1836年のネイサン・ロスチャイルドの死後、ライオネル(1808年-1879年)が後を継ぎ、N・M・ロスチャイルド&サンズの頭取となりました。
その翌年6月には、ビクトリアが18歳でイギリス女王に即位しました。 彼女も初めからロスチャイルドの手の内にありました。ビクトリアは、他の要人たちと同様、恋人との手紙のやりとりなどの通信を、いつも「完全に安全でとても迅速」なロスチャイルド家の郵便(密使)サービスに委ねていました。
彼女だけでなく夫となったドイツの公子のアルバートも頻繁に利用し、おまけにロスチャイルド家に銀行サービスやホテルの予約サービスまでも世話になっていました。
すなわち、動静がすべて把握されていたのです。
ライオネルの下部、ベンジャミン・ディズレーリ首相
ユダヤ教からの改宗者で後にイギリス首相となるベンジャミン・ディズレーリ(1804年ー1881年)は、ロスチャイルド家の側仕えとも陰口を叩かれていました。
1844年にロスチャイルド一族を褒めたたえるごとき小説『コニングズビー』をし出版し、そのなかでライオネルに擬した主人公シドニアのことを次のように述べています。
「彼は世界の金融市場の王者であり、もちろん実質的に他のすべてのものの王者である」。
「唯一シドニアの興味を引いた人間の特質は知性であった。・・・シドニアほどに秘密情報部員や政治スパイとつながりを持っている者は、大臣といえどもいなかった」。
「彼は世界各国の頭の切れる放浪者と関係をや持っていた。 彼の知己にはギリシア人、アルメニア人、ムーア人、隠れユダヤ人、タタール人、ジプシー、さまよえるポーランド人やカルボナリ(19世紀初めのイタリア急進共和主義者)がおり、それらの名簿から、世界の出来事に多大な影響を及ぼしてきながらも世界でほとんど知る人のない秘密組織が浮かび上がってくる」。
また、この頃、欧米ではロスチャイルド家は次のように言われました。
「ロスチャイルドは王や皇帝よりも上で、キリスト教世界を支配し、内閣は彼らの助言なしで動けない。 ロスチャイルドは、ロシア、オーストリア、フランス、イギリス、アメリカにやすやすと手を広げている。ロスチャイルドは、真のユダヤ王であり、救世主である。平和か戦争かの鍵を持ち、ヨーロッパの王たちとアメリカ共和国の指導者たちの相談役であり仲介人である」。
実際、19世紀半ばから後半の大英帝国絶頂期、ライオネルを先頭にロスチャイルド家はヨーロッパ各国、日本を含む世界中の途上国や属国や植民地において政治と経済を裏から牛耳り、N・M・ロスチャイルド&サンズ者は18ケ国に及ぶ巨額の債権を取り扱っていました。
うち4人が、ネイサンの息子のライオネル、アンソニー、ナサニエル、そしてマイアーでした。 各人の残した財産の金額は3番手以下でしたが、4人兄弟を合わせると敵(かな)う敵一族は他にありませんでした。
1844年イングランド銀行条例(ピール銀行条例)
~ロスチャイルド家のフロント企業「イングランド銀行」を中央銀行化~
ロスチャイルド家が引き起こしたと言われる恐慌を背景にして、ライオネルが発案し、側仕えのディズレーが仲介し、ロバート・ピール首相(在位1834年ー1835年、1841年ー1846年)が提案した「1844年イングランド銀行条例」(以下「ピール銀行条例」)がイギリス議会で成立しました。
ロバート・ピール卿は、首相をニ度にわたって務めた保守党の政治家で、イギリスで初めてユダヤ人開放法案の成立を目指した、ロスチャイルド派の人物といわれています。
「ピール銀行条例」では、イングランド銀行に金(Gold)で保証された銀行券(金兌換券)を「独占的」に発行させ、地方銀行が独自の紙幣を新規に発行することを禁じました。
銀行券の流通量はイングランド銀行にある金の量で決まります(金準備との固定比率での銀行券発行。および有価証券を担保にした固定金額1400萬ポンドの銀行券発行が決められました)。
そして、それまで全国で通貨として流通していた銀に制約を課しました。 この後、津方銀行券の流通高は一層減少していきます。
つまり、ロスチャイルド家の代理機関、あるいはフロント企業としてのイングランド銀行を名実ともに中央銀行化したのです。
ビクトリア女王の金庫番からすべてのものの王者へ
イングランド銀行から金(Gold)が流出すると、同行は銀行券を流通からその分引き上げる(破棄する)ので、経済情勢によっては金融逼迫(ひっぱく)と経済恐慌を招くことになります。
利子率は急騰し資金は供給されず、事業者は困り果て、企業倒産が相次ぎます。国内の需要を考慮せずに、金保有高により通貨量および信用が調整されるため、この後、当然の成り行きで1874年、1857年および1866年に恐慌が発生しました。
しかし、金融資本家たちは恐慌を利用し、金利高騰で収益を上げ、かつ資本の集中によって規模を拡大していきました。 信用の収縮などで自分たちで恐慌を創り出せば、自らは被害を受けずにやり過ごすことが可能です。
不況が始まる前に有価証券を売り、暴落してから、売値の何分の1かで買い戻し大儲けすることも容易です。 通貨の信用の膨張と収縮によって、」弱者の財産は強者の手に取得され、大富豪と貧者がつくられるのです。
彼らは、」この手法を繰り返し、世界の富を急速に獲得していったのです。 不況は彼らの富の源泉です。
を
科学的社会主義の祖と言われるカール・マルクスは、「ピール銀行条例」を「金融業者たちと株式仲介人たちとが加わった盗賊どもの力が増大したことの証拠である」と批判しています。こうも言えます。
「ピール銀行条例」は、イングランド銀行の経営者に大英帝国の物価と賃金を統制する権限を与えたので、事実上、世界の物価と賃金をも左右する力を与えたのです。
そして、イングランド銀行は世界の手形交換所に、ポンドは世界通貨になりました。
「ピール銀行条例」は議会でほとんど反対はありませんでした。 それは、ロスチャイウド家の影響力の下、与野党の党首の支持されていたためと、他の国会議員や一般人には内容が理解されていなかったからです。
「ピール銀行条例」によって、民間所有の中央銀行と金本位制のふたつの体制が同時に完成し、ロスチャイルド家に世界戦略上の大きな利益をもたらしました。 1844年以降、ロスチャイルド家の力は万能になり、「ビクトリア女王の金庫番」から「すべてのものの王者」となったと言われています。
そして、事実上、世界の金(Gold)の大半を管理下に置きました。
ロスチャイルド財閥ー18 キューリー夫人https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1feb6656b6dbdb2c32f498c6cd841d94
ロスチャイルド財閥ー19 キューリー夫人とRTZ(リオ・チント・ジンク)そして原子力産業https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/3f899728fe268d13f0714305cf0ad65b
イギリス以外の各国においても、ロスチャイルド家の働きかけによって、通貨発行や信用供与の最高権威はロスチャイルド家へと移されていきます。
その際、インうランド銀行が各国の中央銀行づくりの模範となりました。 彼らは同じことを、後にアメリカ国民にも押し付けるのです。
ジキル島の秘密会議
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FRB「連邦準備制度理事会」
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