黒パンダ団 港街支部

掌動などフィギュアのブログです。
旅や酒場放浪記も時々あります。
人生七転八倒。

キーパーソン

2013-05-11 | その他




「ここは、アンクもいた方が話が早いと思うので、彼と分離しておくわ」

女錬金術師ウォカーレの言葉が終わるやいなや、アンクの姿が重なり現れる。
アンクはすぐに高い場所へと飛ぶ。





「ふん、俺はずっとこのままの方がいいんだがな」
「いつ裏切るかわからない存在を放し飼いにできるわけないでしょ」

その言葉をまったく聞いていないように、アンクの目は一点に向けられる

「ぶっさいくなオニがいるなー」
「なにーなんだと、この野郎!!!」




「アンク、なんてこと言うんだ」
「この片腕野郎、また虫捕り編みで押さえ込むぞ」
「ふん」
「まぁまぁ~」





間に入る映司。

「あ、そういえば、お礼言ってませんでしたね。
 あのときは助かりました。あなたのメダルのおかげで
 タマシーコンボになれました」

ぺこり、と丁寧に頭を下げる映司。

「お、おう・・・まぁな。」

「バカが。」
「さすが、映司くんね。見事に話の腰を折るわね…」

・・・・微妙な空気が流れる。

「で、なんでこの馬鹿オニがいるんだ?」

「あら、アンク、あなたが会いたがっていたんじゃない。
 私の中で、ずっと考え込んでいたじゃない」

「ちっ、人の考えを読みやがって・・・」

ちっとも話が見えず、ぽかんとする映司とモモタロス。

「私が話した方がいいみたいね・・
  『なぜ、グリード以外からコアメダルが出たのか』
 アンクはそればかり考えていたわ」

「あーーーそういえば…モモタロスさんはグリードじゃないですよね」

「・・オレはイマジンだ。グリードなんてけったいな存在じゃねえよ」

錬金術師ウォカーレが続ける

「アンクが考えた結論は、
 『グリード以外からでもコアメダルが出せる…それは元からコアメダルが
  あるのではなく、何かをコアメダルに変えられるのではないだろう』

 ということ…アンク、それで合っているわね」

憎々しげな顔でアンクは答える
「ふん、腹の立つ女だ。」

「え、そんなことが出来るのですか?」

全く理解が出来ていない映司。

「・・・モモタロス、あなたはこの世界の存在ではないわよね」










「ああ、オレは…イマジンは、この世界というかこの時代の人間じゃねえよ。
 良太郎に曳かれたこの世界に来たとき、元の世界の自分と全然姿が違ったから、
 あーオレはこの世界では人間以外なんだ、って思ったわ」

「・・・あなたもけっこう賢いわねモモタロス。外見からは思いもしなかったわ」

「なんだと、このクソアマ!!この世界の女はどいつもこいつも~」



「えーーーーモモタロスさんは人間なんですか!!」

突然大声を出す映司。その声に驚くモモタロス

「バカヤロー、突然大声出すな!

「・・私の考えはね…モモタロス達イマジンは、その時代の人間の中でも精神力の強い存在。 
 この時代には、精神だけが引き寄せられたのだと思う。」

「・・・ああ。それは正しいかもな。良太郎の想像力がチンケだから、
 こんな姿になっちまったんだと思う。カメやらクマやら、良太郎のレベルだわ」


ウォカーレは誰かに話すのではなく、独り言のように続けた。

「精神エネルギーが、この世界で形作られた。ならば、また形を変えて、コアメダルに
 なったのかもしれない。」

「このオレ様が、ころころ変わるのか?ライダーには変身するけどよ…」

「あのときの映司とアンクの思いが良太郎のイメージ力よりも強く、コアメダルを欲した。
 精神生命体のあなたが、それに協力した…というのは、どう?」


アンクが割って入る

「ふん、こいつが協力なんぞ、するかよ」

「うっせいぞ、片腕!!」



しばらく沈黙が流れる。
映司がぽつりとつぶやく。

「じゃあ、その“精神エネルギーとか精神生命体”をみつければ、コアメダルになるのですか?」

ウォカーレの口元が丸くなる

「一足飛びに、そこに行くのね…」
「えっ?」

アンクも驚きの表情を隠せない。モモタロスはわかっていないようだ。

「私が思うに、グリードというのは“生きたい”という生命のエネルギーが始まりだったのでは
 ないかしら。進化に行き詰まった昆虫や、海中から出られなかった海生生物。大型化して生き残ろう
 とした草食動物、それを捕食する肉食動物もまた行き詰まった生命体。彼らの精神エネルギーを固めた
 ものがコアメダルだったとしたら…」


