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バフェット氏、22年ぶり「債券投資家」に 米国株への警鐘

2024-11-23 14:33:39 | 世界経済と金融


著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが22年ぶりに「債券投資家」になった。

運用リスク抑制に動くバフェット氏の姿勢は、米国債利回りに比べて異例の割高さを示す米国株相場に対する警鐘と受け止められている。

 

「良い球しか振らない」

毎四半期、バフェット氏の投資手法を垣間見ようとバフェット・ウオッチャーたちは米証券取引委員会(SEC)のウェブサイトにアクセスする。

米国の大手機関投資家が提出する報告書「フォーム13F」は四半期末の保有銘柄を一覧にする。

 

バークシャーが14日に開示した2024年9月末の保有リストで目を引いたのは米ピザ宅配大手ドミノ・ピザ株、5億4900万ドル(約850億円)相当の新規取得だった。

バークシャーが傘下に抱えるファストフード大手デイリークイーンの知見が投資判断に影響した可能性がある。

 

だが話題を呼んだ新規投資案件も、主要株の保有圧縮の前ではかすむ。バフェット氏がかつて「宝」と評したアップル株は保有株式数を3カ月間で25%減らし、4四半期連続の売却となった。米銀大手バンク・オブ・アメリカ株など金融株の圧縮も目立った。

キャッシュの山は積み上がっている。広義の手元資金は9月末に前年同期比倍増して3252億ドルとなった。総資産の3割近くを占め、円換算では約50兆円だ。

 

 

 

 

手元資金のほとんどは換金性の高い短期債の一種、米財務省短期証券(Tビル)だ。Tビル以外の債券投資も合わせると、バークシャーが保有する債券投資額は9月時点で3040億ドルに及び、株式投資額2716億ドルを上回った。

形式上、バークシャーは債券を主な投資対象とする機関投資家となった。過去の年次報告書を遡るとドットコムバブル崩壊期の01〜02年以来、22年ぶりの事態だ。

 

 

 

 

 

なぜ、バフェット氏は「債券投資家」となったのか。

「資金ため込みの一因は、経営・投資の自由度を高めた状態で次世代に承継する準備だ」。米運用会社スミード・キャピタル・マネジメント創業者で、バークシャー株を長期保有するビル・スミード氏のような見解が一部にはある。

 

多くのバフェット・ウオッチャーの意見に共通するのは、魅力的な投資機会の乏しさだ。バフェット氏自身、5月の株主総会で「良い球が来た時しかバットを振らない」と語っていた。

22年前にヒントがある。ドットコムバブル当時もバフェット氏は債券投資に傾斜していた。2000年には米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の株式を全て売却し、売却資金を債券投資に充てていた。

 

幅広い銘柄の株価が高騰していた当時の米国株市場は、バフェット氏には極めて割高に映った。00年代初頭の総会でもバフェット氏は投資機会の乏しさを嘆いていた。

株式と債券のどちらが割高かを測る指標には、企業が稼ぐ年間の1株利益を株価で割った益回りと債券利回りを比較するイールドスプレッドがある。米S&P500種株価指数の予想益回りと米長期金利の差は現在、22年前と同様に株価の割高感を示している。

 

 

 

 

ドットコムバブル期には株価が高く、益回りが長期金利を下回る状態だった。02年になってようやく明確に益回りが長期金利を上回り、この構図が続いていたが、足元で22年ぶりに両者は肉薄。21日時点で約0.13%にまで接近している。

現在、米国の政策金利はなお4.5〜4.75%。バフェット氏は割高な株式より無リスクで高い利回りを得られるTビルを選んだもようだ。

 

 

バリュー投資の神髄

7〜9月期に新規投資したドミノ・ピザ株は、例外的な「良い球」だったのだろうか。7月18日に出店計画の下方修正などが嫌気されて株価は1割強下落する場面があった。

バフェット氏がドミノ・ピザに競争上の優位性を見いだして企業価値がより高い水準にあると見ていたなら、この日の急落は買い場に映ったかもしれない。

 

見方を変えれば、よほどの水準訂正がない限り買えるものはないという、バフェット流投資の根本をなすバリュー投資の考えに行き着く。

8月初旬の短期的な急落を除けば、しばらく調整らしい調整を経験しないまま米国株は長期上昇を続けてきた。発射台が高いだけに「今後10年間の米国株の期待リターンはゼロに近いものかもしれない。バフェット氏もそう考えているのではないか」。

 

米運用会社LRTキャピタル・マネジメントの創業者ウーカシュ・トミチ氏は推察する。

バフェット氏は短期的な相場予想はしない。ただしバークシャーの22年ぶりの債券シフトは、米株相場の先行き警戒感を色濃くにじませている。

(ニューヨーク=竹内弘文)

 

 

 
 
 
 
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日経記事2024.11.23より引用

 

 

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