里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

荒戸山火山

2008年03月27日 | 
鯉が窪湿原の少し東北にある荒戸山中腹には、約200万年前に噴火していた頃の
火道(熔岩の通り道)と思われる部分が露出しており、熔岩が冷えて出来た玄武岩
の“柱状節理”を見る事が出来るという。
何の事か分からないが、ダボハゼとしては興味津々で、早速熔岩を触りに行った。

荒戸山(標高:761.9m)は、“鍋山”とか“阿哲富士”と呼ばれるだけあって、
遠くから見ると正しくその通りで小さいけれど形の良い山だった。
登山口は、標高600mくらいの所にある荒戸神社の脇。  登山開始だ!
荒戸山(上南北バス停より撮影)荒戸神社

中腹まで登った所で、その“柱状節理”が急に出現した。
径が20cm余りの無数の柱状の石が束ねられて、地中に斜めに埋めてある感じだ。
束を上から見ると5角形か6角形をしていて、まるで石垣を積んだように整然と並
んでいる。

“柱状節理”というのは、熔岩が冷えて固まる時に収縮して出来た柱状の割れ目の
事で、この石垣に見えるものは嘗て熔岩が上昇する火道だった部分が、長い年月を
かけて侵食されて露出したものと考えられているそうだ。

因みに、玄武岩マグマは温度が高く(1200℃前後)粘り気が弱い為に、ドカン!と
噴火するのではなく、比較的穏やかな噴火(噴出)であったらしい。

幸いな事に、今は噴火から約200万年後。 いくら触っても蹴飛ばしても火傷はしない。 
熔岩を尻の下に、ゆっくりとお弁当を食べさせて貰った!
>>
側面から見た柱①(→②)上部から見た柱①(→②)
玄武岩玄武岩が風化して出来た黒土

頂上には平坦な短い尾根が続き、360°見渡せる展望台もある。
名前は“幸運の塔”で、その高さ15.1mを加えると荒戸山の標高が777mになる
というシャレらしい。本当のところはパチンコ好きな人が考えた事かも知れない?

しかし、肝心な展望は北に大山が見えるというのに、立ち木が少し邪魔をする上に
霞がかかっていてサッパリだった。  残念!!

吉備高原の火山活動とその名残り
先ず、約8000万年前に地下深くでマグマがゆっくり冷やされて花崗岩となり、やが
て長時間をかけて押し上げられて地表に出現した。
次に、約960~1000万年前にこの花崗岩の岩盤を貫いて至る所で火山の噴火が起き
て玄武岩を噴出し、その後長い年月を経て侵食されて現在の富士山型やドーム状の
小丘が出来上がったと考えられている。

しかし、各地に沢山残っているこの玄武岩の小丘の多くは噴火した当時より相当侵
食が進み、荒戸山などは今や噴火した時の火道や地下の熔岩溜まりが地表に出て来
ていて、火山の最後の末裔とも考えられている。 
火道が地表に露出しているその他の例としては、(男鹿山・女鹿山の北方の)上下
町矢野に、火道内の角礫岩と火道周りの地層との接触部が見られるそうだ。

(吉備高原に残っている玄武岩小丘)  
広島県:猪辻山、米見山、仙養山、男鹿山、女鹿山、新山など
岡山県:荒戸山、日野山、弥高山、須志山など
 ※噴火活動の時代
  米見山 100万年前
  荒戸山 200万年前