「レジ横商品」の品ぞろえを充実させる(千葉県松戸市の試行店舗)
セブン―イレブン・ジャパンはファストフードを前面に出した新型店を展開する。
面積は既存店そのままでレジ横のカウンターを4割ほど延ばす。揚げたカレーパンなど人気の品を置くほか「スムージー」といった飲料の専用機器も設ける。
親会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)は買収提案を受けている。食分野拡充で企業価値向上を急ぐ。
新型店はカウンターを従来より2メートル以上延ばす。改装した「セブンイレブン松戸常盤平セブンタウン店」(千葉県松戸市)は通常より3メートルほど長い約11メートルにした。
パンのほかスコーンやフィナンシェといった焼き菓子も拡充する。コーヒーに加え、果物や野菜から作るスムージーや紅茶といった店内提供の飲料の品ぞろえも増やした。
冷凍食品の売り場についても5割広げる(千葉県松戸市の試行店舗)
時短需要の広がりで単身者らの需要が伸びている冷凍食品売り場も広げる。
専用のボックスや棚を増やして試行店での売り場面積は5割増となった。総菜や野菜、納豆などの品ぞろえも増やしており、今後は冷凍の精肉や鮮魚の販売も視野に入れる。
現時点では千葉県の店など一部で実験中だが、2025年春をめどに神奈川県などの3店を新型の内装に変更する。
夏以降、新店で新しいレイアウトを採用する。最大数十店に入れる可能性がある。課題を検証して全国約2万1600の既存店に順次広げる。
ここ数年は堅調に推移していたセブンイレブンの既存店売上高は24年に入り、前年実績を下回る月が目立った。
ファミリーマートやローソンと比べて伸び悩む売上高を伸ばし、ブランドのイメージを回復させることが急務だ。
親会社のセブン&アイは、カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けている。
セブン&アイの創業家が主導する形での対抗買収案も出ている中、国内外で主力と位置付けたコンビニ事業の競争力を高めて企業価値を上げる必要に迫られている。
セブンはACTとの競合が激しい米国でも、ファストフードのレストランを併設するなどで食分野を拡充した新型店を27年までに全米のセブンの約4%に相当する500店を出す計画を明らかにしている。