里山の風に吹かれて

千葉県は外房の里山に暮らしています
 
身近な自然の中で見かけた”花鳥風月”を

綴っていけたらと思っています

トンボの季節

2024-07-21 | 小動物・虫・魚 & more
 
今回はここ最近見かけたトンボを中心にして載せてみました。


<ハグロトンボ(♂)>

ハグロトンボはオスメスともに姿形の美しいトンボだと思います。カワトンボの仲間らしく

水辺近くでよく見かけます。

#1










小さくて美しい割にはけっこういかつい顔立ちをしています。肉食性の虫ですから

さもありなんです。

#2










止まった瞬間はまず羽をピタッと閉じます。

#3










その後すぐに自慢の羽を誇示するかのように大きく開いてアピールします。

#4










イトトンボの仲間だけが、このように羽を立てて止まることができます。他の大きな

トンボとは羽ばたくための筋肉の構造が違うんでしょうね。飛び方も、蝶々のように

ひらひらと優雅な舞を舞っているようです。

#5










止まってすぐに何度か羽を開くと、やがて羽を閉じて開かなくなります。ちょっとひと休みと

いった感じなんですかね。

#6










<シオカラトンボ(♀)>

ご存じメスのシオカラトンボです。メスは別名ムギワラトンボとも称されます。

#7










<オオシオカラトンボ(♀)>

吾輩はオオシオカラトンボである。別名はまだない。

#8










存在感のあるトンボです。

#9










<コシアキトンボ(♀)>

コシアキトンボです。コシアキトンボもシオカラの仲間と同じく羽の先端や付け根が

黒くなっています。

#10










ご覧のようにメスの尻尾の付け根は黄色くて、ちょっとオオシオカラのメスに似た

色合いをしています。

#11










<おにやんま君>

一見、オニヤンマに似ています、が・・・

#12










オニヤンマの模型の”おにやんま君”です。私は寡聞にして最近まで知りませんでしたが、

世間の一部の人たちの間では結構流行っているそうです。

蚊などの虫除け効果があるというのが謳い文句だそうですが、少なくとも蚊がわんさかいる

ここ里山の地では、あまりその効果は期待できなさそうです。

#13










お腹側に安全ピンがついていて、上の写真のように帽子や服の肩なんかに止まらせることが

できるようになっていますが、背中にも吊り下げるための輪っかがあって鞄なんかにも

吊り下げることができるようです。顔もかなり本物に似ていますね。

#14










強度的な問題からか前後の羽は一体構造になっていますが、それでも模様は本物を

意識したものになっていて、よくできているようです。

遊び心のある楽しい昆虫グッズだと思います。

#15










<シオヤアブ(♂)>

シオヤアブのオスはお尻に白い毛のぼんぼりがあり、これを塩の塊とみなして塩屋虻と

名付けられたとか。

オニヤンマやスズメバチをも狩ってしまう獰猛な虫のようです。恐ろしい羽音を立てて

飛び回っている姿をよく見かけますが、吸血性ではないのでちょっかいを出さなければ

襲ってくることはなさそうです。

#16










<ハンミョウ(♂)>

ハンミョウはご覧のように色鮮やかな虫です。人の歩く先先へと飛んでは止まったりを

繰り返しますので、別名ミチオシエとも呼ばれています。本当に道案内をしているように

見える楽しい虫です。でも正面から見ると鋭い顎があって、肉食性のかなり獰猛な虫では

あるのですが。

#17










<キボシアオゴミムシ>

地面を直線的に素早く走っていく虫を見つけたので、一瞬止まった瞬間を狙って

撮ってみました。帰って調べてみると地表徘徊性甲虫のキボシアオゴミムシの

ようでした。地表徘徊性甲虫というように、素早い速さで走っていく姿に目を

奪われてしまいました。初めて目にする虫でした。

捕まえると臭いにおいを出すオサムシの仲間だそうです。

#18









<<おまけ>>


<ヤマユリ>

1ヶ月ほど前に撮影したものです。この花はまだ咲き始めたばかりの初々しい姿を

しています。雄蕊がまだ若々しくピンとしています。

濃厚な甘い香りが漂っていました。

#19










同じ花の1週間後です。妖艶な雰囲気が感じられるようになってきました。

雄蕊も大人の色香を持ち始めたようです。

野に咲く花の中では飛び抜けて絢爛豪華な花だと思います。

#20





















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いまや野良ネコよりも遥かに数が多くなってしまったキョンが、なんと・・・

