深谷シネマ館長でもある竹石さん企画の第2弾。
市内の郷土史家・奥田豊さんを迎えた第1回(9月30日)に続き、今回は文化遺産の保存・再生 と建築史が専門の東工大准教授・平賀あまなさんをお迎えします。テーマは『「煉瓦の街』と「七ツ梅」の魅力』、七ツ梅関係者によるパネルディスカッション、懇親会(有志参加)を併催。
今回は外部からゲストをお迎えということで、「小林さん、チラシつくってくれる?」。せっかくなので、裏面に映画解説のような一文「区画整理と七ツ梅」を勝手に挿入しました。
動き出してきた「七ツ梅」。これからの展開が楽しみです。
・・・以下「解説」・・・
区画整理と七ツ梅
※七ツ梅酒造跡は文中「七ツ梅」と略記。他団体もおもに通称を用います
まち遺し深谷が発足して13年。2010年の深谷シネマ移転をきっかけとして独特な雰囲気に惹かれた人々が少しずつ移転し、新たなまちに生まれ変わりつつある深谷宿・中山道に多様な文化が交差する新名所となりました。
「市役所通り」「レンガ通り」を産んだ「中央土地区画整理事業」は現在進捗率37%。計画では道路が七ツ梅を縦横に貫くので、現在ある店舗の建物のいくつか、東蔵や母屋の一部は取り壊さざるをえません。
もともとシネマ移転は、前劇場の銀行跡だった建物が区画整理で解体されるのが理由。当時、関係者の間では費用面も含めて反対の声も少なくなかった(ドキュメント映画飯塚俊男監督『街のひかり』(09)に描かれている)のですが、映画館の新展開を求めて移転を決定。東日本大震災、デジタル化、コロナ禍といった危機を越えて現在の七ツ梅があります。
シネマ移転以前から、区画整理事業見直しの声もずいぶんありました。いわく、数十年前の計画を背景の違う現在も進めるのはどうか、「レンガのまち」を掲げながら、歴史的な遺産を壊す事業はどうか。しかしそれでも少しずつ、区画整理事業は進んでいます。
しかし最近、事業再考の動きも少しずつ出てきました。昨年市議になったわたしは、七ツ梅で発生したカルチャーのできるだけの存続を、文化と歴史、とくに現代の歴史も活かしたまちづくり、区画整理の再検討とセットで提案。直近の9月議会決算特別委員会では、他の議員からも見直ししてはどうかという声があがっています。
深谷シネマを運営する市民シアターエフでは、2018年から七ツ梅を「にぎわいの里」とするための維持・購入資金として「七ツ梅ミライ基金」(現在は募集休止中)を設立。地元自治会、商店街、市民団体とともに、市と協働してのまちづくりを呼びかけています。
今回2回目を迎えるワークショップも、七ツ梅やこの場所に育った文化の価値を伝え、みなさんと共有しようとする試みです。
認定NPO市民シアターエフ監事 小林 真
七ツ梅酒造
七ツ梅酒造は、元禄7年(1694年)に近江商人の田中藤左衛門が創業した酒造。江戸時代に辛口の旨酒として「酒は剣菱・男山・七ツ梅」といわれた銘酒でしたが、2004年(平成16年)に廃業し銘柄「七ツ梅」は灘に引き継がれました。
現在、酒造跡地は、所有者の意向を受けて一般社団法人まち遺し深谷が施設の保存および運営・管理。約950坪の敷地に母屋、店蔵、煉瓦造りの精米蔵、煉瓦煙突などの建築群が遺っています。
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