日曜に書きかけたままだった悲しい話です。
・・・
秋になって大きくなっていたティーのお腹が小さくなって帰ってきたのは9月22日頃だった。
知らないところで産んだこともあるので、いつ連れて来るのだろうと思っていると、10月の上旬から、夏に壊したバラックにあった捨てられないものを行き場なく積んでいるあたり、まわりは草もぼうぼうでちょっと踏み込めない場所で、にゅうにゅういう声がきこえるようになって、初めて姿を見せたのは祝日の13日だった。
見つかったのは2頭。ともにお祖母さんのカロンタンと同じきじで、しっぽが短いのと長いのが一頭ずつ出てきた。この模様が好きだからうれしく、早速、箱に古シャツを入れて基地をつくって入れてみると、やつらなかなか活発で、にゃおにゃおいいながらすぐ出てしまい、草の実だらけになっている。休みだから昼間に来た中学生も姿は見なかったけど声だけをきいて、カワイー、なんていう。
天気のいい、暑いくらいの昼が続いた先週。途中から都内出張も入り、出かけた水曜から翌木曜もさらに出張で、午後からなので昼前に起きて出てきたねこどもに食べ物をやり、その後で外に出てみると、母親のティーがなぜだか動かなくなった小さい一頭を咥えてきた。
あれ、こりゃどうしたんだ、触ってみるとけっこう冷たい。子ねこを転がしているティーからしっぽの短いその一頭を奪って、しかたがないので暖かい秋の陽光の中、スコップ持って前の畑のコスモスのところに行った。
なんでだろう、全然寒いわけじゃないし第一あいつら小さいとはいえねこだ、20日くらいにしちゃあちょっと小さいかな、とは思ったけど、けっこう元気だったしな、あれ、そういえばしっぽの長い方はどうだったんだ、と思って基地に行くと、茶色い小さいやつはもう元気がなくて小さく息をするだけ、おお、ティー、おめえ、ちょっとみてやんないと、と、抱えて基地に連れて行っても、もうだめと思っているのかすぐ出て来てしまい、天気のいい空の下、いつもと同じようにあくびなんかするばかり。
なんでだ、だけどもう出かけるのに時間がないから、明るい秋の陽射しの中、車走らせ駅に行く、母親のティーはねこだから、なんでなんていわない、けどこっちは人間なんで、なんでなんて考える、なんてこった、なんでこんな青空、雲ひとつない、
・・・
その日は取材で、興味深い話に三時間くらい熱中してきいたり質問したりして、終わったらうまい具合に腹もへったので、食べるならここは好きなものを思って水道橋の方のとんかつ、いもやに行った。帰ってからもずっと忙しい日が続いたし、野球もみなけりゃならないし、母親のティーをはじめ、おとなのねこはいるしで、だいたい二頭の子ねこのことは忘れている。
そんな中、前週からたまにきこえないことがあった携帯電話のスピーカーが、まったく機能しなくなった。ソフトバンクの店に電話すると、テレビ電話でなくても顔がわかるようなねえちゃんが、修理すると1万0500円で、分割の残金半年分何千円か出せば買い換えられることを説明してくれた。
去年の四月からだからもう一年半使っていて愛着はあって、買い換えるのは単純にさびしい。けど当たり前だけど、野球や仕事や遊びの合い間に、ふと思い浮かぶのは二頭の草の実だらけの小さなからだや、にょおにょおいう声だ。
いつも、何かをいとおしく思うのはそのためにした「ひまつぶし」、つまり時間があるからだといっている。なのに、姿を見たり触ったりしたのはほぼ一日だけ、あとは電話で話しただけの人のように声しか知らなかったやつらばかりが思い出されるのは、もちろん携帯電話と違って生命だからだろうが、ならばその「生命」とはなんだろう、少し考えてそれは「可能性」なんだなと思った。
あの細い毛が、小さな四本の脚が、少しずつ大きくなるとどうだろう、みゃあみゃあがフーになったかな、そういう様子が思い浮かぶから生命は「可能性」なので、それは母親でもねこのティーにはわからない。それはけっこう不思議なことに思える、なんでだ、なんてことだ、
・・・
その日も晴れていた今週火曜の朝、ねこに食べ物ををやった後、仕事を始めた。
きいていた Accuradio から流れてきたのは、きき憶えのある、拙いけれど凛としてやわらかなギターストローク、ベル&セバスチャンの Another Sunny Day。そうだ、いつの日か/もう一つの「晴れの日」なんだ、憶えているのは、思えるのは、だから、おぼえていないし思いもしないティーには、 Another Sunny Day はなくて、今のあくびがあるだけだろう。
・Belle And Sebastian "Another Sunny Day"
http://jp.youtube.com/watch?v=F2lviob9xAQ&feature=related
・上記曲に関する過去の記事
http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/s/Another+Sunny+Day
前の畑のコスモス、二頭がねてるあたりから、16日木曜
・・・
