この人の書き出しは、ほんとうに秀逸だ。
≪ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。≫ (蛇を踏む)
≪このごろずいぶんよく消える。≫ (消える)
≪背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった。≫ (惜夜記)
本書に収録されている三つの短編の書き出し。いずれもグッとくる。とにかく詩的ではなかろうか? だが、もちろん、これらはあくまで小説の書き出しであって詩ではない。従ってこれほどまでにずば抜けた書き出しから流れてゆく物語に、果たして気になる。しかしながら、その後の展開もとんでもなくグッとさせられる。
『蛇を踏む』では、踏んだ蛇が女の姿になって自分の部屋に居たりする。料理などを作って待っててくれたりする。
『消える』では、長兄が消えちゃってる。でも気配はある。
『惜夜記(あたらよき)』では、もう、どう説明していいのやら、とにかく夜にまつわる面妖な話が並べられている。
以前(14年前)読んだときとは格段に、その物語の、その文章の、その空気感の妙技に酔いしれた。「ファンタジー」などと生易しいものではない。最早「SF」と言って差し支えなかろう。が、やはりいちばんしっくりくるのは作者曰くの「うそばなし」か。
芥川賞受賞云々を抜きにして、川上弘美さんの小説にはオーラが出ている。
≪ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。≫ (蛇を踏む)
≪このごろずいぶんよく消える。≫ (消える)
≪背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった。≫ (惜夜記)
本書に収録されている三つの短編の書き出し。いずれもグッとくる。とにかく詩的ではなかろうか? だが、もちろん、これらはあくまで小説の書き出しであって詩ではない。従ってこれほどまでにずば抜けた書き出しから流れてゆく物語に、果たして気になる。しかしながら、その後の展開もとんでもなくグッとさせられる。
『蛇を踏む』では、踏んだ蛇が女の姿になって自分の部屋に居たりする。料理などを作って待っててくれたりする。
『消える』では、長兄が消えちゃってる。でも気配はある。
『惜夜記(あたらよき)』では、もう、どう説明していいのやら、とにかく夜にまつわる面妖な話が並べられている。
以前(14年前)読んだときとは格段に、その物語の、その文章の、その空気感の妙技に酔いしれた。「ファンタジー」などと生易しいものではない。最早「SF」と言って差し支えなかろう。が、やはりいちばんしっくりくるのは作者曰くの「うそばなし」か。
芥川賞受賞云々を抜きにして、川上弘美さんの小説にはオーラが出ている。
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