「何時頃出るの・・・・?」
「う~ん・・・予報を観てから・・・」
21日の夕方、翌日の釣行を決めたまでは良いが、まったくのノープラン。
台風の余波がまだ残るので、白浜のアジは望み薄、ならば団子釣り!・・・ということになるのだが、TVからはシルバーウィークの渋滞情報が間断なく流れてくる。
「混雑が起きているのは高速だけじゃない!釣り場もなんだ!」
20日が仕事だったため、残った疲れもあり深夜に出て釣り場を探してから車中泊、朝から団子投げというプランが決まり22時頃出発。
先ずは「ばんや」のある保田漁港を見るが、何かイベントでもあるのか、係留されているヨットとキャンピングカーが異常に多い、港内向きにいくつか竿が出せそうなところがあるが、目星をつけていたポイントは既に先客が居る・・・・
更に南下して那古船形漁港、かつて造船所堤防は漁のような釣果でその名を轟かせていたが、最近ではほとんど爆発情報を聞かない。
深夜なので静かに内側の赤灯に入ると・・・穂先に付けたケミカルライトが其処彼処にたくさん揺れている。
「こんばんは、・・・穴子ですか?」
「いや~なんか釣れないかな・・・って感じでして・・・へへへ」
そんな、会話しながら先端付近まで歩いていくと、10m位間隔が空いている所があったのであまり深く考えずに釣り座を決定。
「まあ・・・鯔の一本でもお土産になれば良いかな・・・」(車中泊)
朝、起きてみ観ると更に釣り人が増えている!
しかしほとんどがチョイ投げ&サビキ&ルアーとファミリーフィッシングばかり・・・・
「連休だから当たり前か・・・」
と思いつつ、隣を見ると麦藁帽子の青年が細身の磯竿をセット中・・・同業者発見!
とにかく情報を仕入れようと話しかける。
「おはようございます! ・・・・ここはよく来るのですか?」
「おはようございます! ・・・・いや~いつもは外房でやっているのですが・・・ここは初めてです。・・・水深があるようなので出来そうかな・・・と思って・・・」
「釣具屋さんの話ではカイズが上がってるって言ってたのだけど・・・」
「まぁ、やってみましょう」
「そうしましょう」
そんな訳で6時過ぎに第1投。
最初からウキにモゴモゴとした揉まれるような動きが出る。
小魚が団子を口先でまさに『おしくらまんじゅう』をしているときに出る反応だが、底での魚の活性があるということなので悪いことではない。
しばらくして遠矢TD45が浮き上がり、ゆっくり左に流れる・・・ピッ・・・・ピピッ・・・と小当たりが出た後沈黙・・・・回収・・・餌(オキアミ)が無い。
カワハギ系か?フグか?
序盤なので、団子の追い打ちをして魚を寄せにかかる。
打ち返しを繰り返すうちに餌取りの正体が大きめのクサフグだと解り、暗澹たる気持ちになる。
極小サイズならまだましなのだが、この大きさになると餌だけでなくハリスまで噛み切ってしまうので質が悪い、案の定アタリがあったと思ったらハリスだけにされることが頻発し始めた。
そんなときに、南房磯へ向かっていたひらまささんからメール。
>>未明からの磯釣りは、ウネリの影響でまともな釣りにならず、今夜再チャレンジする・・・>>
要約するとそんな内容だった。
『え~~~行ったんだ!凄いな!』
>>こっちはフグ×フグですよ~>>
・・・と、嘆きのメールを返して続行。
オキアミを小さくつけて、どんなアタリでも即合わせする作戦に変更し、鬼のようにクサフグを釣り続ける。
用意したオキアミ(スーパー・ハードL)が半分なくなりかけた頃、珍しく付け餌が残ってきた。
『何か起きるぞ・・・』
その直後、フグには無い、2目盛り上下動する大きなストロークのアタリ!
ビシッ!
ズドンッ!と2号竿の胴に乗る!