2024-05-31 | 小動物・虫・魚 & more
 
いまや野良ネコよりも遥かに数が多くなってしまったキョン! ネイチャーセンターの

すぐそばの森に、何匹かのキョンが群れている場所がありました。

あるときは一緒にいたメスが素早く逃げ去ってしまい、若いオスだけがひとりポツンと

取り残されて・・・ 

私と目が合ってしまいました。

#1










彼も逃げようと向きを変えます。

#2









そしてスタコラ逃げ出しましたが、この時の彼の尻尾に注目してください。お尻にペタッと

付けたままです。(この話は後述)

#3










またあるときは3匹で仲良くたむろしていました。この時も私に気づいた1匹が

素早く逃げてしまったので2匹しか写っていませんが。

#4










手前のメスが起き上がって逃げようとしています。奥のメスの方は余裕の

よっちゃんといった顔で私を見つめています。成熟した百戦錬磨のメス

なのかもしれません。額の黒い模様も立派です。

#5










手前のメスが逃げ出しましたが、この子の尻尾もペタッとお尻に張り付いたままです。

#6










今までに出会ってきたキョンたちはみんな、逃げるときはこんな風に

尻尾を立ててお尻の白い毛を目立たせていました。これは仲間に危険を

知らせるためのものだと思っていたのですが、ここのキョンたちは

みんな尻尾を伏せたままでした。ナゼ?

また新しい疑問が湧いてきてしまいました。

#7









そんなことを考えていたら、ある日、うちの庭にキョンのフンがあるのを

発見してしまいました。あずき粒大のフンがそこここに。

ついにうちの庭にもやつがやって来てしまったかと思い、暗闇でも映る

赤外線カメラを庭に設置して様子を見てみました。

#8










赤外線カメラに写っていたのは、庭の鉢植えのリンドウの葉っぱを

食べているメスのキョンでした。

#9










カメラを気にすることもなく、堂々と庭を歩き回っています。

#10










そしてもう1匹、左のツノが折れたオスとペアでうちの庭を歩き回っては、

そこらじゅうの草を食べ歩いているようです。その後も夜な夜な何度も出没

している姿を確認することができました。

今後ミニトマトやピーマンが育ってきたら食べられてしまうかもと心配して

いるところです。

#11










しかもこいつら、夜中だけではなく朝4時すぎ、明るくなってからも平気で

庭を歩き回っているようです。

#12










まさか、うちの庭がいつの間にか動物園になってしまっていたとは

思ってもみませんでした。ショック!!!

#13










でもこの赤外線カメラに面白い映像も写っていました。

カメラのすぐ目の前に立ったメスのキョンが・・・

#14










目のすぐ下にある臭腺をパカッと開きました。(この特徴から

キョンのことを四つ目ジカと呼ぶこともあるそうです)

#15










そして、めちゃくちゃ長い舌でその臭腺をぺろりとひと舐め。

#16










1度口を閉じて・・・

#17










今度は臭いの付いた舌で頬をひと舐め、頬に臭いを付けているようでした。

この後、臭いの付いた頬をあちこちに擦り付けて縄張りを主張するんで

しょうね、きっと。 う~む、ケシカラン!

