俺はある夜、悪夢をみて目を覚ました。
部屋の中では恋人が漫画を読んでいて、ただ、俺は夢をみていたのだと安心した。
「なんだ、どうしたん?」
俺が起きたことに気づいて、彼は本を伏せて、そう尋ねてきた。
俺はとても恐ろしい夢をみたのだが、どうも内容が思い出せんことを伝えると、
突然、彼が後ろ手に隠した包丁で俺を刺した。
しかしそれは夢で、俺は再び目を覚ました。
悪夢同様に、今度はセフレが漫画を読んでいた。
俺は夢であったと知り、思わず彼に抱きついた。
「おうおう、また再開ってか?」
「ちげーよ。スッゲー怖い夢をみたんだよ。お前が俺を殺そうとする夢」
そう聞いた彼はクスリと笑った。
「バカだなぁ。包丁なんかで殺すわけないじゃないか」
そう言って、側に置いていたドライバーで俺を刺した。
しかしそれはまた夢で、俺はまた目を覚まし、
また彼に殺されるというのを何度も繰り返した。
最後に俺は彼に揺り動かされて、半ば強制的に目を覚ました。
「なんだよ! お前、大丈夫か? スッゲーうなされてたぞ!!」
「......」
そして彼は俺を抱き締めた。
俺の目にすぐそばに置いてあったドライバーが映った。
こっちがやらなければ、またやられる。
俺には既に夢と現実の区別はついていなかった。
もう、これで悪夢はみないだろうと俺はまた布団に入り直し、
再び眠りについた。
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