まだまだ遠い目的地…

紳士「おや？ 眠そうですね？
そりゃ 無理もない。
一晩中 移動していたのだから…はじめのうち寝ていたとはいえ 長旅は意外と疲れるものです」

天の川の流れは だんだんと強くなってきていて 漕がなくとも舟は勢いよく流れる。

紳士「…先程も言いましたが目的地へは まだまだ遠く 実は天の川に沿って下るだけでも あと丸一日かかります。

なので 今のうちにゆっくりと睡眠をとってください。パーティーのためにもね！
目的地が近づけば ちゃんと起こしますので 寝坊の心配はありませんよ　笑」

まぶたが重い。
お言葉に甘え この辺りで寝ることにした…

天の川をいこう…

周りを見渡すと星が多くなってきた。
その星々の明るさは強く ここが夜空であることを忘れるくらい。

紳士「よし この辺りで舟に乗り込み 天の川を下りましょう！この川の流れに沿っていけば 目的地への近道にもなります」

目的地とはどこなのだろう？まだまだ遠いのだろうか？
そう考えながら 舟に揺られていると なんだか眠くなってきた。

一年ぶりの再会…

紳士「やぁ お目覚めですか！！」

横から 箒に乗った紳士が話しかけてきた。
ん？どこかでみかけた顔だ……

紳士「ふふ お久しぶりです。ちょうど一年ぶりの再会ですよ」

あ！この人は…一年前の今日　パーティー（落書き日記のススメ一周年記念パーティー）に招待された際 わたしを迎えにきた人だ！
去年の今日①
去年の今日②
去年の今日③
去年の今日④
去年の今日⑤
去年の今日⑥
去年の今日⑦

紳士「思い出していただけたようですね(笑)
実は今年も パーティーを開催することになり 去年同様 あなた様を迎えにきた次第です。

今年はパーティー会場が 遠く 到着まで時間がかかるので 主催者のあぐ様の提案で移動の間は寝ててもらおうとベッドごとお迎えに参りました　笑」

草木も眠る…

草木も眠る丑三つ時。
幽霊話やＵＦＯ話……世の中の不思議な話はいつだって この時間に起きる。


頬にあたる涼しい風と 微かな揺れ そしてミシッミシッとベッドがしなる音で目がさめた。


目を見開いた瞬間 黄色い光りが自分を照らす。驚いたのと、まぶしいので 思わず また目を閉じた。

「月？？」

一瞬 見た黄色い光りは 間違いなく月だった。
でも何で 月？

先程まで 蒸し暑い部屋で寝てたはずなのに……

確認するために 再度目を開いた。

「月だ！」

目の前には まぎれもない月が 闇夜にぼんやり浮かんでいた。

ミシッミシッ…

そして 先程から聞こえる音の方へ目をやると 足元には小さな天使が ベッドを持ち上げ飛んでいた。


いま自分は 空を飛んでいる……

（つづく）