#18




ちなみにこの赤外線カメラは動画で撮っていますが、そこから切り出した

スチール写真として載せてみました。












<<おまけ>>

<その1 ハンショウヅル>

奥の細道をいつものように散策中、かみさんが笹の葉の上に落ちていた花片を

目ざとく発見、すぐにハンショウヅルと気づいて上を見上げると、しっかり

咲いていました♪

#19










今年は見つけられないなーと思っていたハンショウヅルでしたが、

季節の終わり頃になってやっと見つけることができました。

私たちが毎年季節になると探してしまう大好きな花なんです。

#20










もうこの花にとっては季節の終わりなので、タネができかかっていました。

同じキンポウゲ科のセンニンソウやテッセン、クレマチスを思わせるタネに

なります。

#21










<その2 白いワンコ?>

普通のモンシロチョウですが一瞬白いワンコのようにも見えてしまい、

ちょっと和みました。

#22






















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短い秋を精いっぱい生きている蝶たち

2023-10-15 | 小動物・虫・魚 & more
 
1年に満たない時間の長さを自分の一生として生きている蝶たち。そんな彼女たちの短い今年の秋を切り取ってみました。


<<モンキアゲハ>>

大型のアゲハチョウ、モンキアゲハです。大きなアゲハに大きなヒガンバナ、絵になる二人連れです。

#1










モンキアゲハといえば大輪の花を咲かせるヒガンバナが一番のお似合い。そしてモンキアゲハに限らずアゲハチョウみんなに

好かれているのがこのヒガンバナです。

#2










大きな蝶なので吸蜜にはそれなりの苦労もあるようで、羽ばたきながら吸蜜する姿もよく見かけます。そんな羽ばたきの様子を

前翅に注目して捉えてみました。

その1 シャープな角度の前翅が後翅の白い模様を際立たせています。

#3










その2 前翅の縁にも白い模様が並んでいることにも気付かされます。

#4










その3 モンキアゲハとヒガンバナ、お互いにその美しさを高め合う最高のパートナーだと思います。

#5








<<ヒメアカタテハ>>

翅の裏側にも味わい深い模様のあるタテハチョウです。

キツネノマゴが下の方に一輪、紫の花が朧な彩りを添えてくれました。

#6










飛び立つと表の美しい模様にも目を奪われます。

#7










<<イチモンジチョウ>>

一文字の白い帯が印象的な蝶ですが、よく見ると翅や体の随所に(そして触覚の先端にも)オレンジ色のアクセントがあって

おしゃれな子です。

#8










閉じた翅の裏も美しい蝶です。この子もタテハチョウの仲間ですから昆虫なのに脚の数は擬似4本。胸にたたまれている

退化した前脚もうっすらと見えています。

#9









<<イチモンジセセリ>>

イチモンジ繋がりということでイチモンジセセリです。セセリチョウの仲間ですが、後翅裏の銀紋が一文字に並んでいるため

この名前があるとか。

背中のエメラルドグリーンの美しい毛を煌めかせて、ミツバアケビの葉っぱに止まっていました。

#10









横から見ると大きな真っ黒い複眼が印象的です。

静岡県の一部の地域ではこの子のことをチンメと呼ぶことをつい最近知りました。その意味するところはよく分かりません

でしたが、この目を見るとなんとなく納得してしまいました。

#11










<<テングチョウ>>

成虫で越冬する蝶なので暖かい冬の日なんかにも見かけたりしますが、秋にも飛んでいる蝶です。頭の先(パルピ)が

尖っているのでテングチョウの名前があります。ここで匂いを感じているのだとか。まさに天狗と同じ機能を持っている

器官なのが面白いと思います。

#12










<<ヒカゲチョウ>>

この子は日本の固有種だそうで、タテハチョウの仲間なのでやっぱり擬似4本脚です。

蝶を愛する人のことを写真家の今森光彦さんにちなんでオーレリアンというそうですが、オーレリアンの庭がよく似合う

シックな蝶だと思います。

#13










<<ヤマトシジミ>>

春から秋まで最も普通にみられるシジミチョウです。いつも見かけているだけに、いろんな意味で安心して見ていられる

蝶です。

#14










<<おまけ>>

<<ヤマトシリアゲ>>

ヤマト繋がりですが蝶ではなくてシリアゲムシです。この色のシリアゲムシはヤマトシリアゲの中でもベッコウシリアゲと

呼ばれているようです。この子はメスですがお腹が膨らんでいるのは卵を持っているからでしょうか?

古生代ペルム紀の地層からこの仲間の化石が出ることから生きた化石とも呼ばれているとか。古生代ペルム紀といえば今から

3億年も前の時代! 昆虫たちの逞しさを実感します。

余談になりますが、もうずいぶん昔、一番最初のスターウォーズにこんな顔をした宇宙人が出ていたことを思い出しました。

昆虫は宇宙人や仮面ライダーなんかにも使われたりするのが面白いと思います。昆虫は映像クリエーターたちのイメージを

くすぐるんでしょうかね。

#15




















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珍しきもの三題「超貴重なサトイモの開花、房総半島で鳴くクマゼミ、夏ヤブカラシを吸蜜するジャコウアゲハ」

2023-08-25 | 小動物・虫・魚 & more
 
<<超貴重なサトイモの開花>>

ネイチャーセンターの畑でサトイモの花が咲いているという記事がセンターブログに載っていましたので、早速行って

みました。

サトイモの大きな葉っぱの影で小さな蝋燭が灯るような感じで密やかに咲いていました。

#1










なんとも言えず美しい花でした。黄色い赤ずきんちゃんのようにも見えてしまいました。

数十年に一度しか咲かないとも言われているこの花、まず見ることはないだろうと思っていましたが、センターの

女性職員Nさんが書いてくれた記事のおかげで見ることができました。ありがとうございます。

#2











<<房総半島で鳴くクマゼミ>>

南方系のセミであるクマゼミです。以前は関東地方にはいなかったセミです。

しかしここ最近はうちの庭でも鳴くようになってきました。話によると今は群馬県辺りにまでその勢力圏を広げているとか。

まさに温暖化を象徴するセミだと思います。

#3










35年ほど前には仕事でよく大阪に出張に行っていましたが、大阪城公園を通るとたくさんのクマゼミが大合唱をしていた

ものでした。暑い夏の日差しとクマゼミの鳴き声が、大阪という街のひとつのイメージとして思い出されます。

#4










昔からセミは大好きだったのでクマゼミがうちの庭で鳴くこと自体は大歓迎なのですが、一昨日でしたか、札幌でも

36°C以上の気温が記録されたとか。ストーブは必需品でしたが、冷房設備は必要なかった札幌でもこんな気温に

なってしまうとは! 温暖化の脅威は抜き差しならぬところまで来ているようです。

#5











<<夏 ヤブカラシを吸蜜するジャコウアゲハ>>

春、一番最初に出現するアゲハがこのジャコウアゲハです。そのイメージが強いせいか、夏に花を咲かせるヤブカラシの

花に吸蜜に来る姿に違和感を覚えてしまいます。

#6










もちろんジャコウアゲハにもこの子のように夏型があって夏に飛んでいてもなんの不思議もないのですが、春一番最初に

飛ぶアゲハというイメージが強いせいか、一瞬おやっと思ってしまいます。思い込みのなせる技かもしれません。

#7










暑い夏の盛り、ヤブカラシの花から花へと蜜を求めて飛び回っていました。ヤブカラシのこんな小さな花にもちゃんと

蜜があることにも驚かされます。

#8











<<おまけ>>

うちの庭で毎年咲くサネカズラの花です。特に珍しいというわけではありませんが、生い茂る葉っぱに隠れて咲きますので、

見つけづらいという意味では珍しいと言えるかもしれません。上品な和菓子のような花の佇まいが美しいと思います。

#9










中の実になる部分が赤くなって妖艶な雰囲気が漂っていました。

#10




















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度重なるキョンとの邂逅

2023-06-03 | 小動物・虫・魚 & more
 
ご近所の静かな森の高台に住んでいらっしゃるブログのお仲間が、家の周りによく出現するというキョンやイノシシの写真を

投稿されていました。そんなワイルドライフのような豊かな野生が家のすぐ近くにあるなんて羨ましいなーと思っていたもの

でしたが、いつの間にか”そんな豊かな野生”が私の目の前にも普通に現れるようになってしまいました。


いつもの散歩道、奥の細道でキョンさまに出会いました。いきなりの出会いだったのでお互いにビックリ!

当然のごとく彼は脱兎のごとく大逃亡。

#1










当然のごとく私はカメラで大追跡。

#2










走って逃げるというよりもピョンピョン飛び跳ねていく感じです。

#3










なかなかのジャンプ力です。

#4










飛び跳ねて逃げるのは非効率のようにも感じますが、それでもかなりのスピードで逃げていきます。

#5










前を向いていても耳は私の方に向けたままです。油断なく逃げていく野生の生き物そのものです。

#6










キョンも逃げるときは常に尻尾を立てて裏の白い毛を目立たせています。仲間に、「逃げろ!」という合図を送るための

シカ特有の逃げろサインです。キョンは滅多に群れるシカではないのですが、いにしえからの遺伝子がそうさせるのかも

しれません。

#7










華麗に飛び跳ねて・・・

#8










優雅に着地! 