アンクが何もない空を見つめながら続けた

「純粋なグリードは、9枚揃うことを考える。まず、完全体なりたかった・・その先は考えていなかった…
 生き残りたい、それ以外の思いは…、…欲望は最初は何もなかった気がする…」







アンクの言葉からはどことなく寂しさが感じられた。

「そのうち、妬みを身につけ、愛情をほしがり、食欲を高ぶらせ、自分を誇示する それぞれが少しずつ
 自我を持つまで、どれほどの年月がかかったのか・・・」

映司が寂しそうに語りかける

「アンク、お前がほしくなったのは、なんなんだ?」

「うっせえ、バカ!」




しばらく間があき、モモタロスがつぶやく。

「よう、オレには今ひとつ、わからないんだけどなー。コアメダルがたくさん集まったら、
 何かになるのか?」

アンクが答えるわけがないので、映司が考え込む。

「大量に集まるとすごい力を発揮したけれど…暴走もしたから。そう考えると危ないなー。」

アンクも続けて答える。

「量じゃあない、多くの種類があれば、もしかしたら…」

話した後、しまったという顔つき。

「あ、アンク・・」

「片腕~どうなるんだ?」

「アンクどうなると思うの、あなたは。」

「ふんっ、知るか!」 


……アンクが求めるもの、それは人間になること。そのためには様々な種類のコアメダルが必要。
  コアメダル=欲望で、数え切れない欲望のエネルギーが人間そのものではないかとアンクは
  考えている。それが正解かどうかはわからないけれど、多種のコアメダル=精神エネルギー
  の集合は、私の計画に役立つはず・・・・



「強力な精神エネルギーの存在を、コアメダルに変えていき、それを貯めること、が今のアンクの
 計画よ。様々な精神生命体…妖怪や怪物、悪魔と呼ばれた存在をアンクは探そうと考えている」

映司がまた大声を出す

「あー、いつか出会った、デビルバスターっていう人が言ってた。
 『デジタルデビルという悪魔を倒すと魔ッ貨が手に入る。』って…魔ッ貨ってメダルか~」

「あいつは言ってたよな『悪魔は魔ッ貨を好む』と。悪魔や化け物を殺しまくれば…」

言葉を切り、アンクはちらりとモモタロスを見る。
さすが、すぐにそれに気づくモモタロス。

「片腕~オレを殺す気かぁぁ~」

「アンク、それはダメだよ。モモタロスさんはいい人なんだから」

「ふん、こんなヤツの汚ねえメダルはいらねえよ。こいつの仲間のもな」

「なんんだとおおおおおお」







緊張感は消え去ったが、ウォカーレの思考は続いていた。

……アンクは気づいているのかしら・・・この火野映司の存在そのものが…ことに。

思索にふけっていたせいで、気づくことに一瞬後れをとった。



百戦錬磨の二人はいつの間にか近寄ってきた存在を即座に察知した。

「おい、片腕野郎、あれはお前の知り合いか?」
「いや。」

二人とほぼ同時に映司も察知していた。

「じゃあ、敵か」
「知らないヤツは、ほとんど敵だな」


二人の声に映司とウォカーレが二人の見る方に目を向ける。

「あいつ、歩いてきたんじゃねぇ」
「飛んできたわけでもない。噂をすれば、か?」




しかし、映司がまた大声を出し、緊張感を吹き飛ばす。

「ああああああ、確か、ウィザード、仮面ライダーウィザードだよね!!」
「お久しぶりです。オーズ…ではなく、火野映司さん。」




「ちッ、知り合いか。」
「ん、こいつも仮面ライダーか??」

「いつぞやは、お世話になりました。」
「いやいや、こちらこそ。で、どうしてこんなところまで?」

ウォカーレの表情にかすかに緊張が走る。それをアンクは見逃さない。


……あれは・・魔法使い・・復活したの? 私たち錬金術師とは似て非なる存在。
  まさか、彼も気がついた…ということは、火野映司は…


……コヨミちゃんは現在は人間とはいえない存在だ。彼女を人間に戻すには・・
  火野さんは一度グリードになったと聞いた。

  

《グリードになりかけて戻ったのではなく、完全にグリードになり、それからまた人間になった。》
《一度メダルの集合体になりきってしまったのに、再び人間に生まれ変わった存在》


それが火野映司。


…アンクは気づいているのかしら・・・・
…火野さんに協力してもらえれば・・・・







   























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