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ゲーム攻略、読書感想文など。

銀英伝外伝その2「叛乱者」

2004年08月05日 14時22分04秒 | 銀英伝外伝
「叛乱者」

次の赴任先駆逐艦ハーメルンⅡでの危機と内部対立を描いた作品。

ストーリー:
帝国歴482年、カプチェランカでの武勲により宇宙艦隊勤務に転属になったラインハルト中尉とキルヒアイス少尉は駆逐艦ハーメルンⅡの航海長と保安主任にそれぞれおさまる。
この艦内では、艦長であり男爵でもあるアデナウアー少佐をはじめ、乗員はみな、副長であるベルトラム大尉を信頼している。

哨戒任務中に同盟軍の奇襲を受けたハーメルンⅡだが、ベルトラムに指揮権の委譲を拒否したラインハルト(ベルトラムがいなかったためラインハルトが艦長から指揮を任せられていた)の指示により、当面の危機は脱出する。その後指揮権をベルトラムに返すことになるのだが、ラインハルトは反逆罪で拘禁される。

敵中に孤立しているうえ、艦は傷ついている。ベルトラムが帰還の望みはなしとみて、艦の自沈を決める。彼は平民の出自にコンプレックスを抱いており、誇りある帝国軍人としての死を選ぶことで貴族に目にものを見せようとしたのだ。自沈に反対する部下たちと組んでキルヒアイスはラインハルトを救出し、再び指揮権を握る。だがさらにベルトラムが指揮権を奪い返そうとしたため、どちらを支持するかで2つに分裂する艦内。そこに艦長が起きてきてラインハルトに正式に指揮権を委ねる。

いちかばちかの脱出作戦に際してベルトラムは自ら犠牲になってしまうが作戦は成功し、なんとかイゼルローン要塞に帰還した。ちなみに艦長はしょっぱなの同盟軍の奇襲によって負傷し、ずっと寝てた。

この功績(無事に帰還)により、ラインハルトは大尉に昇進。

見所としては、ベルトラムとの間で指揮権を返す返さないのやりとりをするところ。この場面の2人のセリフの応酬は面白い。また、苦労知らずの貴族とベルトラムに言われたラインハルトが怒鳴り返すところもかっこいい。個人的には外伝の中で一番面白い作品。OVAのオリジナルストーリー。

次回予告のキャッチコピーは「心のくびき解き放ち、強きつばさ、いま星の海にはばたく」

銀河英雄伝説外伝 叛乱者

銀英伝外伝その1「白銀の谷」

2004年08月05日 13時45分26秒 | 銀英伝外伝
人物評は飽きたので今度は外伝の話を書いてみたい。
というのも、ラインハルトの出世の階段はあまりに早足過ぎて、いつなんの功績で昇進したのか、かなりややこしい。だから外伝をまとめなおすことで、ミナミ自身の備忘録にしようということだ。

「白銀の谷」

幼年学校を卒業したラインハルトが最初に赴任した惑星カプチェランカでの活躍を描いた作品。

ストーリー:
帝国歴482年、カプチェランカβⅢ基地に赴任したラインハルト・フォン・ミューゼル少尉(普通は准尉から始まる)とジークフリード・キルヒアイス准尉。

だが、基地司令官ヘルダー大佐はラインハルトを害そうとするベーネミュンデ侯爵夫人の意を受けていた。ヘルダーの命令で早速戦車で偵察に出かけたラインハルト、キルヒアイスだが途中で燃料が尽きてしまい、ヘルダーの悪意を悟る。なんとか危機を乗り切り、彼らの死を確認しにきたフーゲンベルヒ大尉(ヘルダーの腹心)を返り討ちにする。ここまでが原作の内容。OVAではこの後同盟軍の奇襲を破り、さらに同盟軍基地の破壊にも手柄を立てる。そして直接ラインハルトを殺しにきたヘルダーも返り討ちにし、基地を後にする(原作でも「黄金の翼」でちょっと触れていた)。

この功績(同盟軍の基地の発見)により、ラインハルトは中尉に昇進。

見所としては、フーゲンベルヒにとどめを刺すとき、彼がラインハルトを殺害しようとしたことについては「立場もあるだろう」と、特に怒りを感じていないのだが、アンネローゼを罵ったことについてはラインハルト、キルヒアイス両方が怒っているところ。例え自分を害そうとしても、それが立場上であったり主君への忠誠心の現れてある限りは、ラインハルトは決して相手を憎まないところがなんか好き。
OVAでの次回予告「友よ、覚えているか、あの戦いの日々を」というコピーも一番好き。

銀河英雄伝説外伝 白銀の谷

銀英伝人物評3<ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ>

2004年08月05日 12時12分25秒 | 銀英伝人物評
登場回数はかなり少ないが、印象強くコアなファンがいそうなキャラ。

ローエングラム王朝の初代工部尚書で、人物描写としては、膨大なエネルギーと構想を持つ最高級の技術官僚と紹介されてる。過去の経歴がまったく紹介されないのが残念。

工部尚書とは別に、非公式にフェザーンでの新帝都建設を司る帝国首都建設長官とうい任も帯びていた。
せっかくなので工部尚書について、少し長くなるが本伝から引用すると、