耳と尻尾がその機能を維持しながらずっと固定されたままなのがさすがでした。

#9










見事に逃げ去って行ってしまいました。

#10










また別の日、別の場所です。今度はちょっと距離がありますので、彼も気づいてはいるのですが逃げません。

#11










余裕綽々で何かを食べています。

#12










ソメイヨシノの木の下なので桜の実でも食べているのかもしれません。

#13










ちょっと距離を詰めてみたところ、私の動きを警戒して見つめてきました。

#14









さらに体を起こして私に注目。私との間合いを測っているようです。

#15










でもまだ大丈夫と思ったようで、また何かを食べ始めました。

#16










さらにはこちらに向かって歩いてきたりして・・・

#17










なので私もさらに間合いを詰めてみるとさすがにこれはマズイと思ったようで、左の藪の中へと逃げて行ってしまいました。

#18










さらに別の日、でも同じ場所。前回はオスでしたが今度はメス。

#19










もぅあっという間に逃げられてしまいました(笑)。

#20















<<おまけ>>

子育てのために東南アジアあたりから渡ってきたオオヨシキリです。彼がメスを呼ぶ大きな歌声は初夏の風物詩です。

『ギョギョシ、ギョギョシ!」 ネムノキに彼の美声が響き渡ります。

#21










『ケケチ、ケケチ!」 嘴が朝日を受けて光り輝いていました。

#22










「ケケチキクチバクチ、ケケチバクチキクチ!」 いろんな鳴き方でメスにアピールしていました。

初夏になって彼の鳴き声を聞くと必ず写真に撮りたくなる愉快なヤツです。

#23




















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可愛らしい春の虫 ビロウドツリアブ

2023-04-15 | 小動物・虫・魚 & more
 
毎年ブログに載せてしまう大好きなビロウドツリアブ(ビロツリ)です。春のほんの一時期だけに見られる希少な虫です。

ただ幸いなことにビロツリは後翅が変形した平均棍を持っていますので、ブーンというクマンバチやスズメバチが奏でる

音をこの子も出してくれます。そのためけっこう見つけやすい相手ではあります。

でっぷりとしたお尻にビロウド風の衣装を纏い、鋭く尖った嘴を持ったツリアブです。

#1










左右の複眼がこんな風にくっついているのがオスの目印です。

#2










こちらも同じくオスです。

#3










メスはこのように複眼が離れています。

#4










こちらもメスです。

#5










後脚を広げたこんな飛び姿を見ると、そのかわいらしさに思わず頬が緩んでしまいます。この広げた後脚で体のバランスを

とっているつもりなんでしょうね、本人の気持ちとしては。

#6










空中でホバリングしながらモミジイチゴで吸蜜していました。長い雄蕊の奥にある蜜を吸うためにこの長い嘴が役に立って

いるようです。

#7










満足したのか別の花へと飛び去っていきました。嘴の先が二つに分かれているのは蜜を吸ったばかりだからですね。

ビロツリは嘴の先をこんな風に開いて蜜を吸いますので。

#8










タチツボスミレも花の奥の方に蜜がありますので、ビロツリのお得意さんかも知れません。

#9









生物学的にはこの子はハエ目ツリアブ科だそうで、ハエの仲間と言われれば正面の顔からはそんな雰囲気も感じられます。

蜜を吸うときに嘴の先がふたつに分かれるのも、考えてみればハエみたいな特徴と言えるのかも知れません。

#10










英語では large bee-fly だそうで、ハチでもありハエでもあるという苦渋の名前をもらっているような気がしてしまい

ました。

#11















<<おまけ>>

以前、クマンバチは自分が飛べると信じて疑わないから飛べるんだという話をしました。信じればきっと飛べるという

ピーターパン理論と呼ばれてます。航空力学で有名なベルヌーイの定理では説明できないからこんなメルヘンに

行き着いたんでしょうね。

小さなクマンバチにとっては空気もネバネバした粘性を持った流体であるという流体力学のレイノルズ数という考え方が、

彼が彼女が飛べることを証明した学問だそうです。

ビロツリだってクマンバチほどではありませんが、大きな体の割には小さな翅で飛んでいます。この子もレイノルズ数を

上手に使って飛んでいるのかも知れません。

そんな繋がりからクマンバチを今回のおまけにしてみました。

ニホンタンポポをふたつ並べて吸蜜していました。体重をかけて左のタンポポを右のタンポポの方に引き寄せて蜜を吸って

います。

#12










左の花の蜜をたっぷり吸った後、その花から右の花に乗り移り蜜を吸いはめました。最初に吸っていた花は左上に戻っています。

巧みな欲張りさんです。

戻ったタンポポに向かって小さな小さな虫が飛んでいきます。人間が知らないだけでたくさんの小さな虫も元気に生きているん

ですね。地上に生存している生き物のうち、半分以上が昆虫だそうですから地球は虫の惑星なのかもしれません。

#13





















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秋の里山を彩る愉快な生き物たち

2022-09-18 | 小動物・虫・魚 & more
 
秋の里山を歩いている時に出会った愉快な生き物たちです。


まず最初は秋の七草クズの花です。春の七草は食べることに主眼が置かれていますが、秋の七草は花を愛でることが

メインになっていますね。綺麗な花です。

#1










前回タラノキの花を載せました。こんな花でした。

#2










季節が進みこんな黒い実が成りました。あまり目立たないこともあって今まで気が付きませんでしたが、この実、

紫外線が見える鳥にとってはかなり目立って見えているそうです。いろんな鳥が食べにくるそうですが、特に

メジロが好む実だとか。

#3










ミンミンゼミです。札幌にはいないセミでしたから、札幌で生まれ育った私には憧れの存在でした。

ミーンミンミンと自分の名前を連呼するのがすごいなーと子供の頃には思っていたものでしたが、こういう鳴き方を

するからこんな名前が付いたんですね。話があべこべでした。

それにしても止まっているこの木、棘だらけですね。猿や木登り好きな悪戯っ子が嫌いなんでしょうね、きっと。

#4










美しいカラスアゲハです。美しいアゲハチョウは翅も欠けがなく美しくあって欲しいものです。

#5










モンキアゲハです。残念ながらこちらの個体には翅に欠けがありますね。鳥に襲われたのかも知れません。

このアゲハ、飛んでいる時には後翅の白い紋がよく目立ちますが、止まっている時にはうまく隠してしまい

ますね。きっとこれにも彼らなりの理由があるのだと思います。

#6










コミスジです。蝶々の翅の模様に多様性があるのをいつも不思議に思っています。一見派手に見える模様ですが、

これも森に紛れると見事なカムフラージュになっているんでしょうね。

#7











ホタルガです。飛んでいる時にはこの白い筋がクルクル回って見えて、面白い目眩しになっていると思います。

なんとか飛んでいる姿を撮ってみたいと思っているのですが、滞空時間の短い蛾なのでいまだに実現して

いません。

#8










ムギワラトンボです。笹の茎に垂直に止まって笹に擬態しているつもりでしょうか? それとも生真面目な性格?

