Silver linings

カリフォルニアで子育てとか仕事とか。

父の定年

2009-03-01 17:20:53 | 日常
実家の父が定年退職を迎えた。60歳。
2月が父の誕生日で、60になった誕生日月の末日が最終勤務日となるので、明日から会社に行く必要がない。

母の言い出しにより、母と兄と私で、サプライズのパーティを企画。といっても大層なことではなく、父に予告せずに兄と私が実家へ帰り、みんなで父の退職と還暦を祝おうというシンプルなものだけれど。

家に着いたら、居間の壁に母親の字で『おつかれさま お父さん ありがとう!』という即席でつくったようなポスター&飾りつけがしてあって、笑けた。私より一寸先に筑波から兄が家に帰り着いていて、家族4人揃ったところで「どう?お父さん、びっくりした?」とニコニコ顔で聞くと、こたつに入ったままの姿勢で「うん、まぁね」とあいかわらずそっけない返事。。

家族4人で久しぶりに(10年ぶりぐらい?)すきやきをした。父はすきやき鍋奉行となって、卓上で関西風のすきやき(大阪出身のため)をつくってくれた。それから、NHKでやっていた白州次郎のドラマを見ながら、母がつくったいちごのケーキを食べたり、コーヒーを飲んだり。久しぶりに実家に住んでいた頃を思い出す一家団欒のひとときでした。


還暦ということで、私からのプレゼントは、赤パン!
娘から父親に還暦に赤いパンツをプレゼントすると、縁起がいいらしい、です。その他、兄や母からもプレゼントがあった。会社の人から届けられた胡蝶蘭や、メッセージや、花束なども、父の定年退職という事実を静かに語っていた。あまり実感がわかないんだけどね。

勤続36年間。父はシリコーン製品の研究開発、製造から販売・輸出入に関わり、最後は製品開発のコンサルを担当していた、らしい。その間、東京、大阪などへの数年単位での転勤や単身赴任もふつうにあったし、会社の合併、吸収などにより社名も何回か変わっている。世のサラリーマンと同じく、長い間、社の方針に身を預けて働いてきたのだろう。こどもの頃から父親の仕事内容はまったく未知だった。何度か理解しようとして尋ねたことがあるのだが、その度に私にはわからない化学記号を出して説明するので、いつも頭の中は「???」「だから結局何やってるの???」という疑問で終わる。今回は「6歳の女の子にも分かるように説明して」と冗談でお願いしてみたが、やはり同じ化学記号をだして、「そもそも有機材料の中には...」「ケイ素というのは...」「碍子(がいし)がね...」ときた(それじゃ6歳の子にはわかりませんてば)。・・・変わってないわ。笑。

まぁでも、36年間、自分はシリコーンという物質の研究開発に携わることができて本当によかったと最後に言っていたのが印象的。それが聞けただけでも、家族としてはうれしいこと。「おつかれさまでした」と、それ以上のねぎらいの言葉は見つからない。本当におつかれさまでした。


おまけ:
最近車を買い替えた父が選んだのは、クーペスタイルのほぼ2人乗りのスポーツカーのようなやつ。父は過去36年間、ファミリータイプカーに乗ってきた人だ。実家の庭にその見慣れない曲線ボディの車が停まっているのを見て、
「え、お父さん、60歳にしてこんなのに乗るのー???」とたじろぎながら聞くと、
「乗ってみたかったんだよね。」と嬉しそうなのだ。

最初は「えー!?」と思った。
でも、たった一度きりの人生だもの。
好きなこと・やりたいことを、できるうちにどんどんやっておくのがしあわせ、なんだよねきっと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする