ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

長春 その2

2013-08-05 23:51:15 | Weblog
で、めげずに歩く。
というのも、偽満皇宮に行きたいと言うと、タクシーの乗車拒否に遭うから。

日本人だから嫌われているのか、単に行きたくないのかはわからない。
「辺鄙だからいやだ」という運転手もいた。
しょうがないので、バスに乗り、偽満皇宮に。

中国では、満洲国は、国でも王朝でもなく偽物だから、ということで、
満洲国時代のものには、必ず偽(にせ)という字がつき、偽満になる。
これがまたくどい。

偽満皇宮は、街の中心部からはずれたところにあった。
北京で言うと、頤和園みたいなものだ。つまり、隠居してくれ、という位置。



清の末期の皇帝であれば、ちゃんとした帝王学を学ばせてもらったとは思えないし、
たとえ溥儀が相当賢い人であったとしても、あの時代の君主になるには、
ちょっとばかり厳しかっただろう。

北京の故宮に比べたらかなり小規模ではあるけれど、
あの当時の日本は、よく造ったと思う。

すばらしいデザインだ。



こぢんまりとしてはいるけど、故宮よりもモダンだ。
1つひとつはよくできている。まさに日本製。



品があるし。



そしてこの中庭。
どこで見たのだろう、この灰色の壁と赤い欄干。
すごく懐かしかった。



そして、映画で見た記憶があるホール。



当時の写真もたくさん飾られていて、非常に興味深かったのだが、
全部の部屋を見て回るのは、ちょっと飽きた。

そして、人形が妙にこわかったある部屋。



建物の外には、防空壕もあった。



撤退するときに、関東軍が焼き払った神社は、この後ろ側にあったらしい。

きっと、満鉄を走ったのであろう機関車。



皇宮も、長春の街の公共施設も、1つひとつがしっかりとデザインされていて、
当時の人たちは、本気でここに国を造ろうとしたんだと感じた。
単に征服するだけ、日本人が優越感にひたるためだけではなくて、
自分の国として、真面目に取り組んだんだろう。

五族協和、王道楽土。
当時、昼間の新京は、きっと本当に美しかっただろうと思う。

偽満皇宮を見た後、改修中の長春駅で、翌朝のチケットを発券。
高速鉄道は、長春駅ではなく、長春西駅を発着する。

本当は、特急あじあを想像しながら、長春駅を発ちたかったけど、
週末しかない旅なので、時間短縮。やはり高速鉄道の便利さを優先した。

土曜日は、長春西駅近くのホテルに泊まった。
全国的なビジネスホテルのチェーン店で、
どうやら外国人を泊める営業免許をもっていない、ということだけど、
こっそり泊めてくれた。
まあ、そこそこ清潔ながらも、受付は、そういうサービスで、
久しぶりにパスポートを投げられた。

ホテルから見える景色。



空が、中国の北方らしい色をしている。

夕飯を食べたのは、44元食べ放題の焼き肉屋さん。
ビールはジョッキが1杯6元。



たいへんにぎわっており、そして味もなかなか美味しかった。


長春 その1

2013-08-05 23:25:57 | Weblog
週末でも行けちゃう満州ツアーに出掛けた。
行き先は、長春とハルピン。

とりあえず、金曜の夜は12時まで仕事をし「えいや」で翌朝4時半起き。
上海浦東空港7:25発→長春龍嘉空港9:55 南方航空
毎度思うけど、浦東空港は遠い。

長春に着き、まず旧満映へ。
タクシーの運転手曰く、最近は、映画城が違う場所にできたので、
展示もそちらへ全部移され、満映の中はもう公開はしていないとのこと。
でもとりあえず行く。

満映の前に走っている電車の線路。いまでも使われている。



やっぱり入れなかった満映。毛沢東、いらない。



しょうがないので、ぶらぶら長春の街を歩いて、
ゆっくり溥儀がいた故宮に向かうことにした。

気温は、30度くらいで、上海よりも10度低く、5月下旬並みな感じ。
でも、汗が吹き出る。

途中あった、むかし日本が造った建物。
そして日本製の重機が庭を掘っていた。がんばれ、日本。



歩いていると、むかし日本が建てたものがいろいろとある。
いまでも使われているから、中には入れないものも多い。



いうなれば、霞ヶ関のような雰囲気。
車道と建物の距離感や、道の感じ。
ちょっとしたところに、日本人が造った街の印象がある。
共産党的なズドーン感はない。

歩いているうちにお腹がすいたので、昼食。
東北と言えば、やはり餃子。
タクシー運転手さんおススメの「東方餃子王」に行った。
チェーン店で、たくさんある。

まずはハルピンビール。



水餃子。



味はおいしかったけれど、昔、北京で食べたような手作り感はなかったなあ。

屋台ではフルーツと一緒に、黄色く熟れたゴーヤが売られていた。



中国人のおっさんは、やはり腹を出して歩く。
なぜTシャツをまくりあげるのか、その生態は、未だに不明。

で、歩いていたら、長春の街に、城があった。



むかしの関東軍司令部。いまの共産党の根拠地。
いいのかい、共産党さんよ。シャチホコ乗ってるけど、それはいいのかい。
めっちゃ城だけど、本当にいいのかい。

爆笑しながら正面入り口で写真を撮っていたら、
守衛さんが出て来て、「写真は削除しなさい」と注意されたので、
「はいはい、わかったよ」と言って、目の前でアップの写真は削除した。
「この建物が写っている写真はすべて削除するように」と言われ、
「はいはい」と答えつつ、歩み去ったのだが、
やはり疑われていて、ずっと見られてプレッシャーをかけられた。

きっと、中国のサイトに「きゃ~、共産党って、実は日本の建物が好きみたいよ~」などという
不謹慎なコメントとともに写真をアップしたら、速攻で削除された上に、マークされるんだろう。

いろいろな解釈があって、
・中国人は、日本人はきらいだけど、日本製は好きだから使っている。
・日本に勝ったことを誇示するために、あえて建物をのこしている。
・単に、そこまで考えていない。
どれも、本当っぽい理由になる。

「反日」「排日」で盛り上がっているときに、ここの建物も火をつけたら・・・、
それこそまっとうな理由だけれども、まあ、怒られるんだろうなあ。
長春の街には、それこそ「反日」で壊せる対象がたくさんあるけれど、
いずれも政府機関がいまでも使っている建物だから。

長春の街は、まるでいまの中国における日本の位置の象徴のように思えた。