愉快な止まり方に見えてしまいました。

#9










綺麗な色をしたアジアイトトンボです。よく似たアオモンイトトンボとの区別が難しいのですが、足の色合いから

アイジアイトトンボだと思いました。陽が当たる目の上の方を黒く塗ってサングラスのようです。こんなところにも

生きるための小さな工夫が見てとれたりして面白いですね。

#10










キイロスズメバチが色づき始めたノブドウの花に吸蜜に来ていました。迫力満点の羽音が不気味でした。

#11










幼虫の餌探しの途中で自分のエネルギー補給のためにこの花に立ち寄ったんでしょうね。

#12










カイツブリが親子で泳いていました。9月になってもまだ子育てしているのは初めて見ました。前日はヒナが

2羽いましたがこの日は1羽。子別れの時期は近いのだろうと思います。

#13










親子でシンクロして向きを変えたのが微笑ましかったです。

#14










落語にはよくご隠居さんが出てきますが、この隠居という文字、隠れ居ると書きますね。まさに堰の奥の方に

隠れるようにして居たのがこのチュウサギのご隠居さんでした。渋い佇まいでした。

#15










ボケボケではありますが、かなり面白い写真なので載せてみました。アオサギが小魚やカエル、ザリガニなんかを

捕まえて食べるシーンはよく見ますが、こんな大きなフナを捕まえて飛んでいるのは初めて見ました。

どうやって捕まえたの? ちゃんと飲み込めるの? 面白いものを見てしまいました。

#16










この枯れ木が目の端にチラッと映った時、あっ、カワセミ! と一瞬思ってしまいました。騙されました。

#17










ミシシッピアカミミガメの甲羅干し風景です。のんびりとした時間の流れを感じさせてくれますね。日本にいては

いけないカメなのではありますが・・・

#18










この先最後の3枚はヘビの写真です。面白い写真だとは思うのですが、苦手な方はここまでにして下さい。
















何かが水面を泳いでいるのに気が付きました。何だろうとよく見てみると・・・

#19










興奮したヤマカカガシが悠然と泳いできました。ウシガエルでも食べたのでしょうか? かなり胴が膨らんでいます。

#20










ヘビはみんな泳ぐことも木に登ることも得意な動物です。体をくれらせて水面を器用に泳ぎますが、立った波を

見てみると細かな模様がたくさん見えます。体をくねらせながら同時に振動させてもいるのでしょうか?

