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一目で重厚とわかるドア。
ほとんどの社員はこのドアの前を通るだけで緊張するだろう。
いや、その前を通ることすらあまりない。
限られた重役だけがくぐることの出来る、門である。
「・・・ご用ですか、会長? 今日の分のケーキはもう…」
「違うんだよ、里中くん~」
こんな色のジャケット、どこで売っているのだろう。
里中がそんなことを考えている間も、鴻上の手は白い泡を回し続けている。
「前にも言ったと思うが、火野くんと後藤くんが行方不明になった。」
「はい、それで会長は伊達さんにまで、依頼をされて…」
「そーーう、そうなんだ。しかし伊達くんも・・・」
「それは想定範囲内ではないでしょうか。」
「まぁ、彼の場合はねぇ~。だ・か・ら、新設したライダー隊を」
仮面ライダーを模した教科スーツの戦闘部隊。
彼らは以前のライドベンダー隊をはるかに上回るスペックだったはずだ。
「…送り込んだのだがねー・・・ヨーロッパで足止めされた。」
「グリード、ですか?」
グリード
個体ごとに9枚(3種×3枚)のコアメダルを核、大量のセルメダルを細胞として構成された、
人間の「欲望」を糧に力を増大させる擬似生命体。800年前に10枚(2種×3枚・1種×4枚)
作られたコアから1枚を抜き取り、9という「欠けた」数字にした結果
「足りないが故に満たしたい」
という欲望が生まれ、その欲望が進化して自律意志を持ちメダルを肉体として誕生した。
800年前コアを求めた当時のオーズに敗北し、メダルへと還元された状態で石棺に封印されて
いたが、現代に甦り活動を再開した。が・・・
「彼らは…真木さんも含めて、全て火野く…オーズに、オーズとアンクに倒されたはずでは?」
「そのはずだったんだけどねー コアメダルがなくなって復活できるわけないんだが。」
「未来からのメダル事件で…」
「いや、それはないはずだ。あのときに回収したメダルは事件後にほとんど消滅した。」
会長室を沈黙が支配する
「それで、私の任務は?」
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「・・それで、里中さんが頼みたい事ってなんですか?」
「最初は私一人で行くつもりだったんだけど…比奈さんにも一緒に来てほしいの」
「…映司くんと後藤さんを探したいのは私も同じです。でも足手まといにならないですか」
「ううん、比奈さんなら…」
「私が…」
泉 比奈
服飾系専門学校へ通う18歳で、信吾の妹。一人称は「私」。
華奢な見た目とは裏腹に、260kgのライドベンダーを軽々と持ち上げるほどの
人並外れた怪力の持ち主で、それが元で「クスクシエ」のバイトに採用されるが、
彼女自身にはコンプレックスの種。
「怪力だからじゃないわよ。」
「(グサッ)」
「私は後藤さんの行動パターンは想像つくけれど、火野さんと、さらにアンクの行動は
まったく予想がつかない。だから比奈さんに協力してほしいの」
あの1年間、そしてその後も二人と自分は深いつながりがあった。
だから、わかる気がする…比奈は無意識に頷いていた。
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「わかりました。ついていきます。でも・・・この格好は?」
「鴻上会長の趣味です。」
「はぁ…それにしても里中さんの靴が…」
「さすが比奈さんね、ちゃんとベルトと合わせています。」
さすがは出動前でも時間を懸けた念入りな着替えとメイクを欠かさなかった里中である
(…ヒールの靴で砂漠の国に行くの???)
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「ふーーん、あの二人も行くのかぁ~ これはお伝えしないとね…」
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