雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

CANDY

2007-11-15 | 雑記
 妻とドライブ中、小腹が減ったので何かないか?と訊ねると「飴ならある」と応じられたときの話。

私「何味?」

妻「んと・・・、桃」

私「桃、、、かぁ・・・」

妻「食べる?」

私「んー、、、なんかさ、桃味の飴って青春の味だよな」

妻「は?」

私「シチュエーションとしては、暮れなずむ街の川沿いの土手。部活を終えて一緒に帰宅している途中の、中学生の男の子と女の子。この二人は家が隣同士で幼なじみ。みんなから、『お前ら付き合ってんのー』って訊かれると『んなことねーよ!』って、いつも否定するんだけど、実はお互いに惹かれあってるの。でも、もちろん、お互い自分の気持ちになかなか素直になれなくて、幼なじみの関係からなかなか抜け出せない、そんな状況」

妻「何?」

私「で、男の子が言うの『腹減ったなー』って。すると女の子が『飴、食べる?』って言うんだ。そう、今の俺たちみたいに。で、男の子が『何味?』って訊くだろ。で、女の子が『桃』って言うと男の子が『いらねーよ、そんな女子供の食うもん』とか憎まれ口を叩くんだよ。女の子は『じゃ、あげなーい』とか言ってホッペをプクッと膨らませて自分の口にその飴を放り込むんだ」

妻「で?」

私「すると突然、男の子が立ち止まり、『やっぱ貰うわ』って言って女の子の口元に顔を近付け、徐に『キッス!』飴は女の子の口内から男の子の口内へ」

妻「・・・・」

私「しばし見つめ合う二人。女の子は頬を真っ赤に染める。男の子はスッと視線を逸らし『やっぱ甘めーなー、桃味は』なんて照れ隠しにほざいた後、立ち尽くしたままの女の子の手を取って『行くぞ』って言うんだよ。女の子は呆然としながらも握られた手を握り返し、振り向いた男の子に『バカ』って微笑みながら言うんだよ。男の子は『うるせー』とか言いながらも歩調を緩め、二人はゆっくりと帰宅の途につきましたとさ。めでたしめでたし」

妻「バカ?」

私「うるせー、、、、いやいやいや、だからさ、なんか、こんなカンジがしない?桃味の飴って?」

妻「少女マンガじゃあるまいし、そんなクサいシチュエーションあるわけないじゃない」

私「いや、今時、少女マンガでさえあり得ないシチュエーションだ。二昔前くらいならいざ知らず・・・」

妻「で、飴、食べるの?」

私「いらない」

妻「あ、そう」
コメント (8)
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