ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ダライ・ラマ「語る」

2010-09-19 15:48:15 | Weblog
外でツクツクボウシが鳴いている。
9月も後半なのに、セミも頑張る。
セミの寿命は1週間というから、
いま鳴いているセミは先週、土から出てきたのだろう。
もし、この時期、一気に気温が下がり、
土から出てこられなかったら、彼らは来年の夏まで待つのだろうか。

よい風が流れる部屋で、
『ダライ・ラマ「語る」』(ダライ・ラマ、相馬勝著)を読んだ。
相馬氏の長年のインタビューや取材の成果を凝縮した一冊だ。

ダライ・ラマは、これまでに最も感銘を受けた政治家は毛沢東、と答える。
常に率直に語るダライ・ラマの言葉には、
その背景に、ものすごい量の思考と分析、客観性があるから、
こちらも素直に受け止めることができるのだろうと思う。
見栄も自己顕示欲もない。

ダライ・ラマは、21世紀は「対話の世紀」としていくべきだという。
相手のすべてを否定したり、力で屈服させたりするのではなく、
話し合いによって、お互いを理解し、尊重し、共存していくべきだと。

確かにそうだと思うけど、
自分の心を振り返ってみても、なかなかそれは難しい。
だからこそ、そう言いつづけてくれる人がいてくれると、
こんな私でも、少しずつ頑張れるような気がする。
チベットの文化や宗教が、ちゃんと継承されていくことを望むのは、
中国共産党に弾圧されていてかわいそうだからなのではなくて、
私自身のために、近くにいてほしいからだ。

ミステリーで気分転換

2010-09-19 01:18:18 | Weblog
先日、笠井潔さんの評論を読んで、何冊か本を買った。
まずは『骸の爪』(道尾秀介著)から読み始めた。

滋賀県の山奥にある仏像の工房が舞台になっている時点で、
私にとっては、かなりポイントが高くなる。
ミステリーだから、作中では人も死ぬわけなので、
まあ、罰当たりといえば罰当たりだけど、
いまの日本で、そんなことを言う人はほとんどいないだろうと思う。

謎と解明の展開も、すごくスッキリと読める作品だった。
先日読んだ『シャドウ』も面白かったけど、
『骸の爪』のほうが、私がイメージする「ミステリー」の型にそっていたので、
立ち止まることなく読めた。

「ミステリーが読みたいんだよね」という気分だったので、
その欲求を満たしてくれる、とてもいい出会いだったと思う。

そのあと、もう一冊ミステリーを読んだのだけど、
どうも私は女性の作家のミステリー作品というのが苦手らしい。
ずっと昔からそうなので、あえて自分からは踏み込まないことにしているのだけど、
笠井さんの書いていた言葉が気になったので、読んでみた。

まあ、作品のよしあしではなくて、単なる好みの問題だから、
なるべく一気に読んでしまおうと思ったのだけど、
今回は、なぜ苦手なのかを、少し考えながら読んでみた。

たぶん、なんだけど、
読みながら、リアルな世界でよくある女性同士の会話に、頭の中がすごく近づくから、
私は苦手なんだと思う。
女性ならではの深読みというか、
「あの人きっとこう考えるよね」「あの人の好みはこうだから」という、
客観的なようで非常に主観的な言葉が、
特に登場人物のセリフとして並ぶことが多く、
それによって物語が進行し、世界が構築される傾向が強い、と思う。

確かに面白いし、ぜひアツく語りたいのだけど、
一人、読書に没頭したいとき、私は違う世界に行きたいわけなので、
日ごろ自分の頭の中でグルグル考えていることの延長のような世界が広がると、
ちょっと望んでいるものと違うな、と思う。
ただ、この感覚は、ミステリー作品以外のときには感じない。

きっとミステリーと女性の語り口が重なると、私は何かに過敏になる。
そのあたりのことを、気が向いたときに頭の中で咀嚼してみると、
また美味しいお酒が飲めそうだと思った。

今日のプランター農園

2010-09-18 14:05:21 | Weblog
高知の出張から帰ってきたら、ゴーヤが出来ていた。
かなり涼しくなってきたけれど、ちゃんと育つといいな。


ゴーヤさんに住み着いているかまきり。
いつも目が合う。


そして、高知から帰ってきたら、なんと、プチトマトが出来ていた。
自然は頑張るなあ。


でも、やはりベランダで一番いきいきとしているのはトウガラシ。


お昼ご飯のパスタに、赤くなったものを1本入れたら、少し辛くて美味しかった。
来年のことを考えると、わくわくするなあ。

不可思議

2010-09-16 22:35:48 | Weblog
土日も仕事したから、昨日、会社を休んだんだけど、
今日会社に行ったら、やっぱり休まなきゃよかった、と、
少しだけ思った。
今日は愚痴だ。