その辺りはよく分かりませんが、綺麗な波紋が形成されていました。

#21




















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ハキリバチ、その涙ぐましい子育て戦略

2022-07-12 | 小動物・虫・魚 & more
 
今日の話の舞台はこの花、コボウズオトギリソウです。ヒペリカム・アンドロサエマムなんていう小癪な別名もある

ようですが・・・ 我が家の庭で毎年咲いてくれているのですが、雄蕊も雌蕊も特徴的で優美な花だと思います。

#1










花が終わって実が成るとコボウズの名前の由来がよくわかると思います。この実がなった状態になると面白い味わいが

漂い出しますので、これが生花によく使われるとか。

#2










さて、今回の話の舞台になるこのコボウズオトギリソウ、毎年のようにこんなふうに葉っぱが10数匹のハキリバチに

よって切り刻まれてしまいます。面白い光景でしょう? でも別に嫌ではなくて、逆にハキリバチの役に立っていると

思うと嬉しくなってしまいます。葉っぱのしっとりとした柔らかさがハキリバチたちに喜ばれるんでしょうね。

#3










そしてこの子が今回の主人公、ハキリバチのメスです。なかなか精悍な姿でしょ! この子が毎年葉っぱを切り取って

持ち去っていく張本人です。

#4










早速そのお仕事風景を見ていただきましょう。

#5










葉っぱの端に取り付いて鋭い顎で葉っぱを切り取っていきます。

#6










まぁるくまぁるく、一心不乱に作業を進めます。最後にうまく持ち運べるように体の下に丸めながら切り取っている

ところがこの子の巧みな技だと思います。

#7








その間僅かに7〜8秒、ものすごい手際の良さです。

#8










葉っぱを切り取るとそれを抱えて、どこかへと運び去ってしまいます。それを何度も何度も繰り返します。

#9










時には切り取った葉っぱを抱えながら一休みすることも・・・

#10










また別の個体は切り取る前に一休み。

さてもうひと頑張り、仕事に励むか、とばかりに羽ばたいて行きました。

#11










なかには休憩中にうっかり葉っぱを落としてしまう子もいたりして・・・

#12










残念そうにしばらくそばに留まっていましたが、一度落としてしまった葉っぱはもう拾えないんでしょうね。

やがて諦めて次の葉っぱへと向かって行きました。

#13










ひとしきり葉っぱを切り取って行った後は、今度は花粉や蜜を集め始めます。

#14










腹部にたっぷり花粉をつけて、同時に蜜も集めているようです。

#15










これは雄蕊に腹部を擦り付けて花粉を集めているように見えます。

#16










まさに大忙し、夢中で働いていました。

#17










で、これは何をしているのかというと、自分の子供たちのために産室を作って、その中に餌を入れておいて、自分ひとりで

成長できるように準備してやっている姿だったんです。

どんな産室を作っているのかは以前の私のブログに載せたことがありますのでご覧ください。

こちらが以前の私のブログです
















<<おまけ>>

近所で咲いていたネジバナです。モジズリともいいますね。

#18










日本産のランの一種です。地中の菌類と共存して(助けられて)育つことが知られています。

#19










ネジバナには右巻きと左巻きが半々ずつ存在しているそうです。上のふたつは左巻きですが、この花は右巻き。

花を横から見て”ミ”の字に見えるのが、ミだけに右巻き、と覚えれば忘れないかも。

#20




















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キョン遠影

2022-02-14 | 小動物・虫・魚 & more
 
前回はターシャの最近の写真という意味で「ターシャ近影」を載せましたが、今回はキョンの遠くの写真という意味で

「キョン遠影」というタイトルにしました。ケミストリーの曲に「遠影(とおかげ)」という曲があるようですが、

こちらはキョン遠影(えんえい)です。

最近はキョンを見かける機会がかなり増えました。それだけ数を増しているということなんだと思います。

いつものようにかみさんと散歩をしていると、ずいぶん遠くでしたがくろぬりが終わった田んぼの畦道に雄のキョンが

いました。

#1











