真珠夫人君が亡くなった。気づいたのはきょうの夕方だった。
きのう餌をあげた時、いつもなら餌入れに飛びついてくるのに、じっと寝床に入ったままでウトウトしているので、おかしいなと思っていたのだ。いつもはすぐに餌入れに頭を突っ込んで、ドライフルーツやビスケットを前足ではねのけながら、好きな餌だけを頬袋に詰め込む。
真珠夫人君のケージは次男の部屋にある。昼間、次男の部屋を覗いたときには、真珠夫人君は寝床の中で丸くなっていた。ヒーターが壊れているといけないので、時々ヒーターには触ってみていた。きょうもヒーターは大丈夫だった。
夕方、すぐ前のマックスバリュの100円ショップに買い物に行った。帰ってきたとき、誰もいないのに部屋のあちこちで音がした。確かに食器棚のガラスに何かが当たった音がしたのに、見に行っても何もない。廊下の方でも音がしたような気がして見に行ったのだが、やっぱり何もない。
もしかしたらその時、真珠夫人君が「ぼく、もう行くからね」と言っていたのかもしれない。ごめんね、私は気づかなかった。
カリンバ用の布袋を縫っていて、いつのまにかすっかり外が暗くなったので、部屋のカーテンを閉めて回る。次男の部屋。真珠夫人君は寝床の中にはいなかった。そんなところで寝ていることなんて一度もない場所。寝床とトイレの隙間に鼻先を突っ込むようにしてじっとしている。声をかける。動かない。もう一度声をかける。ケージの蓋を開ける。真珠夫人君の白い小さな背中に触れる。温かい。でも、動かない。真っ黒な目は少しだけ開いていて、でもまばたきしない。動かない。ふわふわの床材を取り除け、桃色の小さな足を見る。不自然な固まったような形。口は少し開いていて、いつもひくひく動いていた鼻先も動かない。ほんの少しだけ死んでしまった動物の匂いがする。
泣きながらヒーターの差込を抜く。温かいままだと腐敗が進んでしまう。夫と次男と妹とみやじまさんにメールして、涙でぐっちゃぐちゃになった顔を洗って、またマックスバリュに行く。棺と花を用意しなくてはいけない。
100円ショップで可愛い紙箱を探す。なかなかちょうどいいのがなくて、小さなパウンドケーキのトレイを買う。小さな花柄の紙のトレイだ。花も買う。黄色いカスミソウみたいな小花のソリダスターとオレンジ色のスプレーカーネーション。
トレイの中にソリダスターの花だけを敷く。真珠夫人君をその上に寝かせる。私の手の上に乗った小さな真珠夫人君。お世話はしていたけれど、遊んであげることはほとんどなかった。真珠夫人君のまわりにソリダスターの黄色い花と、スプレーカーネーションのほぐしたオレンジ色の花びらを入れていく。白い真珠夫人君の耳と背中が花の間からのぞいている。
バイトから戻ってきた次男が「本当に死んでいるの?」と聞いて、真珠夫人君を棺から出して掌に乗せる。「僕はあんまり遊んであげんかった。寂しかったかもしれない」真珠夫人君はもう動かない。
次男が庭の沈丁花の木の下に穴を掘って、小さな棺を埋めてくれた。
亀緒君はリビングにもキッチンにも和室にも自由に行けて、毎晩私とも遊んでいる。だのに真珠夫人君は、ずっと狭いケージの中にいて、餌をもらうときに少しかまってもらえるくらいの2年間だった。真珠夫人君、君はうちの子になって幸せだっただろうか。きょうの夕方、部屋のあちこちで音をたてていたのは君だったの? ごめんね、すぐに気がつかなくて。君は本当にいい子だった。ありがとう、可愛い真珠夫人君。さよなら、真珠夫人君。
きのう餌をあげた時、いつもなら餌入れに飛びついてくるのに、じっと寝床に入ったままでウトウトしているので、おかしいなと思っていたのだ。いつもはすぐに餌入れに頭を突っ込んで、ドライフルーツやビスケットを前足ではねのけながら、好きな餌だけを頬袋に詰め込む。
