ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

富士山頂

2009-07-04 23:09:41 | Weblog
石原裕次郎さんの映画を、テレビでやっていた。

富士山頂でのレーダー観測が終わるというニュースは、
確か私が社会人になってすぐのころに聞いた。

周囲のおじさんたちが、富士山測候所がはじまった当初のことを
熱く語っていたのを思い出した。
でも、もしかしたら、実際のニュースではなくて、
裕次郎さんのこの映画の話だったのかもしれない。

今日はじめてこの映画を観たけれど、
いろいろな意味ですごい内容だと思った。

もちろん、測候所が出来るまでの苦難の道のり。
そのストーリーは胸をうつ。
でも、それ以上に映画としての表現力がすごい。

カメラのカットの切り替え。
いまの映画では、あり得ないほどに、
1コマ1コマが入念に計算され、組み立てられている。

いま、こんなカメラワークをしようとしたら、
「予算オーバーで~す。無理で~す」と言われてしまうだろう。
それに、CGで何とか、本物よりもそれっぽくしてしまう技もあるだろう。

でも、そんなことよりも、この映画ですごいのは、役者さんたち。
本当の演技というのは、その役者さんの視線の先、
そこに何が繰り広げられているのかを見る人が直観し、受け止めるような演技。

人にとって一番たいせつなのは、目。
CGの技術がいくら発達しても、当分は、この目の表現力を
人間並みにCGが表現できるようになるのは、製作の構造上、無理だろう。

なぜなら、そこには、役者という人間が介在しているから。
監督だけでも、脚本家だけでも、それはうみだせないから。

そんなことが心に浮かぶ映画だった。
すごい映画だった。月並みな表現だけれども、本当に面白かった。