雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

芥川龍之介

2009-11-05 | 小説
 
 近頃、このお方にハマっている。

「芥川龍之介」
 
 たぶん、日本でまともな教育を受けている人ならその名前を知らないものはいないだろう。確か小学校の国語の教科書に載ってたよな『蜘蛛の糸』。そしてこのニヒルな近影。

 自分も最初に接した作品は『蜘蛛の糸』だと思う。その内容の衝撃は、子供ながらも心に深く突き刺さり、以来、現在に至るまで蜘蛛を殺したことはない。しかしながら、今こうして大人となって再読してみると、どうやら子供の自分は芥川が伝えたかったことをまったく解かっていなかったことに気付く。その勘違いはおいおい説明しようとおもうので、ここでは言及しない。

 さて、それからの私が今日に至るまでどれだけ芥川の小説に接してきたかといえば、ほとんど、無い。せいぜいで『羅生門』くらいだ。ようするにほとんど読んでいなかったのだ。
 それがこの前、ある縁で『トロッコ』という作品を読んだ。これがなんとも、好かった。

「これはどうも、大変な作家を読み逃しているぞ」と、いてもたってもいられなくなり、精読するようになった。
 してみると、これが実に面白い。正直、芥川龍之介といえばその名を冠した文学賞があるくらいなのだから、さぞかし厳かで気取った意味不明な純文学なのだろうと独り合点していたので、その面白さは意外であった。

 ともかく最初から読んでいこうと、まずは新潮文庫の『羅生門・鼻』を手に取った。どうやらこの『羅生門・鼻』と次巻の『地獄変・偸盗』の二冊は所謂≪王朝もの≫と呼ばれる【今昔物語】を下地に置いた作品を集めたもので、最初はその文体にかなり手こずった。が、物語の馴染みやすさ、また芥川の確かな文章力によって、次第にハマっていくことができた。
 これらは【今昔物語】(またはその他の古典文学)からの出典なので、芥川自身の創作とは言えないが、色々な古典から様々な挿話を抜き出し、ときにそれらを繋ぎ合わせたり、また現代風なモチーフと照らし合わせたり、と、非常に画期的で読み易く、また面白おかしく仕上げてしまう、そのストーリーテラーっぷりはまさに敬服の感を抱くとともに、とても勉強になる。

 さて、そういうことで、このところ芥川龍之介ばかりを読んでいるので、これから彼の小説の感想でも書き綴っていこうと思う。
 まぁ、大したことを書くわけでもないし、また書けないし、興味のない方はスッ飛ばしておくれ。
コメント (2)
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