草を食べているその姿をよく見てみると、どうも右の後脚が一部欠損しているようです。括り罠に掛かったけれど

なんとか脚を引きちぎって逃げたような感じがします。野生の生き物の逞しさを見たような気がしました。

#2










すぐに私たちの存在に気がついたようです。

#3










ずいぶん遠くなのに必死で逃げ始めました。

#4










走る姿を見ると、脚の欠損はあまり影響していないような感じでした。

#5










やがて田んぼ脇の藪に逃げ込みました。そこに潜んで私たちをやり過ごす作戦のようです。

#6










興味があったのでその藪のそばまで行ってみました。

と、さすがに隠れきれないと思ったのか、大慌て飛び出してきました。

#7










尻尾の裏の白い毛が印象的です。これはシカ類がみんなやる行動で、仲間に危険を知らせてみんなで一斉に逃げるための

合図ですね。

#8










気の毒なぐらい必死で逃げていました。写真を撮るだけで何もしないのに、とは思いますが、そんなことは通じません

ものね。

#9










よく見ると逃げて行くその目の前にツグミが1羽います。

#10










勢いよく突っ込んでいきますがツグミはまだ逃げません。

#11










キョンが跳んで、ようやくツグミも飛んで・・・

#12










もうひたすらに逃げていきます。ごめんごめんと思いながらシャッターを切っていました。

#13










とうとう車道のところまで逃げてきました。たまたま車が通っていないときで幸いでした。

#14










今度は車道を左折して走っていきます。

#15










車道をまっしぐら! まさに全力疾走。

#16










やがて近くの農家の畑の奥へと逃げ去っていきました。この農家の奥には一級河川の夷隅川という大きな川が

流れています。そんな辺りに棲んでいるのかも知れません。

#17















<<おまけ>>

今回のおまけはフクジュソウです。前々回にも載せましたが、あれはずいぶん昔の写真。今回のは先日撮ったばかりの

フレッシュな(?)写真です。惚れ惚れするほど綺麗な花ですね。

#18










たっぷりと陽射しを浴びて、まさに暖かそうな花です。

#19










葉っぱにも独特の美しさがあります。何もかもが最高の花だと思います。

#20

















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奥の細道にキョンのいる風景

2021-12-08 | 小動物・虫・魚 & more
 
いつもの散歩道をのんびり歩いているときでした。ふと斜面の上の方を見上げると・・・

あ、何かいる!

#1










よく見ると、私にももうかなりお馴染みになってきた野生のキョンです。私のカメラのシャッター音に気づいて

顔を上げました。じっと私を見つめています。

#2










でもほとんど私を恐れる様子もなく、目と耳だけは私の方に向けたまま平然としています。たぶん私との間合いを

見切ったんでしょうね。

#3










少しずつ前に進みながら草を食べていきます。

#4










まだ若い個体のようです。わりと可愛い顔をしていますね。

#5










きっと今歩いているここが彼女にとっての獣道なんでしょうね。注意していればまたここで彼女に出会えるかも

知れません。

#6










それでも私のシャッター音は気になるようで、時々立ち止まっては私の方を見つめます。

#7










ちょっと進んでは・・・

#8










私の方を見つめ・・・

#9










目と耳だけは私から外すことなく歩いていきます。

#10










そして最後は、藪の中へと静かに消えていきました。その間僅かに1〜2分の出来事でした。

今回はたまたま気がつきましたが、今までにも遭遇に気づかずにいたことがあったかも・・・

きっと野生の生き物たちは藪の中で息を潜めて、私たちが気づかずに通り過ぎて行くのをじっと見ていることもある

のだろうと思います。

#11















<<おまけ>>

オギやススキの穂は秋から冬にかけての季節を彩る象徴的な花だと思います。そこで、晩秋の朝陽に照らされた姿を

撮ってみました。

#12




















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