北原鈴淳 琴古流尺八教室 in八王子

尺八の音色は心を癒してくれます。

演奏すれば「無」の境地になれ、演奏が終われば満足感、充実感が得られます。

飯田でライブ

2015-09-08 17:07:00 | 音楽・日々是尺八
1997(平成9)年1月、飯田市下久堅公民館で「新春邦楽鑑賞会」に出演したが、これは私が飯田で初めて尺八を披露した会だった。

それを見た高校同期生らが、私のライブ演奏会を企画してくれた。

ライブの運営は、同級生だった田中悦雄君が窓口となった。彼は高校卒業後、フォークギターをこなし、その縁で「飯田にいるプロのギタリストの桑原利彦氏と組んでライブをしないか」と依頼が来た。

動きは早く、同じ年の5月4日に昼・夜2回公演を桑原氏が経営するライブハウス「キャンバス」で行った。会場は40~50人程度で、いずれも満員だった。

曲目は尺八本曲「鹿の遠音」、箏と合奏で宮城道雄作曲「泉」「春の海」、私の作曲で「木曾節による幻想曲」そして、日本の抒情歌と桑原氏と「コンドルは飛んでいく」「虹のかなたに」他を演奏した。

箏は大平睦先生。実は1971(昭和46)年5月に大平先生の「筝曲おさらい会」が吉祥寺であり、その時私は賛助出演で「六段の調べ」「春の訪れ」を演奏していた。私はまだ22歳だった。
大平先生とは26年ぶりの再会だったが、初共演だった。

大平先生は、その当時は東京で箏を教えていたが、その後結婚と同時に地元飯田市に戻り、飯田高校の「邦楽班」を指導している。
その卓越した指導力により、コンクールでは毎年県代表で全国大会に行き、2010年には文化庁長官賞を受賞。そして2013年には肥後一郎作曲「絃歌」で、ついに念願の優勝の文部科学大臣賞を受賞した。

話を戻すと、ライブ会場には尺八製作者で演奏家でもあったトム・ディーバー氏も来られていた。私はトム氏の事を朝日新聞の本多勝一氏の文章で、「伊那谷で尺八製作をしてるアメリカ人」であると知っていたし、トム氏は逆に私の演奏会を地元の新聞で知ったらしい。
遠いところ車で駆けつけてくれた。

私は初めてトム氏にお会いしたが、私に「録音しても良いか?」と聞かれたのでOKした。
彼は最新機器のDATで録音していた。

演奏会は好評につき、高校同期生の応援を得て秋にも市内峯高寺の庫裏で、夕やみ迫る庭園を借景に3人で演奏会をしたが、この時もトム氏は来られた。
この時は長澤勝俊作曲「二つの田園詩」を演奏したが、箏の部分をギターで演奏したのは珍しかった。
私は「クラシックもやって」と言う希望を受け入れて「G線上のアリア」や「タイスの瞑想曲」等も独奏で演奏した。

その後、松川町にあるトム氏のご自宅(山の中だった)に伺ったり、彼が栽培していた無農薬のブルーベリーを毎年買っていた。
残念ながら2010年に亡くなられたが、そのブルーベリー畑を引き継いだ人からも継続して購入している。
農園の名は「ブルーベリーフィールド」で毎年2㎏買い、生食とジャムにしている。

ジャムはパンにつけながら、ときどきトム氏を思い出している。

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