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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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[なの]を複合別口入力にしちゃえばいいのでは

2019-07-10 | 別口入力にまつわる諸問題

助詞ほかを別入力するという発想で文の構成要素の区切り目をハッキリさせて誤変換を根本から軽減させようという目論見の『でにをは別口入力』。
基本の別口入力には、(はがものだへをなのかでsやにとで)に加えてル形動詞の(○R/×r)を設定し、
さらにその後のキー新設で(て/し/Ø文字マーカー)を充てることとなり、3つできた機能キーのうち①②はインターフェイスのためのキーとなり用途は埋まってしまいましたが、
残る③キーはいままでどれを別口入力に採用しようか吟味があった末にユーザー定義キーとして前述の検討候補の中から選択を委ねることとなったのが当初までの流れです。
残った有力な別口入力候補を今一度ここで挙げてみますと

A.過去の助動詞/過去形の語尾[た]、
B.ル形動詞命令形語尾[れ]、
C.形容詞連体形/終止形[い]、
D.生産力の高そうな接尾辞3種([さ][み][げ]のアソート・文脈に応じて適宜可変のワイルドカード)
の4種類がこれまで挙がっています。

もちろん一定の議論を経てすでに新設キーでの採用が決まったキー群
X.接続助詞/動詞活用形テ形のマーカー「て」
Y.主にサ変動詞の連用形「し」ほか、「し」がらみの同音弁別全般で臨機応変に役立てる「便利キー『し』」
Z.打鍵のためのキーではなくメタ情報をやりとりする、区切り情報をマーキングする「Ø文字マーカー」
の3つについては特に必要性が高いであろうとの判断で標準で搭載することになりました。
※ここまでの流れは過去記事
新別口入力の空きを3つに増やしそのうち[し]と[Ø文字マーカー]は採用の方向で…レイアウトも変更 - P突堤2
にまとめてあります。(一部キーレイアウトが古いのはご容赦ください)

上記A-Dの4種については惜しくも選考に至らなかった経緯もあり、X-Zの3種に比べると喫緊の決め手というのに少し欠けているということで
後はユーザーの好みに任せるという成り行きになりましたが、実際にテスト検証する術もなく思考実験頼みという実情ですので、
正直どれが最も妥当なものであるかの判断・評価はこうしてお茶を濁すしかありません。
最終形は責任をもって1つに絞るのがよい…というのも案外私の勝手な思い込みで、わからないならわからないままユーザーに選んでもらう作りというのが押しつけでなく手段を提供するという現代向けのスタイルなのではないかと勝手に期待しております。
もちろん設定ひとつで入力システムの挙動や仕様ががらりと変わってしまって良いのかという不安要素はありますが、ゼロ文字マーカーなどの特に特殊な機能は案ずる前に堂々と標準に組み込んでおいたうえで、それなら残りの別口入力候補などはいくらかマシであろうとの楽観も交じってはおるところです。

ここでタイトルの"複合別口入力"ですが、ユーザー選択のA-Dの4種だけでは少ないと思い、別口入力が2つ連結した[なの]を新たに選択肢に加えてみよういうものです。つまりA-Eの5種ということです。
単文字助詞は大体網羅したもののここまでの4種では活用形の語尾や接尾辞3種アソートなどすでに曲者揃いの別口入力がラインナップされておりますがここへきて複合別口入力というまるで軽業師みたいなのが出てきました。
事ここに至ってはマーカーというよりは省入力のための別口入力がついに出現したとも言えなくはないです。
しかしこの複合別口入力[なの]を提案せざるを得なかったのには切実な理由があります。
そもそも別口入力は単文字の助詞(「は」「も」など)から出発し、形容動詞連体形活用語尾「な」、形容動詞終止形活用語尾またはコピュラ動詞「だ」、そして可変的でもある丁寧コピュラ動詞「でs」その他etc...
いろいろ増やしてきたのはいいのですが、助詞の別口入力について回る苦手パターン「複合助詞」をどうするのかが悩みの種になってきます。
助詞の複合ぐらいでしたらせいぜい2文字程度の連結で済みますが、ナ形容詞の「な」を取り込んだ影響もあって、「3文字連結/複合」の「長尺別口複合パーツ」(この場合は何と呼んでいいのか)ができてしまうのです。
これはキーボード下部の別口キーのゾーンでの連続打鍵を与儀なくされてしまい、大変に具合が悪いのです。
具体的に例を挙げますと、
なのを なのが なのは なのに なのと なのや なので なのも なのな なのか なのだ (別口入力同士の3連複合)
があります。
他の別口入力の複合傾向を比べてみても、この「なの」が起点となって複合するパターンが特に豊富で「なの」自体が一体化しているとみなせる様相を帯びています。
これには文法的考察をすこし足してみますと、「の」が格助詞ではなく準体助詞として機能しているときにより一体度が増しているような気がします。
つまり同じ別口複合パーツでも、「とか」「だと」「かを」みたいな連結は個々の独立性が高いニュアンスがありますが、
「なの」の場合の連結は形容動詞はいいとしてコピュラ動詞「な」の連体形は準体助詞との関わりが特に密接であるように思えます。
あとは別口入力ではないものの、日本語に豊富にある終助詞との接続においても
なのさ なのよ なのね なのかしら なのざます
のように文末のキワでいろいろマーキングが役立ってきそうな雰囲気はしてきます。
いずれにしても、他の助詞の複合で「でもが」「にとを」みたいになるというのは考えにくいですし、「なの」に関して言えばその先も助詞がもう1個余分につけれそうな期待感は存分に漂ってきますね。
省入力のためにわざわざ特別のキーをしつらえるのもナニかもしれませんが、ユーザー選択式の要定義パーツですし何より頻出表現でもありますからこうして採り上げることにも意味はあると思います。

「なの」を別口ユーザー定義キー③で役割を受け持たせ、ユーザーの好みで自由に組み込むことができることで使い勝手の納得感も得られる方策であってくれればよいのですが…
標準で入れたい気もしますがやはり省入力は破格ですのでこうしてオプションにとどめる程度に抑えておきたいかと思います。


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