ミリリリィッ・・・とドラグが逆転した!
スピードは無いが重い・・・・、時折首を振る感触!
水深は約5m、濁りがきつく姿が見えないままのやり取りが数分続く・・・
フグによるハリスの痛みを考え、リールの逆転も使って十分に弱らせてから浮かしにかかった。
しかし・・・
・・・なかなか浮いてこない。
「・・・鯔かな?」
隣の青年に不安を吐露してしまう。
「・・・いや、本命でしょ?」
勇気付けられた直後、足元の水中に平たい影が見えた!
「黒鯛だ!でかそう!」
ようやく水面を割って、自分で玉網入れしたのは45㎝の良型!
秋は同じサイズでまとまって居る事があるので、すぐにスカリに入れて続行。
しかし相変わらずフグの猛襲が続く・・・
しばらくして団子が割れる直前に団子ごと咥えたようなアタリ!
合わせたが完全に先手を取られてしまい、一気に走られドラグも効かずに竿を伸されてハリス切れ!
「・・・いやいや・・・今のは鯔、鯔だ絶対・・・」
根拠の無い決め付けで冷静を装う小さいおっさん。
しばらくして今度は本当に鯔!
とにかく猛烈なパワーと底なしのスタミナで走り回る!
上げてみれば60㎝のトド級!
個人的に鯔は好物なのでキープ♪
12時頃、そろそろ結果が見えてきた感がある時間帯だ、地元のオヤジさん達が散歩がてら覗きに来る。
「ほぉ~こんなのは久しぶりに〇△◆×◎・・・」
正直、半分くらい方言なので解らないが、最近黒鯛クラスは上がっていないらしい。
このまま1尾で終われば、『偶然の産物?』となりかねないので、なんとかカイズクラスでいいから1尾欲しい・・・と思っていたら、マッチ箱クラスの極小チンチン!
「よく針に掛かったな~」
・・・と放流して数投目、・・・また付餌がそのまま帰ってきた。
トクトクトク・・・
何かを予感して動悸が早くなる。
『落ちつけ・・・』
慎重に団子を投入・・・特に前アタリも無く割れる団子・・・浮き上がり50㎝流れたかどうかというとき・・・チクッ・・・チクッ・・・とあのアタリが出た!
ビシュゥゥッ!
潮が下げ、やや長めに出ていたラインが水を切る!
ドンッ・・・と竿に乗る重量感!・・・グイッグィッ!・・・と大きく首を振りながら動き出す感触に本命と確信!
「おおっ!・・・本命っぽい引き!」
時折大きく反転して突っ込むのを、ドラグと逆転を使ってしのぎ浮かせる!
水面下に姿が見えた!
「やった本命!」
再び自分で玉網入れしたのは、朝のと同寸だが少しスレンダーな魚体。
半ば終わりモードだったが、この釣りは昼前にジアイが来ることも多いので気が抜けない。
結局その後も粘り14時近くまでやって団子が無くなり終了。
普通は混んでるところでやっても釣果は上がらないことが多い。
今回は混雑していたが、お隣以外はほとんどがサビキやチョイ投げだった。
競合が少なかったのが良かったのかも?
<ここへ行ってみよう!と思った方へ>
この周辺の漁業関係及び地元の方達は釣り人にはとても友好的ですが、漁船が頻繁に使う岸壁での釣りは、作業の妨げになることもあるので、移動がすぐ出来るような体制でお願いします。
また、漁港内は燃料タンクなどがあるので火気厳禁です。
その場で釣果を調理したりBBQも楽しみうちですが、事故に繋がりかねないのでご配慮願います。
・・・・道具を片付けて一段落、実に10年ぶりの良型黒鯛との再会、充実感を伴う疲労が心地良い。
「・・・晴れたなぁ・・・」
空を見上げる。
日時:2009年9月22日 中潮
場所:那古船形漁港
釣果:黒鯛45cm×2尾、鯔60cm×1尾、クサフグ極多