ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

摩天楼の怪人

2009-07-22 22:52:58 | Weblog
島田荘司著、創元推理文庫刊。

先日、通勤電車で前に立っていた若い男性が、
満員のなか、身をよじらせながらも一心不乱に本を読んでいた。

まったく、こんな無理をしてまで、いったい何を読んでいるんだ、
と覗き込んでみたら、『占星術殺人事件』だった。
まあ、しょうがないか、納得。
そして久しぶりに島田さんの本が読みたくなった。

若い頃の御手洗潔が、約50年前のマンハッタンで起きた殺人事件を解くお話。
21世紀になったら公表してもいいという殺人事件の真相。
大きな世界大戦が2回もおき、生活スタイルや価値観が大きく変化した20世紀という時代について、
ミステリーにしかできない「喪の服し方」を描いた作品だったと思う。

高所恐怖症の私には、おそらく実際以上に怖く感じるシーンもあったけれど、
とても面白かったので、昨晩は、思わず寝不足。
最後の謎解きの途中でやめることができなかった。

今日の皆既日食で、NHKが硫黄島から中継をしていた。
『摩天楼の怪人』では、太平洋戦争について直接的に語られたわけではないけれど、
激戦地だった硫黄島の景色を見て、なんだか、いろいろな気持ちが去来した。

皆既日食の中継は、まるで台風中継だったけど、
皆既中の上海で、真っ暗な中で雷が光っていたのは、なんだか面白かった。
それにしても、今年の梅雨前線は・・・、少しいじわるだ。