小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

陽だまりと『反語法』とティーとティー

2008-01-05 01:37:27 | 週間日記
三が日も過ぎ、一応これで週間日記の遅れは取り戻しました。やったぞ。

●07年12月
24日(月)塾
25日(火)この週までなのでシネマテークたかさきでデヴィッド・リンチ新作『インランド・エンパイア』は、ファンだから楽しめる、か~帰りに万豚記という店で醤油ラーメン。いろいろ考えているのだろうなとは思う
26日(水)年内最後の出張授業~長崎ちゃんめん
27日(木)仕事先忘年会で恵比寿へ。寝床はネットカフェ~朝、起きて帰り、何となく腹がへった気がして新宿・後楽そばのなにわ三色定食を食べる。決しておいしいものでないのにうまい。食べ物は不思議~埼京線に乗ったら寝てしまい大宮を過ぎ、戻ったら池袋に到達の1ピンポンで何とか帰還
28日(金)晩、のび太でカレーうどん食べると年内営業最終日だそうで、おばちゃんが来年もよろしく~塾~終わったら疲れが出てそのまましばらく寝る
29日(土)上柴・喜楽でタンメン~年内最後の塾
30日(日)昼はだらだら~晩は父親と星野ラーメンを食って一寝入り~おお、閉店時間だと最終日曜ペットの日ヤオコーに行くが、先週23日だったというのでまいった。しかし店内告知もあるので、これは消費者であるこちらの過失だろう

年末年始。夜が来れば近辺のどっかに飲みに行き、昼は訪ねて来る人に対応したり、陽だまりの中、前にブックオフで100円で買った、実は著書を読むのは初めての米原万理『オリガ・モリソヴナの反語法』を楽しんだりしている。そういえば、しばらくきちんと小説を読んでいなかったこともあって、これがたまらなくおもしろい。

主人公志摩(シーマチカ)がソビエト崩壊後のロシアで、1960年代チェコのソビエト学校時代のダンス教師オリガ・モリソヴナ;どうやら伝説のダンサーだったらしい:の1930年代から50年代の謎を追う。
「オリガ・モリソヴナの反語法」とはオリガ独特の罵倒。若き日の彼女を知る老劇場衣装係によれば、(母がフランス人であることによる)「罵倒語の語彙不足をバラ(オリガ)は卓抜な方法で補っていたんです。本来プラスのイメージの言葉を強調することで反語の意味にしてしまうという……」。たとえば、「これぞ美の極致!」「ああ神様! おお驚嘆! まあ天才!」……
一昔流行った言葉でいえば「ほめ殺し」だろうが、年齢不詳な「オールドファッション」の元ダンサーの優雅な身のこなしが描かれる間にちりばめられているから効果は満点。名エッセイストだった著者の華麗で、それでいて上品な毒気をも充分に含んだ文体が冴え渡る。
1960年代チェコに始まった物語は主人公が帰った日本と変貌する現代のロシア、そしてオリガの波乱に満ちたスターリン時代、謎めいた「カザフスタンのアルジェリア」ほか、20世紀の歴史とユラーシアを、伝説のダンサーのステップのように奔放に駆け巡る。

500ページのうち、もう半分まで読んでしまった。巻末で著者と対談している池澤夏樹が確か『マシアス・ギリの失脚』のあとがきで書いていた、「いくら読んでも終わらない物語」のような読書の喜びを味わっている年始になった。
寒波が来るといいながら、昼の陽だまりはけっこうあたたかい。アールグレイのカップを持って、庭に夏の青のビーチチアを出して読んでみた。すると、ティーが来て乗っかる。
陽だまりと『反語法』とティーとティー。こんなにあれば、ほかにいらない。
「おお幸福、これぞ正月の極致!」

(BGMはとくに関係なくコルトレーン『ジャイアントステップス』)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする