19世紀のカスピ海周辺での物語り。
多分、アジアの東端かな? 衣装を見るとイスラム系とは違う雰囲気があるので
○○スタンとか…トルコ系民族ではあるまいか? っと思って読んでいた(笑)
それにしても作者の森薫さんには頭が下がる。
彼女の作品「エマ」を読んで、大変丁寧に作品を仕上げる方だな~とは思っていたが
今回の「乙嫁語り」はエマを遥かに超えた細かさではないかと思う
この物語に登場する民族は常日頃から、とても手の込んだ刺繍が施された衣装を着ている
それらの衣装は全て、女たちの作品である。
それぞれの家には、女達から女達へと脈々と伝わる伝統模様が数十種類以上あり
その家に生まれた娘や、嫁として嫁いで来た者は、それらの模様一つ一つを覚える。
また自分でも模様を創作して後世の者にも伝えていくのだ。
布を選び、糸を選び、一針、一針に思いを込めて縫いあげる。
「どうか健康で過ごすことが出来ますように」「狩りの腕があがりますように」
そうした複雑で、とても素晴らしい刺繍の作品を
森薫さんは、読者である我々の「健康」や「長寿」をも祈るように
一針一針を手描きで仕上げているのである。
とても、ザっと見てページをめくることなんぞ出来ない(笑)
今回のお話しは主人公である20歳の「アミル」が山を越え
遠い町へお嫁に来た所から始まる
彼女の部族は、まだ古い因習を残し遊牧の民として生きている。
ところがアミルの嫁ぎ先は、新しき生活を取り入れ定住した生活を送っている
私は、こういう話にとても興味を持っている。
孤高で誇り高き彼らが、
家畜を第一と考え遊牧しながら移動する生活を捨て、村で暮らすのには
それなりの覚悟と思いがあったのだろうと考えている
生活面でも安定というプラスの部分と
伝統や自由といった物を失いかけないマイナスな部分もあるのではないかと思う
それらにどう折り合いをつけながら生活していたのか?ここに非常に興味があった。
このような新しい文化との融合を「乙嫁語り」はとても上手く表現している
アミルの実家は、個人や家を主体としている。生活の土台となる遊牧地への執着も強い
女に対しても羊以下として扱う風習が根強く残っていて
力強く、逞しく、無駄口を効かず、良く働く女は、婚姻による戦略的な道具として扱う
それに比べアミルが嫁いだ村での生活は、ある意味共同体である。
皆で井戸やパンを焼く場所などを共有している。
他の家族の動向に目を向け、色々な情報が手に入り、外国からの客人も居る。
敵とみなせば同じ窯のメシを食った仲間のように、全員で一致団結し対処する。
ただし遊牧の民と違い、子供たちは弓を引くことなどはしない。
どちらも生活様式の違いはあるが、女が結婚相手を選べないという部分では一致している
アミルは20歳というこの民族としては高い年齢で嫁として来たが
嫁いだ先の夫は8歳も年下のまだ12歳の子供であった(笑)
でもこの初々しい新郎新婦の関係がとてもいいのだ。
どう良いのかは、皆さんご自分の目で確かめて欲しい(笑)
それほど良い作品だと、私は思う。
この「乙嫁語り」。一人一人の人間に様々な物語があるように
これから色々な新婦の物語が展開していくのではないだろうか?
どのように話が広がり、どのように話が終わるのか…
彼女たちが作る刺繍のように、話が紡がれ、色をなし、どこかで交わるのかと考えると
今からとても楽しみである
ところで、前にも述べたが私も夫とは出会って3ヶ月で結婚した
しかも総合5日程度しかお互いの顔を見ていない
あとの時間は電話と手紙で語りあっていた(ハハハハハ)
最初の数回はお互いに顔すら覚えておらず、待ち合わせの場所で困ったくらいである
遠く離れた地で暮らす11歳も歳の離れた、都合5日しか出会っていない男と
よくぞ結婚したな~っと今でも思う(笑)
でも、あの時、思い切って踏み切った自分の英断に、心から拍手を送りたい
人との出会いに時間は関係ないのかもしれん。
出会ったその瞬間に全ては見えているのだ。
それさえシッカリと見極めることが出来れば、自然がことを運ぶ(笑)
そんな風に平然と思う私にも…
遊牧民の血が流れておるのかもしれん(ハハハハハ)
しかし…今回は11歳年上の夫を選らんだが…次回は…8歳年下ってのも…
エエの~~~~~(ブワハハハハハ)
ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)
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