文字列処理にとってはどれも等価な扱いのある粒様となっているのが大きな特徴だと私は考えます。
対して、日本語のかな文字一単位はもちろん単語の構成要素の一部品としての存在もありますが単文字助詞「で、に、を、は」としてや接尾語接頭語として「化」や「非」「氏」など機能関連的広がりがみられたりしますし、
さらにはサ変動詞連用中止法の「-し」などのように単文字であっても意味上重要な働きをするものもあります。
何が言いたいのかというと一チャンクの単語中の部品(フラグメント)としてではなく、一文字の意味が文法関係~語彙関係にわたる機能性マーカーとしての綾をその織物素材になしているので「ひと粒の粒度」のシナジーが立体的に広がった、こう、何か別種の粒様ではないかと思うのです。
当然の帰結として「かなとしての一文字」の重要度は増すことになり、アルファベット粒度で分断される(=ローマ字入力)のは言語本来の良さを殺してしまっているということなのではないでしょうか。
「でにをは別口入力」が成り立つその礎も、「かなをかなとして打てる、アルファベットはアルファベットとして打つ」この基本の構えにたどり着く事と同時に、知れば知るほどその良さを反芻しながら再確認せずにはいられません。

キーが多い事、つまりタッチタイピングという観点では不利にならざるを得ないものなのですが元より現在広く普及しているオフィスユース、メインユースのタイピング環境に正面から対抗しようなどとは想定していませんので今さら物理配置の違いについて遠慮するということもないです。
どちらかといえばパーソナルな文章入力編集ツール、あるいは検索語やファイル名タイピングをちょっと独特で創作的なスタイルに柔軟に対応してくれる、オルタナティブで補完的な立ち位置のインターフェイスとしてやっていければと考えていますので、ペンタクラスタキーボードが抱えるちょっとした逸脱も新たな適者生存を目指したうえでのひとつのガラパゴス進化であります。
ちょっと訳の分からないことを言っているので具体的に何が言いたいのかを申し上げますと、

・確かにキーが多いのはやっかいだが適度なリズムで「でにをは別口入力」をはさむので打鍵の流れがよどんでいる…と感じることが体感的に少ない。

これは錯覚かもしれませんが「あ・い・す・く・り・ー・む」と入力するところが例え手探り感満載であったとしてもその後に「を」食べる、「が」うまい、などのように続く助詞が「間を埋めるように」すぐ押せるということ、慣れればとりあえず迷いにくい別口入力部で親指担当の打鍵をすればいいというのがパターン動作になるということを見出しているのです。
これによってたとえ実時間で大した効率がなかったとしてもユーザー体感のストレスはぐっと減るのだと期待しています。
単語のように意味のひとかたまりの動作は中断せず一連の動作で打鍵することができて、一区切りついた手間の終わったところで習慣性の強い「でにをは」動作でパターン化すれば集中と緩和のトータルバランスが優れているのではないでしょうか。
そもそも「でにをは」までタイプしてひと休みすることは理に適っているのですが、固有の単語の入力途中でいきなり小休止を入れるなどといった打鍵は考えにくいですし一度走り出したら単語部分完遂まで一気に打ってしまおうとするタイプ感というのが人間原理的に染みついていますのでその論法に倣うのならペンタクラスタキーボードのそれはより自然な打鍵リズムをサポートする物理システムではないかと思うのです。
さらには

・キーボード盤面の液晶画面で入力中の文章を表示するようにすれば何もタッチタイピングにこだわることもない

というのがあります。打鍵時に手元を見るのは自然なことでそちらに合わせて機械の方が人間に寄り添えばいいのではないか…というのは別に何も大それたことを言っているようには思えません。
現にMacBook Proではタッチバーの機能が非常に便利にはたらいていますし、ペンタクラスタキーボードの液晶画面のようにより思い切って広く領域をとればやれることも可能性が広がっていくことに疑いの余地はありません。
もちろん文章の編集全体像をつかむのにはメインディスプレイに敵うものはないのですが、ローカルの文字列入力確認程度のところでは手元を見ればすぐわかる手軽さというのは今まで見落としていたソリューションであると私は考えます。


今記事はなんだか[アルファベット+促音]のトピックからずいぶん脱線してしまいましたがお陰でモヤっとしていたところがうまく言語化できたのでむしろよかったかな…と勝手に思っています。
一応タッチ液晶部の表示をいくつか改めなくてはならない課題も残りましたが、何にしろ当初の「イッヌ」をきっかけとしてここまで議論が発展できたのでむしろ多キー配置のメリットのくだりがここでは真の本題とすることにします。
カテゴリは最初「かな84キー+記号キーがある事の利便性」にしようと思っていましたが、色々盛り込んでしまったので「ジャンル横断的な問題」の方にしたいと思います。あしからずご容赦ください。


※10月18日一部修正
文中の[注1]としてある部分は元々「シラブル」としておりましたが修正して「モーラ」に訂正することといたします。
かなの一文字一文字に着目しているのはモーラ(拍)の考え方の方が適切でしたのでそちらの方を使います。よろしくお願いします。


<2021.4/26追記事を投稿しました>

イッエーイ!モンヘァンのイッヌ、ぶっ生き返すぜー! - P突堤2

本稿で論じた事柄をさらに発展・考察をして関連記事を書きました。
よかったらそちらも見ていってくださいね。

 


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