期間限定商品などの効果で既存店客数が増えた
日本マクドナルドホールディングスが8日発表した2024年1〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比21%増の242億円だった。同期間としては6年ぶりに最高益となった。
値上げが浸透したほか、新商品の導入や販売促進策の効果で客数が増えた。直営店のフランチャイズチェーン(FC)店移行に伴う子会社売却益も利益を押し上げた。
売上高は7%増の3036億円だった。営業利益は15%増の371億円と2年連続で最高になった。純利益は事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス、239億円)をわずかに上回った。
営業増益要因では売上高の増加が85億円と最も大きかった。既存店売上高は7〜9月期まで36四半期連続で前年同期を上回った。
主因は値上げの浸透だ。1〜9月期の既存店の客単価は3%高となった。1月に「ビッグマック」など約3割の商品で価格を上げた。
既存店客数も2%増えた。自社アプリで割引キャンペーンを実施し顧客をつなぎとめた。全店舗の7割超を占めるFC店を含めた全店売上高も7%増と、前年に続いて過去最高を更新した。
新商品を投入し顧客層も広がった。7月は新商品の「ヨーロッパバーガーズ」が好調だった。9月には定番の「月見」シリーズで夜間限定商品を初めて販売した。岩井コスモ証券の菅原拓アナリストは「夕方や夜など、ピークタイム以外の需要を掘り起こせている」と評価する。
牛肉などの食材費や水道光熱費を抑えられたことも38億円の営業増益要因となった。1〜9月期の期中平均レートは1ドル=151円程度と前年同期から13円ほど円安になったが、輸入原材料の過半で長期の為替予約を実施しており仕入れコスト増を抑えた。
新規出店費用や人件費などの増加が59億円、広告宣伝費などの増加が19億円の営業減益要因になったが、販売増で補った。
売上高営業利益率は0.8ポイント上がり12.2%だった。店舗の改装やタッチパネル式のセルフオーダー端末の設置を進めたことで店舗の運営効率が高まった。
今期の設備投資額は過去最大の450億円を計画する。中核事業会社、日本マクドナルドの吉田修子最高財務責任者(CFO)は同日の決算会見で「収益や成長が見込めない店舗の移転や建て替えを進める。よりよい店舗体験を提供するため積極的に投資する」と話した。
24年12月期通期の業績予想は据え置いた。純利益は前期比7%増の270億円と2年連続の最高更新を見込む。子会社の売却益を計上した影響もあり、通期予想に対する1〜9月期純利益の進捗率は90%に達する。
マクドナルドの株価は23年末比で5%高と、上昇率は日経平均株価(18%高)を下回る。2月に上場来高値(7170円)をつけた後は上値が重い。吉田CFOは「実質賃金はまだマイナスでビジネス環境は予断を許さない」と語った。