秋になって大きくなっていたティーのお腹が小さくなって帰ってきたのは9月22日頃だった。
知らないところで産んだこともあるので、いつ連れて来るのだろうと思っていると、10月の上旬から、夏に壊したバラックにあった捨てられないものを行き場なく積んでいるあたり、まわりは草もぼうぼうでちょっと踏み込めない場所で、にゅうにゅういう声がきこえるようになって、初めて姿を見せたのは祝日の13日だった。
見つかったのは2頭。ともにお祖母さんのカロンタンと同じきじで、しっぽが短いのと長いのが一頭ずつ出てきた。この模様が好きだからうれしく、早速、箱に古シャツを入れて基地をつくって入れてみると、やつらなかなか活発で、にゃおにゃおいいながらすぐ出てしまい、草の実だらけになっている。休みだから昼間に来た中学生も姿は見なかったけど声だけをきいて、カワイー、なんていう。
天気のいい、暑いくらいの昼が続いた先週。途中から都内出張も入り、出かけた水曜から翌木曜もさらに出張で、午後からなので昼前に起きて出てきたねこどもに食べ物をやり、その後で外に出てみると、母親のティーがなぜだか動かなくなった小さい一頭を咥えてきた。
あれ、こりゃどうしたんだ、触ってみるとけっこう冷たい。子ねこを転がしているティーからしっぽの短いその一頭を奪って、しかたがないので暖かい秋の陽光の中、スコップ持って前の畑のコスモスのところに行った。
なんでだろう、全然寒いわけじゃないし第一あいつら小さいとはいえねこだ、20日くらいにしちゃあちょっと小さいかな、とは思ったけど、けっこう元気だったしな、あれ、そういえばしっぽの長い方はどうだったんだ、と思って基地に行くと、茶色い小さいやつはもう元気がなくて小さく息をするだけ、おお、ティー、おめえ、ちょっとみてやんないと、と、抱えて基地に連れて行っても、もうだめと思っているのかすぐ出て来てしまい、天気のいい空の下、いつもと同じようにあくびなんかするばかり。
なんでだ、だけどもう出かけるのに時間がないから、明るい秋の陽射しの中、車走らせ駅に行く、母親のティーはねこだから、なんでなんていわない、けどこっちは人間なんで、なんでなんて考える、なんてこった、なんでこんな青空、雲ひとつない、
・・・
その日は取材で、興味深い話に三時間くらい熱中してきいたり質問したりして、終わったらうまい具合に腹もへったので、食べるならここは好きなものを思って水道橋の方のとんかつ、いもやに行った。帰ってからもずっと忙しい日が続いたし、野球もみなけりゃならないし、母親のティーをはじめ、おとなのねこはいるしで、だいたい二頭の子ねこのことは忘れている。
そんな中、前週からたまにきこえないことがあった携帯電話のスピーカーが、まったく機能しなくなった。ソフトバンクの店に電話すると、テレビ電話でなくても顔がわかるようなねえちゃんが、修理すると1万0500円で、分割の残金半年分何千円か出せば買い換えられることを説明してくれた。
去年の四月からだからもう一年半使っていて愛着はあって、買い換えるのは単純にさびしい。けど当たり前だけど、野球や仕事や遊びの合い間に、ふと思い浮かぶのは二頭の草の実だらけの小さなからだや、にょおにょおいう声だ。
いつも、何かをいとおしく思うのはそのためにした「ひまつぶし」、つまり時間があるからだといっている。なのに、姿を見たり触ったりしたのはほぼ一日だけ、あとは電話で話しただけの人のように声しか知らなかったやつらばかりが思い出されるのは、もちろん携帯電話と違って生命だからだろうが、ならばその「生命」とはなんだろう、少し考えてそれは「可能性」なんだなと思った。
あの細い毛が、小さな四本の脚が、少しずつ大きくなるとどうだろう、みゃあみゃあがフーになったかな、そういう様子が思い浮かぶから生命は「可能性」なので、それは母親でもねこのティーにはわからない。それはけっこう不思議なことに思える、なんでだ、なんてことだ、
・・・
その日も晴れていた今週火曜の朝、ねこに食べ物ををやった後、仕事を始めた。
きいていた Accuradio から流れてきたのは、きき憶えのある、拙いけれど凛としてやわらかなギターストローク、ベル&セバスチャンの Another Sunny Day。そうだ、いつの日か/もう一つの「晴れの日」なんだ、憶えているのは、思えるのは、だから、おぼえていないし思いもしないティーには、 Another Sunny Day はなくて、今のあくびがあるだけだろう。
・Belle And Sebastian "Another Sunny Day"
http://jp.youtube.com/watch?v=F2lviob9xAQ&feature=related
・上記曲に関する過去の記事
http://blog.goo.ne.jp/quarante_ans/s/Another+Sunny+Day
前の畑のコスモス、二頭がねてるあたりから、16日木曜
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます