ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

文字

2013-08-08 01:11:51 | Weblog
悪い言葉というのは覚えやすいものである。

日本語を教えている中国人の後輩が昨日覚えた言葉。
「つるつる」

本日一緒に外出した際に、たくさん「光頭」の人たちがいたので、
「ほら、あれがつるつるだよ」と教えたら、
「あ、ここにもあそこにも、つるつるがいる!」と大喜びし、
「つるつる」は、常用詞(よく使う単語)に分類されることになった。

外国語を教えるときには、演技力が問われると思う。
「ふらふら」「にやにや」「ひりひり」など、
五十音の発音練習で出てくる言葉には擬態語が多く、
これらの意味を説明するには、私の中国語力は足りず、
「ふらふら」「にやにや」は、
「こんな状況下でね」と前置きして演技することになる。

「ひりひり」に至っては、非常に難しい。
これは、演技をもってしても、伝わらなかったと思う。
日に焼けたら肌がひりひりするでしょ。
ころんですりむいたら、ひりひりするでしょ。
これはね、火傷の痛さを表現するんだよ、と言っても、
なかなか感覚までは伝わらない。

こういうとき、お笑いの人たちの伝達力は、本当に素晴らしいと思う。

今日は、幼い頃、母が私に文字を教えてくれたときのことを思い出した。

背筋を伸ばして、心をこめて、丁寧に書きなさい。
書き順は字の命。
文字にも命があって、私たちは文字の命をかりて、気持ちを伝えるのよ。

これが母の口癖だった。

おかげで、私は比較的、字がきれいだと言われるようになり、
そしていま、とても助かっている。
中国で、文字を美しく書けることは、たいへん価値があることで、
文字を書いただけで「あなたは知識人ですね」と言ってもらえる。

実際のところ、人間にとって一番大切なのは、やはり家庭教育だと思う。