新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まった2024年1月に、同制度対象の公募株式投資信託への資金流入額が約1兆3700億円になった。
公募株式投信全体の流入額(1兆4200億円)の96%を占めた。新NISA対象外の投信への流入額は500億円程度にとどまり、明暗が分かれた。
日興リサーチセンターが推計した。1月の公募株式投信への資金流入額のうち、世界株に投資する指数連動型投信は約9900億円と7割に達した。
こうしたタイプの投信への流入額をけん引したのが、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim」シリーズだ。世界株に投資する「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の資金流入額は3400億円だった。
三菱UFJアセットによると、米国株に投資する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」などとあわせ、シリーズ全体の純流入額は過去最大となる6045億円に上った。信託報酬の低さなどから個人投資家の人気を集めている。
一方、流出が目立ったのはデリバティブ(金融派生商品)を活用して特定の指数の2倍の値動きをする投信だ。年初から相場が上昇したことを受け、利益を確定させたい投資家による解約が増えたと見られる。
野村アセットマネジメントが運用する「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」からは330億円の資金が流出した。
大和アセットマネジメントが運用する「iFreeレバレッジNASDAQ100」は120億円の流出超となった。
新NISAでは、デリバティブの使用を為替変動リスクを抑えるなどのヘッジ目的に限定するという制限がかけられた。
レバレッジ型や通貨選択型など相対的にリスクの高い商品を除外するためだ。楽天証券資産づくり研究所の篠田尚子副所長は「NISA対象外となったことも資金動向に影響を与えた可能性がある」と指摘する。
新NISA対象外のファンドでは、運用益を分配金として毎月払い出す毎月分配型投信が人気だった。
「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」や「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」にはそれぞれ510億円、450億円の資金が流入した。
分配金を払い出すと再投資に回す場合よりも投資効率が下がる。
新NISAでは長期投資に適さないとして制度対象外とされたが、定期的なフロー収入を求める高齢者からの需要は根強い。2月以降も資金流入が継続するかが注目される。
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日経記事 2024.02.03より引用