血塗られた戦場、足音は空虚に響き、傷だらけの手が、運命を握りしめる。

【消えた50円玉と山椒の謎】


ここ数日、奇妙な出来事が相次いでいる。
例えば——

① スマホの請求ハガキ

ポストから回収し、テーブルに置いた。
消えた。
翌日、何食わぬ顔でテーブルの上に復活。

② 50円玉

確かに、お釣りで受け取った。
だが、気づけば忽然と消失。
仕方なく、自腹で補填。

③ 山椒の小袋

手もとから、ヒラリと落下。
が、着地する前に——消えた。
もはや、時空の彼方。

④ アリオの謎

以前探しても見つからなかった店舗が、
突然眼の前に現れた。
確かにある。

…いやいやいや、前回どこ行ってた！？

まさか、私が見落としていただけ？
いや、それはない。
完全に「存在しなかった」はずなのに、
何故今ここに…！？
これ、もしや シュレディンガーの猫状態 では？

観測しなかったから消えていたのか、
今になって確定したのか。
あるいは、時空の狭間から帰還したのか。

こんな現象が、ここ3日ほど連続で発生中。
いや、なんで消えたり現れたりするんだ！？
世界線がズレてるのか？
ついに私も異次元に足を踏み入れてしまったのか？？

調べたところ、これは 「アポーツ現象」 というらしい。

日本では、「物体移動現象」「運搬現象」と呼ばれる、
超常現象の一種。

定義：離れた場所にある物体が、別の場所に現れる現象。
特徴：物体が、空中移動、壁をすり抜ける。
　　　目撃者がいる状況で起こることが多い。
事例：鍵や指輪が、別の部屋に移動している。
　　　遠くにあったものが、眼の前に現れる。
解釈：・超自然的な現象。超能力や霊的な力が関与している。
　　　・心理的な現象。錯覚。思い込み。無意識な行動が原因。
　　　・物理的な現象。未知の物理法則や現象が関与している。

肯定派、否定派の意見があり、解釈は様々。


——つまり、アリオで行方不明だったバレンタイン会場も、
次元の狭間に消えてた可能性…ある？？

「いまだにやってないの、普通におかしくない？？」

でも、よくよく考えると、
物が消えることは、日常的によくあった。
自分があまりにも抜けているので、
深くは考えなかった。
ここ数日、立て続けにこれが起こって、
実際、山椒の小袋は、眼の前で忽然と消えたから、
初めて、疑問に思い、
調べてみたわけです。
ちゃんとした名称がついた現象だとは、
思いもしなかったわけです。

この調子で 消えてほしい業務 も、
時空の彼方に飛ばしてくれませんかね？？



【アポーツ現象、次のターゲットは……？】

…ここで、ふと気になることがある。

「これ以上、高額なものが消えたらどうしよう？」

500円玉？　 給料？　 通帳？
いや、それどころじゃない。

臓器が消えたらどうする！？
人が消えたら！？ 家が！？ データが！？ 記憶が！？
最終的に、人としての尊厳が消えたら、さすがに笑えない。

でも——
「消えてほしい仕事」 は、一向に消える気配がない。
むしろ、増えた。

土曜の昼勤務が 早朝勤務 に変わった。
翌日は 22時まで労働 → 8時間後に再び出勤。
…ん？
これ、もしやアポーツ現象じゃなくて、
ブラック労働のデススパイラル では？？？

「消えるべきは、おまえだったのか…！」

とりあえず、私の労働環境が 異次元に飛ばされる日 を心待ちにしておこう。