満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

ろうそく出~せ

2006-08-28 | 日々のハチャメチャ
私の子供の頃は、お盆の時期になると
我が札幌の地元商店街を提灯を持って
「ろうそく出~せ、出~せ、出~せ、出さなきゃ引っかくぞ~」
などと「節」をつけて歌いながら練り歩いたもんです。

小さい子は近所のお姉ちゃん(小学生高学年)に手をひかれ参加します。
浴衣にへこ帯(繻子帯)、赤い下駄。
へこ帯の垂れの部分に房があって、そこに鈴が付いてました。
動くと「シャンシャン」と鳴って嬉しかったナ~。

提灯の中には本物のロウソクがあって、本物の火が点いてたんですが
(当たり前ですな)
当時、子供だった私は火の点いたロウソクを
自己責任の下、一人で持たせて貰った事にエライ緊張してました(カワユイ)
親からは、斜めにするな!転ぶな!提灯に火が移ってしまったら手を離せ!
などのウルサイ程の注意事項をあびせられ
(元来、ソコツな子供でしたので…)
履きなれない下駄にヨロヨロしながら出かけて行きました。

暗くなってからの保護者無しの外出の楽しさったら…。
いつもの見慣れた商店街が違って見えるんですもん。
昼は通れる狭い奥まった路地も真っ暗ですし、
子供達が照らす提灯のほの暗い明かりがユラユラと
辺りを照らすのですから、怖いような~見たいような~(笑)
私は一緒に回ってくれた
お姉さんの手をシッカリと握って緊張感一杯でしたね~。

各商店や普通のお家などは
子供達が来てイイよ~の合図として玄関に明かりを点けていました。
玄関前に集結した子供達はお互いに手を繋ぎ
「ろうそく出~せ」と歌います。
そうすると、そこのウチのオバサンやオジサンが出てきて
「怖い怖い」とかノリノリで演技してくれ
小さなロウソクとお菓子の包みをくれました。

ロウソク貰ってどうしたんだろ?
家に帰って親に渡して…その後のロウソクの消息については不明だな~
目的はお菓子ですから~。

途中で出会った子供同士で情報交換するんです
どこそこの家はケチだった…とか、
あそこの家に行ったら「えびせん」入ってた…とか、
見ろよ~ミルキー入りだぞ!…とか(笑)
ほんと、子供のおやつの種類が少ない時代だったので
スゴイ情報を仕入れると急いで走って行きました(競争率がキビシイ~)

そんな楽しい思い出も翌年には少し変更になりました。
「出さなきゃ~引っかくぞ!」の部分です。
PTAのおば様たちが「良くないお言葉」の台帳に
「引っかくぞ!」を入れたため
翌年には「ろうそくくださ~い」に改められ、
その後、子供達が火の点いた提灯を持って
夜に出歩くのは「いけないこと」の台帳にも載ってしまい
父兄同伴を義務付けられてしまいました。

生きる事に精一杯だったときは、そんなに見向きもされなかった子供ですが
少し世の中に余裕が出来てきたアノ時代は
親の目が子供に向きだした最初の頃でした。
「教育ママゴン」なる言葉も出てきましたし、
TV番組にも親からの苦情が寄せられるようになりましたしね。
ワースト番組はドリフの8時だよ全員集合やコント55号の野球拳でした(笑)

たった一回の「出さなきゃ~引っかくぞ」でしたが
楽しいのと、怖かったのと、緊張したのと、美味しかったので
大層、思い出に残る一夜でした