すごく不思議なんだけど、
例えば、メールは必ずメンバー全員に送ってください、
とお願いしても、1人にしか送らない人がいる。
何度お願いしても、8割がた、それができない。
そんな人が、メンバー6人中2人もいる。

そんなロスがあるから、高知に行ったんだった。
でも、派遣社員なのに、社内ではめずらしく出張なんかしているし、
休みなく働くのもどうかと思うし、
だいたいそんな働き方はや~めた!と思ったから、
いま派遣で働いているのだった!と思ったので、昨日は休んだ。

でも、今日の午後はまるまる、
そんな歯抜け状態のメールに対応したかどうかを洗っていて、過ぎてしまった。
夕方、相手が「いまさら~きつい~」と言うような叫びをあげたときに、
「私の手元に情報が届いていなかったんだから、
いまここで、このロスを吸収するよりありませんよね」と、
少しキツメに言ってしまった。
目上の人に対して言う言葉ではなかったな。

5日分のメールともなれば、その後進行しているものもあるし、
いちいち確認するだけでも、本当に本当に・・・、
私は心のせまい人間なのだと再確認するには十分過ぎる量だった。

頭はいいのに、すごくいいのに、
ものすごく真面目だし、知識も経験も豊富なのに、
なんでメールを「全員へ返信」できないのか。
しかも、できるときもあるから、機能を知らないわけでもないようだ。
そして、なぜ何日も返事がこないなかで、
自分の送ったメールが確実に相手に届いているかどうか、不安にならないんだろう。
この非常にタイトなスケジュールななかで。

う~む、不可思議だ。

というようなことを、別のポイントで、
私も言われてるんだろうなあ。

読書した

2010-09-15 15:39:43 | Weblog
Twitterで埋もれた名作と言っている人がいたので読んだ本。
『誰かの見た悪夢』(積木鏡介著)

そして、Amazonのおススメでずっと表示されており、ついに根負けして勝った本。
『趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏! 』

いずれも面白かった。
もちろん同列では語れないけど。

『誰かの見た悪夢』は、ミステリーと萌えの両方が好きな男性が読んだら、
たぶん、もっと楽しめる内容なんだろうと思う。
男性のどうしようもないMへの欲求というか、
「ああ、こういう女性たちに振り回されたいんだな」という気持ちが先に立ってしまい、
そんな視点から読んでしまった。
ミステリー作品に対して、という意味では、少し申し訳ない。
ただ、出張中に読むには、内容的にちょうどいい重さだった。

『趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏! 』
こちらは、まず天安門事件に興味があること、
あと、天安門事件の少しあとに、
私の周囲の中国人たちが「李鵬はバカだ」とよく言っていたので、
趙紫陽本人には、それほど興味はなかったのだけど、読んでみる気になった。

この本を読んだ印象では、趙紫陽は経済のスペシャリストで、
現実に即した考え方をする人だった。
天安門にすわりこんだ学生たちを軍で制圧することに反対し、
学生と対話し、中国をよりよくしたいと思っていた政治家だった。
人治国家から法治国家への移行が必要だと思っていたし、
すごくすごく「まっとうな人」だったのだろうと思った。

そして、この本の最後のほうで、
鄧小平が求めていたのは、政治改革ではなくて行政改革だった、
しかし、それは単なる理想にすぎない、と言ってのける趙紫陽という人は、
やはりすごいと思う。

この本のもととなった独白は、
軟禁された北京の自宅で、本人により吹き込まれたもの。
しかも、そのテープは巧妙に隠されていたという。
そして語られるのが、非常に透明度が低い中国の政治の
トップレベルの話ともなれば、400ページという厚さもあまり気にならず、
ぐいぐい引き込まれた。

そして、李鵬さんに対する私の友人の辛口コメントも、なんとなく納得できた。
それにしても、中国というのは大きな国だ。

さて次は、自宅でしか読めない分厚い本の続きを読むべきか、
いま密かに欲求が高まっているミステリーを読むべきか。
うむ。環境があり、時間があるというのも悩むものだ。

帰り道

2010-09-14 22:16:38 | Weblog
高知最終日、意地で、空港でカツオの丼を食べた。


おいしかった。

羽田空港から、今日はリムジンバスで新宿まで帰ってきた。

羽田から首都高を通って新宿へ帰って来る道が好きだ。
出張から帰ってきて、ふと自分に戻る時間、
電車での帰り道は、明る過ぎる。

暗い車内で、外のネオンを眺める。
ふと、自分の中の野生を感じる。
これは、コンクリートとネオンに囲まれた人工の闇と光の中だからこそ感じる野生だ。
暗く、孤独。

小さいころ、よく父に連れられて、父の仕事現場に行った。
当時、父はテレビドラマをやっていた。
六本木、赤坂、よく父の運転する車で、首都高を通って行った。
母は、赤プリの大きなカーブを下るのが好きだった。
父は、まあまあかっこよくて、かなりドジだった。
母は、とても知的で美しく、でも融通がきかなかった。

