2014/11/19
この数年、人間と犬が太古から育んできた絆をテーマに活動してきた写真家のアンドリュー・フレイドボーさんが『シェパード・レルム3巻』をリリースした。ここにはニュージーランドのサウスアイランドにある農場や急峻な斜面で活躍する美しくも雄々しい使役犬たちの姿が収められている。
犬は30,000年以上前から人間の仲間だったと言われている。特にニュージーランドでは、19世紀にスコットランドからボーダーコリーが輸入されて以来、牧羊犬がその文化的景観を維持するために欠かすことのできない存在である。ここにいる犬たちはペットではない。あくまでも使役犬である。
これらの写真を撮影するにあたって、サウスアイランドの農家の人たちは仕事の邪魔をされることを嫌い、なかなかフレイドボーさんを受け入れようとしなかったそうだ。しかし、農家の仕事を手伝うことを申し出て、一緒になって懸命に働いたことで、打ち解けることができたという。
ニュージーランドの使役犬たちは通常、日の出から日没間で働き、その間厳しい気候の中を広範囲に渡って動き回る。夜になれば、寒い日も暑い日も農家の外にある小さな犬小屋で眠る。激務に追われる彼らの寿命はそれほど長くはない。それゆえに、農家の人たちも必要以上の愛着を抱こうとはしない。
だがそれは逆に愛情の裏返しである。「人々は犬を愛していること認めてしまうと、前に進むことができない。それ故彼らは犬に対する愛情を認めようとしないだけで、実際は犬を愛しているのです」。とフレイドボーさんは語る。信頼関係がなければ、犬たちは天命を全うするまで人の為に働きはしないだろう。
使役犬たちは農家のペットではない。そのため、家の中に入ることも許されないことが多いが、人間とは固い友情で結ばれている。大抵の牧羊犬はボーダーコリーなどを掛け合わせたニュージーランド・ハンタウェイである。7種類の笛による命令を理解し、共に働くシェパードの意図を読むことができる。
フレイドボーさんの作品には、ニュージーランドの災害救助犬も写されている。こうした犬は、子犬の頃から匂いを嗅ぎ分ける訓練を積んでおり、特に空中に漂う匂いや古い匂いを感知することに長けている。その多くは牧羊犬と一緒に険しい大地を何時間も活動することが可能だ。
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