満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

竹光侍 描:松本大洋 作:永福 一成

2008-09-11 | 漫画紹介
松本大洋作「竹光侍」(漫画)の紹介である
今のところ、1巻から4巻まで出ていて現在も進行中

 

 

竹光とは本身の刀を売ってしまったり、重くて刀を持つのを嫌がった侍が
竹を削ったものを刀身にし、刀のように見せかけ体裁を繕ったモノである

テレビで放映されている時代劇とは異なり
平和で切り合いの少なかった江戸時代には、よくある話であった

長屋に住む大工の息子「勘吉」が、その若いお侍をはじめて見たのは
正月の寒い朝のことであった。

長屋にある「かわや(トイレ)」は遠い
だいたいが長屋の奥、とっつきにあるので、そこまで外を歩いて行かねばならない

意を決して外へ出た「勘吉」の目に「狐の化け物」が見えた
あまりの恐怖に小便を垂らし座りこんでしもうた「勘吉」を
「狐の化け物」は親切にも「勘吉」の着物を洗ってくれ
「瀬能宗一郎(せのう・そういちろう)と申します
 本日よりこちらの長屋でお世話になります」と挨拶をした

よく見ると可なりな狐目であるが、若い人間のお侍であった

子供の目とは不思議なもので、大人には見えない何かが見える時がある
その狐目のお侍は確かに「狐の化け物」な一面も持っておった
でもな、またまた子供とは不思議なものでの~
良い人と悪い人をちゃ~んと見分ける力も持っておる
「勘吉」は、この狐目のお侍が何故か気になり側をくっついて離れない
そうして二人は仲良くなっていったのである

この漫画は、ある日長屋にヒョイっと現れた不思議な浪人の話なのだが
正真正銘人間であるのに…異様なほどに人間離れし過ぎている
ココに読者は「勘吉」と同じように惹かれていく
「この侍の過去には何かイワクが隠されている」
そう思ったら最後、目が離せない(笑)

めっぽう剣の腕が立つ。しかし腕が立ち過ぎ禍の匂いすらする。
見事な妖刀を持っている。が…妖刀に主従逆転されそうになり竹光侍となる。
怖いけど優しい。賢いのに世間に疎い。知らなそうで知っている。
このような主人公「瀬能宗一郎」から長屋の住民達は目が離せなくなる
そうして彼が少々怖いのに、好きになってしまうのである

作者は「鉄コン筋クリート」を描いている松本大洋
ウィキペディアによると、父は作家の松本東洋。
母は詩人の工藤直子。妻は漫画家の冬野さほ
従兄弟の井上三太も漫画家らしい

彼の作品を見るのはコレが始めてであるが、漫画原稿用紙の枠を超えてくる
飛び出す絵本のように感じるのだ(笑)
それでいて画面下隅に描かれている小さな「モノ」もクッキリと見え
普段見逃しそうな虫ですら命を持って動いている感がある

鳥獣戯画さながら宗一郎の周りの人々の心の内を
モノや動物、虫までもが代弁して語る時もある(笑)

絵柄は人によって好き嫌いがあると思うが
機会があったら読んで欲しい漫画の一つである
なにせ、面白い(笑)

今回、面白い漫画を私に紹介してくれたのは
「小耳書房」のさくらさん
このブロガーさんも面白くって好き。どことなく竹光侍っぽい(笑)
ポヨ~ンとしておるのかっ?っと思えば時々毒も吐く
ヤル気のなさを前面に出したな~っと思えば漢字検定試験なんぞも頑張る
私と同じく本も漫画も読み、色々と紹介してくれている
こちらも病みつきになりそうなブロガーさんである(笑)

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