知恵滋味感じられるような設計にしたい…常日頃、こんなことをペンタクラスタキーボードのカラクリ設計をしながら考えています。
「滋味掬すべき」(じみきくすべき)っていうのが最近のお気に入りの言葉でして
この「滋味」=持ち味がにじみ出ることによって感じるおいしさっていうのがいいんですよね。
受け身の感受性ではなくてこちらから探りを入れる気づき、
背後にある作り手や提供者の意図が使っていくうちにわかるような奥深さ、首肯合点がいく納得感
っていうのが大変にドラマティックなのですよ…言葉は地味ですけれど。
この奥行きのある語感に引っ張られて、ついつい造語フレーズを考えてしまいました。以下ご覧ください。
・知恵滋味感じるインターフェイス
・おもてなし滋味感じるアメニティ
・デコ滋味感じる縄文土器の装飾文様
・レシピ滋味を感じる分量設定
・加藤清正が築いた築城滋味感じる難攻不落の熊本城
・工場で「○○ヨシ!」みたいな安全確認っていらなくね、と思っていたのが実は正しい動作への誘導を促し致命的なエラーを回避するためによく練られて作られた合理的な手順だとわかったときのような手順設定滋味を感じるルーティン
この例では製作意図を推し量って理解するニュアンスの表現に絞っていきましたが、人物の品格や芸の熟練度などの高みを評するときにも使われます。
"○○滋味"という単一の複合語にしてコンパクトにあらわすというのが当世風で良さそうなのでありますが、長いフレーズや語呂の良さをとりたいときは
滋味が溢れていて・滋味を感じる・滋味に感じる
みたいに適宜助詞を挟んでいっても構いません。元々は味覚の表現であったものですが拡張的に慣用しようということであります。
まあ、何だか偉そうにのたまっておりますがこれはゆる言語学ラジオで知ったスティーブ・ジョブズの言葉「Connecting the dots」(点と点を結び付ける)からヒントを得て思いついたものであります。
壮大なる伏線回収、点と点が思いもよらなかったところでつながる…堀元さん曰くコネクティングザドッツみがあるねー、なんていう使い方にユニークだなーと感心したものです。
拙案の「○○滋味感じる」では、伏線回収に重きを置くのではなく、「○○滋味」とすることで対象分野・トピックの提示が自然に導入できるイディオムとなっておりますので
より話題を転がしやすく使いやすいものとなっているというのが自慢です。…言葉は地味ですけれど。
さて今回は設計理念を見据えたつもりのただの雑談になってしまいましたが
良かったら皆さんもこの言葉使ってみてはいかがでしょうか?なんてありきたりのクリシェでは終わらせませんよ。
なぜならペンタクラスタキーボードには「接尾語(を含む語句)の変換」(三属性変換ハ万)というのがあるのですから。
皆さんが「○○じみ」と打ち込んでハ万キーを押したら、もちろん筆頭変換候補に「--滋味」があがってくる…これはマストです。
接尾語に当たる語を単漢字変換でいちいち探し出すのは大変な労力です。(あるいは膨大な変換候補の中から)
それに一見穏当そうに見える「地味」のほうの候補を出すにしても、これが語尾末端で使われる接尾語とは自覚すらせずに、単にパーツの連結というだけで「--地味」なんて言う結び方をする語句が成立するなんていうやっつけ仕事では語句の性質を御するというには致命的に観察不足であります。というよりもはや怠慢の域でありますね。
三属性変換に抜け目なく「--滋味」を格納しておけばこれはもちろん接尾語片を含むチャンク全体が収まり良く、しかも語尾であるということをキッチリ自覚しながらユーザーに変換候補を提示するわけですからまさにこれは人力による労力の賜物であります。
このような知恵の宝石を一つ一つ地道に収集し格納しインターフェイスに反映していくこと…これが何より大切ですね。
もちろんこのブログでひねりだした数々の言い回し/造語などもバシバシ織り込んでいくつもりですので今後も三属性変換の作り込みによりいっそう精進していきたいと思います。