がんばっているとやることが増えてくる。ありがたいけど時間は限りがあるから、ある仕事をこまごまと精緻さをきわめようとして、結果的にいくつかの仕事が乱暴になることがあり、これまでにもそうした失敗はいくつもあって反省していた。何といっても数量がものをいう世の中なので、本意でないがしかたない。
なかなか新聞もゆっくり読めなかったが、起きて昨日の夕刊をめくっていると別役実のインタビューがあって目をさまされた。
(ある「差別用語」に対して)「NHKが数百万人の視聴者に使ったら差別だが、100人の劇場で使う場合は人を人として扱う温かみを感じさせる場合もある。そのニュアンスの違いを感じられなくては人間は回復しない」
その後、1960年代の不条理劇に関して続ける。
「その頃は、言葉を自分自身の正義の中から紡ぎだす文化があった」
「60〜80年代、言葉が日常会話に近づき、自分の外側の言葉を貼り付ければよくなった」
「会話そのものは意味を持たないが、会話を成立させる状況が一つのメッセージになっている。そういう文体に変えたのが大きかった」
これは大きなヒント。大事なのは、ふさわしい精緻と「成立させる状況」だ。
天気はよくなさそうだが、今日もがんばろう。
(画像は11月6日撮影)
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