私は、後部座席に座って、外の都会の風景を眺めながら、
前から聞こえて来る父と母の、なんだか哲学的に聞こえる論議を、
なんとなく聞いていた。
あのころ、窓から見上げる東京のビルを眺めるのがすごく好きだった。
父の仕事現場のことは、あまり覚えていない。
でも、首都高の風景はよく覚えている。

今日、高知でお世話になった方と、一緒にお昼ご飯を食べたとき、
嬉しそうに食事をしてくれてよかった。
そして、あなたはどこへ行ってもぶれない。
自分の意見をもっているから、大丈夫な人なんだね、と言ってもらった。

帰り道、暗い首都高で、私は離れたくても離れられない、
いや、離れたいとは思っていない。
この首都高から見える風景に、思い出がいっぱい詰まっているから、と思った。

母がいつも夜遅くに泣きながら思い出す帰り道は、
冷たい雨が降る瀬田の唐橋だった。
私が思い出す帰り道は、両親の楽しい思い出が満ちている。
両親ともに、すでにいないことが信じられないけど、
心の底から感謝している。

なんとなくカツオ

2010-09-14 09:20:50 | Weblog
昨晩は、イオンでお弁当を買った。
せっかく高知にいるのに、まだカツオを食べていなかったので、
せめてものあがきで、土佐巻きを買った。


カツオの味はしっかりとしていて、ニンニクもぷ~ん、とにおう。
そのあともまだ仕事だったのだけど、
しかも狭い会議室での作業だったのだけど、
高知の人が「におってもいいよ。高知の人もみんなそうだから」と言ってくれたので、
お言葉に甘えさせてもらった。

美味しかった。

その後、夜のおやつに、土佐ジローという鶏の卵を使った
マドレーヌをいただいた。
 

卵の味が濃くて、甘くて、でもしつこくないという、
とても美味しいマドレーヌだった。

仕事で来ているのだから、観光もいい食事もできなくて当然なのに、
高知の方は、みなさん申し訳なさそうにしてくれる。

ただ幸いなことに、私は、B級グルメが大好きだ。

大満足。
そして、知り合って仲良くなった人と、
夜の会議室でお弁当をつつくのは、なんともいえず楽しい。

さて、もう少ししたら、今日も始業だな。

同床異夢

2010-09-13 16:50:56 | Weblog
10年以上前、編集の先輩が、「カギは初校のレベルをあげることだ」と言っていた。
新しいところで、新しい仲間と何かをつくるとき、いつもこの言葉を思い出す。

いま、初校のレベルが低かったがために、泥沼にはまっている。
いやいや、初校というよりも、原稿のレベルが低かった。

書いている人はみなプロ。
経験豊富なベテランばかり。
なのにいま、校閲者が頭を抱えながらリライトをし、
私はそれを、まとめている。

なんでこんなことになっているのか。

一言で言えば、プロデューサーが不在だったためだと思う。
一流のプレイヤーであっても、各自が自分の範囲だけを見て、
自分の認識に則り勝手に書いたら、そりゃまとまらない。
どんなに全員がプロでベテランであっても、ちぐはくなものになる。
当然だ。

そして、コンセプトにあわないものであれば、
どんなプロが書いたものであっても、まったくのボツ扱いになる。
コンセプトに照らして、それは、アマチュアレベルの仕事になってしまう。

なんだか、このちぐはぐ感が、
ミステリーを読んでいるときの感覚に近いと思う。
同じものを見ているのに、少しずつズレているような感覚。

あとは、恋愛の感じ。
さっき、四字熟語を探していたときに、
ふいに「同床異夢」と言ってしまった。

さて、そろそろおやつタイムもおしまい。
赤字のとりまとめ開始かな。

高知の路地裏

2010-09-12 15:06:51 | Weblog
お昼ご飯は、うどん屋さんに連れて行ってもらった。


エビが、むちゃくちゃ甘くて美味しかった。
食後、少し休み時間があった。

市内には路面電車が走っている。


なんとなく、坂本龍馬の生誕地のほうに行ったのだが、
龍馬にはもともと興味がなく、大河ドラマも見ていないので、
ほとんど盛り上がれないまま、市内ぶらぶら歩きに切り替えた。

そこらじゅうに大河ドラマのポスターが貼られているので、
一回も見たことがないのに、全部見たような気になった。

歩いていたら水天宮があった。


お地蔵様がいらした。


いたるところに、神様がまつられている。


なんだか、すごくいい川。


サギもいた。


少し歩くと、また神様がいらした。


小川には鯉がいて、私の姿を見て、わらわらと集まってきた。
人間に慣れ過ぎ。