真珠夫人君のケージは次男の部屋にある。昼間、次男の部屋を覗いたときには、真珠夫人君は寝床の中で丸くなっていた。ヒーターが壊れているといけないので、時々ヒーターには触ってみていた。きょうもヒーターは大丈夫だった。
夕方、すぐ前のマックスバリュの100円ショップに買い物に行った。帰ってきたとき、誰もいないのに部屋のあちこちで音がした。確かに食器棚のガラスに何かが当たった音がしたのに、見に行っても何もない。廊下の方でも音がしたような気がして見に行ったのだが、やっぱり何もない。
もしかしたらその時、真珠夫人君が「ぼく、もう行くからね」と言っていたのかもしれない。ごめんね、私は気づかなかった。
カリンバ用の布袋を縫っていて、いつのまにかすっかり外が暗くなったので、部屋のカーテンを閉めて回る。次男の部屋。真珠夫人君は寝床の中にはいなかった。そんなところで寝ていることなんて一度もない場所。寝床とトイレの隙間に鼻先を突っ込むようにしてじっとしている。声をかける。動かない。もう一度声をかける。ケージの蓋を開ける。真珠夫人君の白い小さな背中に触れる。温かい。でも、動かない。真っ黒な目は少しだけ開いていて、でもまばたきしない。動かない。ふわふわの床材を取り除け、桃色の小さな足を見る。不自然な固まったような形。口は少し開いていて、いつもひくひく動いていた鼻先も動かない。ほんの少しだけ死んでしまった動物の匂いがする。
泣きながらヒーターの差込を抜く。温かいままだと腐敗が進んでしまう。夫と次男と妹とみやじまさんにメールして、涙でぐっちゃぐちゃになった顔を洗って、またマックスバリュに行く。棺と花を用意しなくてはいけない。
100円ショップで可愛い紙箱を探す。なかなかちょうどいいのがなくて、小さなパウンドケーキのトレイを買う。小さな花柄の紙のトレイだ。花も買う。黄色いカスミソウみたいな小花のソリダスターとオレンジ色のスプレーカーネーション。
トレイの中にソリダスターの花だけを敷く。真珠夫人君をその上に寝かせる。私の手の上に乗った小さな真珠夫人君。お世話はしていたけれど、遊んであげることはほとんどなかった。真珠夫人君のまわりにソリダスターの黄色い花と、スプレーカーネーションのほぐしたオレンジ色の花びらを入れていく。白い真珠夫人君の耳と背中が花の間からのぞいている。
バイトから戻ってきた次男が「本当に死んでいるの?」と聞いて、真珠夫人君を棺から出して掌に乗せる。「僕はあんまり遊んであげんかった。寂しかったかもしれない」真珠夫人君はもう動かない。
次男が庭の沈丁花の木の下に穴を掘って、小さな棺を埋めてくれた。
亀緒君はリビングにもキッチンにも和室にも自由に行けて、毎晩私とも遊んでいる。だのに真珠夫人君は、ずっと狭いケージの中にいて、餌をもらうときに少しかまってもらえるくらいの2年間だった。真珠夫人君、君はうちの子になって幸せだっただろうか。きょうの夕方、部屋のあちこちで音をたてていたのは君だったの? ごめんね、すぐに気がつかなくて。君は本当にいい子だった。ありがとう、可愛い真珠夫人君。さよなら、真珠夫人君。
死んでしまったとき、すごく悲しくて
泣きながら娘と埋める為の穴を掘りました。
好きだった餌と、好きだったさらさらの砂も
一緒に。。
亡くなる前の日の夜、いつもならのぞくのだけど、
たまたま作業をしていて、
なんか静か過ぎる気がしていたのに、
みてあげなかったこと、すごく悔やみました。
ろみさんはいつも、新鮮な野菜をあげたり
こまめに部屋を掃除したり、真珠夫人くんは
きっと幸せだったとおもいます。
小さな命だけど、ずっしり重い。
亀緒君はハムスターの真珠夫人君より寿命ははるかに長いはず(病気とか事故がなければ、たぶん私の方が先に死ぬはず)なのですが、よりいっそう大事に育てたいと思います。