Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

[FT]ニジェール政変は仏の失策 長年の介入、反感生む

2023-08-16 09:46:44 | 国際政治・財閥

7月下旬、西アフリカ・ニジェールの文民政府を倒したクーデターを支持する市民が首都ニアメーの街角に押し寄せる中、段ボールの切れ端になぐり書きされた言葉が目を引いた。「フランスは出ていけ」

 


ニジェールの首都ニアメーでは「フランスは出ていけ」と書かれた段ボールを掲げた
デモ参加者もいた=ロイター

 

現地の政権となれ合い

アフリカの旧植民地から見苦しくもそそくさと手を引いた英国など他の旧宗主国とは異なり、フランスはアフリカに執着し続けてきた。

植民地支配を終えた後も「自分が壊したものは自分で代償を支払う」という考え方からか、あるいは以前の所有物を引き続き支配し、そこから利益を得ようとするためか、フランスは亡霊のように旧植民地につきまとってきた。

フランスは過去60年以上にわたり、アフリカの政治やビジネスに干渉してきた。現地の政権となれ合うその仕組みは「フランサフリック(アフリカの仏影響圏)」として知られるようになった。

フランス政府当局者は自国に都合のいいアフリカ諸国の大統領とのホットラインを構築し、フランス企業は自分たちに有利な契約をかき集めてきた。

ニジェールを含むアフリカ西部および中央部の14カ国は、フランスが無制限の交換を保証し、相場がユーロと連動するCFAフランを自国通貨としている。これは、英国の植民地だった国々がうらやむような為替相場の安定をもたらした。

その一方で、利益を本国に送金するフランスの投資家や、ハードカレンシー(交換可能通貨)でフランスの高級品を購入するアフリカのエリート層にとっても好都合だった。

 

 

フランスは軍事介入も辞さない姿勢を示してきた。2002年にコートジボワールで内戦が勃発した際には兵士を派遣、バグボ大統領が選挙で敗れたにもかかわらず退陣を拒んだ11年には再び実力行使に乗り出した。

中央アフリカには独立以来、7度にわたり軍を派遣している。13年には、マリ北部で首都バマコへの進軍を予告していたイスラム過激派を撃退するためフランス空軍が出動した。

関係再構築も実を結ばず

旧植民地から搾取しようとしているのか、それとも大国として威信を示したいのか。フランスが積極的な介入を続けてきた動機が何であれ、うまくいっていないことだけは確かだ。

フランスが宗主国だったアフリカの20カ国の大半では、知識人であれ、街頭デモ参加者であれ、共通してフランスに対する憎悪を示している。セネガルでは活動家がCFAフランを燃やし、フランス資本のガソリンスタンドやスーパーマーケットが襲撃された。マリでは昨年、軍事政権がフランス軍を追い出したことに人々は歓声を上げた。

旧植民地諸国との関係再構築を目指すマクロン仏大統領の試みも実を結んでいない。

マクロン氏は植民地時代の弾圧に関するフランスの歴史公文書を公開し、過去に略奪してきた美術品を返還したほか、アフリカ諸国を繰り返し訪問した。さらに、象徴的な動きともみてとれるが、CFAフラン制度に重要な変更を実施した。

それでも、フランスに対する反感は高まる一方だ。マクロン氏が、旧植民地の貧困は出生率が高いことが要因とみて避妊を含めた産児制限を推奨した発言はパターナリズム(家父長的な干渉主義)だと批判された。

また、同氏が民主主義を説く一方で、クーデターで政権を奪ったものの親仏だったチャドのデビ大統領の葬儀に参列したことは偽善的だと非難された。

アフリカの旧植民地におけるフランスの影響力後退はロシアの利益になってきた。中央アフリカではフランスが反乱を鎮圧できなかったことから、トゥアデラ大統領がエフゲニー・プリゴジン氏率いるロシアの民間軍事会社ワグネルに支援を要請した。

今では、目出し帽をかぶったワグネルの兵士らが、金鉱山の運営からトゥアデラ氏のスケジュールまで、すべてを取り仕切っている。マリでも、暫定政権の首相が言う「フランスの軍事政権」を追放した後、ワグネルに支援を求めた。

フランスがゆっくり屈辱を味わうことがロシアにとって好ましいことだとすれば、過激派組織「イスラム国」(IS)やアルカイダとつながりのあるグループも、喜びを表して手をもんでいるかもしれない(もっとも、彼らが音楽に合わせて手をもむことを禁じていなければの話だが)。

フランスはテロ組織との戦いにおいて限定的な成功しか収めていない。イスラム主義のイデオロギーは、民族的な対立が激しく、お粗末な政府や税収不足でひどい貧困に苦しんでいる国々で支持を集めている。

一方で、マリやブルキナファソの軍事政権は、ワグネルの支援を受けていてもいなくても、好ましい成果を上げていない。彼らが広大な領域の支配力を失うのに伴い、サハラ砂漠南縁のサヘル地域ではイスラム過激派が支配する「国」の誕生が現実味を帯びつつある。

フランスにとって「アフリカ最後の同盟国」だったニジェールの文民政府が崩壊したことで、サヘル地域におけるフランスの影響力はほぼ失われた。現在1500人の兵士やドローン、戦闘機が配備されたニアメーの基地も、撤収は時間の問題であるようにみえる。

西はギニアから東はスーダンまで、サヘル地域の銃剣のような形をした地域の国は、いずれも軍事政権が支配し、一部はロシア寄り、そしてすべてが反乱という火種を抱えている。

領土の8割がサハラ砂漠

1960年、フランスから独立した後のニジェールには苦難が待ち受けていた。同国はかつて、15世紀から16世紀にかけて首都ガオを中心とする強大なソンガイ帝国の一部だった。

しかし、フランスの植民地となった際に民族の文化や歴史を顧みることなく国境線が引かれた。その結果、7つの国と国境を接するようになった内陸国家のニジェールは、広大な領土の80%をサハラ砂漠が占めている。

現在、都市部に住むニジェール国民は全体の5分の1にも満たない。残りの人々はギリギリの生活を送っており、平均年収はわずか533ドル(約7万7000円)だ。

フランスと親密な関係を築いていた温厚な文民大統領だったモハメド・バズム氏が、国を発展させるのに苦労していたのも想像に難くない。だが、そんなバズム氏はトップの座から降ろされた。そして、フランスも近いうちに姿を消すかもしれない。

By David Pilling

(2023年8月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2023. All Rights Reserved. FT and Financial Times are trademarks of the Financial Times Ltd. Not to be redistributed, copied, or modified in any way. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translation and the Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

 

 

日経記事  2023.08.16より引用

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

何故、今のタイミングでクーデターが起こったか? 
やはりロシアだと思いますけど。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。