テスラの2月の中国販売は前年同月比5割減と大幅に落ち込んだ（上海市の工場）=ロイター
【ニューヨーク=川上梓】
米電気自動車（EV）大手テスラの2月の中国販売台数は前年同月と比べ49%減り3万688台だった。
比亜迪（BYD）など中国勢に押され、2022年8月以来2年半ぶりの低水準となった。イーロン・マスク最高経営責任者（CEO）の政治発言を嫌い欧米ではテスラ車の不買運動が続いており、苦戦が鮮明だ。
中国乗用車協会（CPCA）が2月のメーカー別販売台数を発表した。テスラは中国で小型車「モデル3」と多目的スポーツ車（SUV）「モデルY」を製造・販売している。中国では1月から改良したモデルYの受注を始めた。
販売減は旧型モデルの生産が減った影響も大きいが、それ以上に大きな背景とみられるのが、ライバルの中国勢の販売急増だ。
中国最大手の比亜迪（BYD）の2月の販売台数は2.6倍の32万2846台だった。BYDは先進運転支援システムを低価格車に搭載するなど競争力も高めている。
テスラのモデルYは23年と24年に中国で最も売れたEVだったが、中国勢の開発や販売の勢いは増している。中国はテスラの世界販売の5割を占め、減速の影響は大きい。
中国以外の主要市場でも販売が急減している。世界販売の3割を占める米国もマイナスが続く。調査会社マークラインズの速報値によるとテスラの2月の米国の新車販売台数は前年同月比5%減と4カ月連続で減った。
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全米のテスラ販売店では、マスク氏に反対する抗議活動が相次ぐ（1日、ニューヨーク市）
2月は米国全体の新車販売も2%減っており消費の減速感も背景にあるとみられるが、無視できなくなっているのがトランプ政権入りしたマスク氏の影響だ。
政府効率化省（DOGE）を率い、連邦政府の人員削減を主導する。米国ではマスク氏の強硬策に批判する消費者によるテスラの不買運動が拡大している。
世界販売の2割を占める欧州でも、1月の新車販売が前年同月比45%減となった。マスク氏は23日のドイツ総選挙で第2党となった極右政党「ドイツのための選択肢（AfD）」を支持した。欧州では同氏の政治思想や過激な言動を嫌った消費者によるテスラの不買運動が広がり、販売不振の主因となっている。
販売低迷を受けテスラの株価は下落している。4日の米株式市場では中国の販売減が伝わり一時8%安となった。各国での販売減で過去5日間では13%下落した。テスラは24年EV世界販売で首位を維持したが、2位のBYDは2万台差に迫っている。
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テスラのイーロン・マスク最高経営責任者（CEO）に関する最新ニュースをまとめました。トランプ政権の新組織である政府効率化省（DOGE）や、X（旧Twitter）、スペースXの最新動向など関心の高い話題をお届けします。
