雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

リテイク・シックスティーン/豊島 ミホ

2010-01-13 | 小説
 自分は、つくづく青春小説が好きなんだなあ……と思った。

 学際、競技大会、海でのダブルデート、等々の青春イベントはもちろん、グループ昼食、放課後の寄り道、些細なすれ違い、等々の日常的青春も満載。そのベタさはまんま少女漫画(最近の少女漫画はどうだか知らないけれど)といってもいいほどのシックスティーンストーリー。
 一応、なんでこんなにベタなのかと言えば、主人公の友人が「実はわたしは27歳(2009年)からタイムスリップしてきた」と。「もう一度、戻れるなら絶対高校生からだ」と。んで「今度こそ思いっきり青春するのだ!」と。概ねこんな感じで意気込んでいるから、なので、このベタさもしっかり計算済みなのだね。なんか、そう聞くと「SFものか?」とも思えるが、タイムスリップはベタさを受け入れさせる便宜みたいなもので、SF色はほとんど無い。
 まさに「豊島ミホが過ごしたかった青春がここにある!」みたいな?

 執筆休業前、最後の豊島作品は、「これでもかっ!」ってほど青春がつまっております。(本人曰く『日向の青春』)



 余談ではありますが、現在発売中の『パピルス』誌上に豊島ミホの写真&活動休止についてのインタビューが載っております。己を卑下することに長けている彼女らしい休業理由ですので、些か納得できないところもあります。本人が思っている以上に世間は彼女のことを評価してると思います。少なくとも、私はそうです。

 いずれまた、彼女の作品を読める日がくることを信じて、この『リテイク・シックスティーン』を読みました。
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