しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

週末の衝撃 2

2013-11-30 01:41:25 | 日記
最初はミュージックビデオだった。
ル ペープル・デ・ルヘルペというフランスのバンドの『トーキング・ザ・クラッシュ』という曲。
このジャンルの曲はよくわからない。エミネムの曲の感じに似てた、というとわかりやすいか。
これは映像がとてつもなく怖かった。
で、先日の学校での研修の内容を唐突に思い出した。


研修で、学習障害の生徒について、
本当に世界の見え方が物理的に違うことが原因であるということを勉強したのだった。

文章が耳からだと理解できるのに、読むことができない。
それはどうしてかというと、
本の行が視覚的にうねうねと曲がったり、
ところどころで文字の大きさが変わったりして見えているからなのだ。
彼らから見える世界を映像で再現したものがあって、
確かにこれでは文章が認識できないだろうな・・というレベルのもので驚いた。
まるでネットでの認証作業のときなどに、よく変形した英字や数字がでてきて打ち込んでください、
というのがあるけど、まさにああいうのが並んだ世界なのだ。吐きそう。。。



街の風景、顔、全ての物がひしゃげて、曲がっている。
その中でひたすら疲れきるまで働き、ただ砂糖を乞うブロイラーの群れ。
言うまでもなく、ブロイラーは私たち一般の人間を暗喩しているのだろう。
これ自体はよくある発想の仕方だけど、絵そのものがとにかく怖いのだ。
そして、その一般のブロイラーが暴れ始めたところから、
ものすごく表現のグロテスクさが加速する。
自由を求める闘いというのをイメージで表現すると、
ああも恐ろしいものになるのか、と戦慄。
日本人にはとてもできない、激しくて怒りに満ちた表現だった。



『アニインパクト』の名前に相応しい、衝撃的なものから始まった。

その他、半人半魚(顔が魚)の少年の絶望を描いた作品(これもものすごく怖かった)や、
荒廃した世界でやっと宗教(を表していると思われる)でオアシスを作ったと思ったら、
またそれを壊される恐怖と絶望を描いた作品など、
とにかく『マニア2』は世界に対する不安感や絶望を表現したものが多かった。
灰色と赤と黒の世界というイメージ。

一部、手法が実験的なものも含まれており、これがアニメ?と概念を覆されたりもした。
(『2週 2分』(カナダ)や『リサイクル』(中国)など)


言葉を介さず、イメージで本質を伝える。
アニメーションの素晴らしさや衝撃の強さを思い知った。
これは恐ろしい兵器にもなりうるなあ・・・。
「マニア2』で上映されたものの中には、
トラウマになりうるものさえあった。最初のとか・・。


それと、アニメーションの絵と同期した音楽のリズムの良さ。
音楽とリズムと映像がぴったりしたときの心地よいという感覚。
心にも感覚にもインパクト大だった。

21:00からの『インパクト3』は、『マニア2』とは趣が異なる作品だった。
詩的で、美しい表現のものがたくさん。
1時間20分の上演で7作品。
どれも良かったけど、一番気になったのは『パオ』(フランス)。
東洋の美しい風景、彼方への『旅』。心が震えた。
もう一度観たい、いや何度も観たい。DVD、早く出て!!!

『モンパルナスのキキ』(フランス)も、
多数の文化人と交流のあったキキの自伝をもとに作られたもの。
内容も、表現の手法も興味深い。美術部の生徒にみせたい。

他の国の作品も良かったけど、ダントツでフランスのアニメーションはいい。
日本人には理解しやすいのかもしれないな。

『テビュランの王 マルセル』(アメリカ)も、
抽象表現と具象表現が入り交じってとても美しかった。



そして海外のアートアニメーションをみるにつけ、いつも感じるのは、
生命力や創造力が、なんとなく日本では、
他国と比べると枯渇しているのかもしれないということだ。
私たちが知っている『自由』なんて、全然たいしたことないということ。
ずっとここにいると、案外、感じなくなってしまうのだ。

それは、もしかしたら教育によるものなのかもしれない。
なんか、大きな責任を感じるよ。
そういう意味でもインパクト大の映画祭。

アニインパクト ジャパン。
日曜まで。
ぜひぜひおすすめです!!





























最新の画像もっと見る

コメントを投稿