玄関にダンボールが放置されている。実家で採れたジャガイモだ。本当なら台所に運びたいが、持ち上げると土がサラサラこぼれるので宅配便のお兄さんが置いてくれた場所から動かしていない。届いた日から数日は肉じゃがとかカレーとかポテトサラダとか作ったものだが、2ヶ月ほど忘れていて、今日久々に肉じゃがを作れる条件がそろったのでダンボールを開いてみた。そしたら、少々悲鳴を上げてしまいそうな惨状が箱の中で繰り広げられていた。
いやー、久しぶりに見ました、ウジ虫。
たくさんのジャガイモの中で1個だけが真っ黒に腐って白カビを生やして臭い汁をだらだら流していた。
あーあ、やっちゃった。
古新聞で腐ったジャガイモをつかんで厳重に包んで捨て、臭い腐汁のかかったジャガイモを全てたわしでゴシゴシ洗った。汁はかかってもまだ腐ってはいなかったので、そのまま皮をむいて肉じゃがを作ってしまった。ま、そんなもんですよ、主婦って。
話は突然変わるが、今日は私にとって「区切り」の日だった。今まで1年くらい取り組んできたものがひと段落ついて、「さ、次何やろうかな」とはりきって部屋の掃除などしてしまった。で、何の拍子か、押入れにしまってあるあの箱を開けてしまった。
私には思春期に負ったトラウマがあって、本を買うとか、自分の蔵書を他人に自慢するとか、読書遍歴を他人に知られるとか、そういうことにかなり抵抗感を抱いている。それでもやはりどうしても好きで手元に置いておきたい本や何度も何度も繰り返し読みたい本があって、それをこのダンボール箱内の秘密ボックスにしまっていた。秘密ボックスの他には、参考書とか辞書とか、まだ読んでいない本だとか、かなりキュウキュウに詰めてある。
「あぁ、久しぶりにまた何か読んでみようか…」そんなことを考えてボックスを開けたのだが、なんだか異臭がした。というかこのダンボール全体がなんか変な空気を放出していた。
本、カビてるやん!!!
1冊1冊、出して、開いて、臭いを嗅いで、絶望感を募らせていった。肺の中のカビの胞子量も同時に募っていったはず。
全体がカビに覆われて触れることも困難なものが1冊。
見るからにヤバそうな黒カビがついてしまったものが1冊。
青カビ、白カビが本の半分くらいを覆っているものが5冊くらい。
濡れたような染みが角についていてカビ臭く、紙がパリパリとひっついてしまっているものが約30冊。
染みはついていないけれど、カビ臭くなったものが2冊。
無傷だったものは2冊。
秘密ボックスの永久保存版書籍は壊滅状態だった。
腹立たしいのは、簿記2級(資格取得済)のテキストのダメージが少なく、これから勉強しようと思って買っておいた1級用テキストばかりがカビていたこと。古本屋で買ったものが比較的無事で、定価で買ってまだ読んでない新品ばかりが青カビに覆われていたこと。
ダンボールの前にぺたんと座り放心している私を彼は連れ出し、真夜中の牛角に連れて行ってくれたが、肉や石焼ビビンバを前にしながらも私の頭の中はカビ本のことでいっぱい。この私としてはめずらしく食欲がわかず、会計は普段食べるときより2500円も安かった。
せっかくの「区切り」の日に、とんでもないトラウマをまたひとつ背負ってしまった。
…というよりも、「そろそろトラウマを乗り越えて、堂々と本棚に飾れ」ということなのか。
「腐ったミカン」体験…、2度あったので、あともう1回同じことが起こりそうだ。
次の「腐ったミカン」になるのは、私自身だったりして。
どうせなるのなら、ものすごい影響力と感化力を持ってやろう。
いやー、久しぶりに見ました、ウジ虫。
たくさんのジャガイモの中で1個だけが真っ黒に腐って白カビを生やして臭い汁をだらだら流していた。
あーあ、やっちゃった。
古新聞で腐ったジャガイモをつかんで厳重に包んで捨て、臭い腐汁のかかったジャガイモを全てたわしでゴシゴシ洗った。汁はかかってもまだ腐ってはいなかったので、そのまま皮をむいて肉じゃがを作ってしまった。ま、そんなもんですよ、主婦って。
話は突然変わるが、今日は私にとって「区切り」の日だった。今まで1年くらい取り組んできたものがひと段落ついて、「さ、次何やろうかな」とはりきって部屋の掃除などしてしまった。で、何の拍子か、押入れにしまってあるあの箱を開けてしまった。
私には思春期に負ったトラウマがあって、本を買うとか、自分の蔵書を他人に自慢するとか、読書遍歴を他人に知られるとか、そういうことにかなり抵抗感を抱いている。それでもやはりどうしても好きで手元に置いておきたい本や何度も何度も繰り返し読みたい本があって、それをこのダンボール箱内の秘密ボックスにしまっていた。秘密ボックスの他には、参考書とか辞書とか、まだ読んでいない本だとか、かなりキュウキュウに詰めてある。
「あぁ、久しぶりにまた何か読んでみようか…」そんなことを考えてボックスを開けたのだが、なんだか異臭がした。というかこのダンボール全体がなんか変な空気を放出していた。
本、カビてるやん!!!
1冊1冊、出して、開いて、臭いを嗅いで、絶望感を募らせていった。肺の中のカビの胞子量も同時に募っていったはず。
全体がカビに覆われて触れることも困難なものが1冊。
見るからにヤバそうな黒カビがついてしまったものが1冊。
青カビ、白カビが本の半分くらいを覆っているものが5冊くらい。
濡れたような染みが角についていてカビ臭く、紙がパリパリとひっついてしまっているものが約30冊。
染みはついていないけれど、カビ臭くなったものが2冊。
無傷だったものは2冊。
秘密ボックスの永久保存版書籍は壊滅状態だった。
腹立たしいのは、簿記2級(資格取得済)のテキストのダメージが少なく、これから勉強しようと思って買っておいた1級用テキストばかりがカビていたこと。古本屋で買ったものが比較的無事で、定価で買ってまだ読んでない新品ばかりが青カビに覆われていたこと。
ダンボールの前にぺたんと座り放心している私を彼は連れ出し、真夜中の牛角に連れて行ってくれたが、肉や石焼ビビンバを前にしながらも私の頭の中はカビ本のことでいっぱい。この私としてはめずらしく食欲がわかず、会計は普段食べるときより2500円も安かった。
せっかくの「区切り」の日に、とんでもないトラウマをまたひとつ背負ってしまった。
…というよりも、「そろそろトラウマを乗り越えて、堂々と本棚に飾れ」ということなのか。
「腐ったミカン」体験…、2度あったので、あともう1回同じことが起こりそうだ。
次の「腐ったミカン」になるのは、私自身だったりして。
どうせなるのなら、ものすごい影響力と感化力を持ってやろう。