ロシア外務省は28日、ダルチエフ北大西洋局長が近く駐米大使に就任すると発表した=ロイター
ロシア外務省は28日、アレクサンドル・ダルチエフ北大西洋局長(64)が近く駐米大使に着任すると発表した。
米政府の同意を得られたとしている。2024年秋以降空席だった駐米大使の就任で、ウクライナ侵略の長期化で関係が悪化していた米国との外交関係の改善を目指す。
ロシア外務省によると、27日にトルコのイスタンブールで開催した米ロの外交当局者による会合で、米国側がダルチエフ氏の就任に同意する文書を提出したという。
ロシア紙ベドモスチによると、ダルチエフ氏はモスクワ大学を卒業後、研究機関での勤務を経て1992年に外交官となり、カナダ大使や北米局長などを歴任してきた。
ロシアの駐米大使はアントノフ前大使が24年10月に帰任した後、空席となっていた。
イスタンブールで開催した27日の会合にはロシア外務省と米国務省の局長級の担当者が出席し、在外公館業務の正常化など外交関係の改善などに向けて協議した。
ロシア外務省は28日、27日の会合では2国間関係の改善に向け、米国に直行便の復活について検討するように求めたことも明らかにした。
両国間の直行便はウクライナ侵略後に停止された。タス通信によると会合は6時間半に及んだ。
ロシアは米国との協議について、在外公館業務の正常化など外交関係の修復にまず取り組み、その後にウクライナを巡る問題、経済連携の順に協議を進めるとの見通しを示している。
一方的に併合したウクライナ東・南部4州については譲歩せず協議の結果を急がない姿勢で、ロシアに融和的なトランプ米政権との交渉を優位に進める狙いとみられる。
プーチン大統領は24日の国営テレビのインタビューで、ロシア国内やウクライナ東・南部4州に存在するレアアースについて「米国を含む外国のパートナーと協力する用意がある」と述べ、米国に共同開発を呼びかけた。
プーチン氏の発言は米国と資源権益の協定案に合意したウクライナの動向をにらみ、ロシアとの協力を米国に訴える意図とみられる。
ロシアと米国の両政府は18日、サウジアラビアの首都リヤドでウクライナ侵略の停戦交渉について話し合う初の高官会合を開いた。米国務省によると、両国が双方に置く在外公館の業務を正常化させるため協議体を設けることを申し合わせていた。
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2022年2月、ロシアがウクライナに侵略しました。戦況や世界各国の動きなど、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
日経記事2025.3.1より引用