「恒星間の輸送および通信、資源開発、民間用宇宙船および開発資材の生産、都市・鉱工業プラント・輸送基地・開発基地の建設などで、巨大な帝国の経済的ハードウェアの建設と、社会資本の整備という重要な任務が新設のこの官庁にゆだねられていた」

とあり、おそらくその仕事量は全官庁の中でも最大じゃなかろうか・・・。

が、シルヴァーベルヒはその能力に比例した自信を持っており、工部尚書の役職の話をラインハルトにされた際、工部尚書に必要な能力――きわめて高い水準での政治的な構想力、行政処理能力、組織管理能力――のうち少なくとも2つを持っていると言っている。まぁ誰もが2つって具体的になんだよって突っ込んだかもしれないが。

戦争が終結して経済建設の時代になったら宰相になってやるという野望も抱いていたので、物語の最後まで生きてたらどうなっていたか、想像するだけで楽しい。
ラインハルトは軍務におけるミッターマイヤー、オーベルシュタインのような役割を政務での彼に期待していたと書いてあった(気がする)ため、シルヴァーベルヒを失った損失は大きかった。しかもラインハルトと政務を分かちあえたであろう人物はシルヴァーベルヒかキルヒアイスしかいなかったと書かれているので(マリーンドルフ伯が入ってないのが泣ける)、作中の文官では最大級の賛辞を贈られているといえる。
もしこいつが生き残っていて、しかも政敵にトリューニヒトがいたら面白い政治ドラマが見れた気がする。

銀英伝人物評2<パウル・フォン・オーベルシュタイン>

2004年08月05日 11時56分28秒 | 銀英伝人物評
初登場はアスターテ会戦後にラインハルトが元帥に叙任された時。キルヒアイスに唐突に話かけて警戒されている。

その前の経歴をさかのぼると、33歳の時にはすでに大佐であり、ミュッケンベルガー元帥の次席副官という立場であったから能力相応の立身出世をしていたといえるだろう。しかしミュッケンベルガーの不興を買ったために統帥本部情報処理科に転属、さらに翌年にはイゼルローン駐留艦隊に異動。この赴任直前が初登場となる。
ヤン率いる同盟軍第13艦隊によりイゼルローン要塞が陥落すると、上司のゼークトがイゼルローンの主砲をくらう直前、彼を見限って本国に帰還。これが敵前逃亡にあたるため、ラインハルトに助命嘆願を願い、以後ラインハルトと共に帝国打倒の野望を抱くことになる。ってことはラインハルトがゴールデンバウム王朝の打倒を志してると見抜いていたってことだ。
当時のラインハルトは参謀(しかも軍事ではなく権力闘争とかで有能な)を求めている最中で、そのタイミングでオーベルシュタインは自身を売り込んだためにラインハルトは、イゼルローン要塞失陥の責を負って辞表を提出した帝国軍三長官の座を欲しがらず、代わりにオーベルシュタインの免責を願って許可された。

そういえばラインハルトに仕え始めたころの、オーベルシュタインの献策を、ラインハルトはマキャベリズムといったけど、その後のオーベルシュタインの言動を見ると、どっちかといえば韓非子に近い気がする。まぁあんまり根拠ないけど。
アムリッツァ会戦では珍しく戦術面でラインハルトに進言している場面がある。

キルヒアイスのみがラインハルトの側近的な立場にあったのを廃させ、結果的にキルヒアイスを失うきっかけを作る。この事件の最終的な責任はラインハルトに帰するので、誰も批判しなかったが、感情的に言ってしまえばやっぱりオーベルシュタインは嫌われるだろうな。

ローエングラム王朝が開かれると初代軍務尚書に就任。私心がまったくない代わりに、皇帝も含めたすべての公人にも私心の無さを求めているのがよくわかる。そのため誰もが彼の正しさを認めつつ、誰も近づきたがらないという立場となった。次元は全然違うが、豊臣政権下の石田三成がちょっと近いかも。

軍務尚書としての大きな実績は、危険視していたヤン・ウェンリーを、レンネンカンプを使って反乱に追い込んだこと、ルビンスキーの逮捕、そして自身の命と引き換えになった地球教の壊滅の3つがでかい。つまり新王朝の外敵をすべて滅ぼして死んだことになるのである意味功績は一番かも。

イゼルローン共和政府に対し、ハイネセンにいた要人たちを人質にとってユリアンら首脳を誘き出し、一気に彼らをつぶそうと考えるオーベルシュタインと、ミュラー、ビッテンフェルトが皇帝の武人としての矜持を持ち出してその案に反対したシーンはオーベルシュタインの最大の見せ場だけど、これは民衆の命を守るのが政府の役割と考えてたからなのか、単純に労働力の損失を嫌ったのかどっちだろう?

あと、オーベルシュタインは自分の考えを他人に伝えるということに対し消極的だったため、その行動にいくつか疑問があるんだけど、やっぱり最大の疑問は、自身の命と引き換えに地球教徒を残党を殲滅したのかどうか、ってこと。
もうちょっと詳しくふりかえると、シヴァ星域会戦の後、首都フェザーンのヴェルゼーデ仮皇宮で死の淵にあるラインハルトの元に、地球教徒の残党をおびき寄せて殲滅しようと画策する。結局地球教徒はオーベルシュタインがいる部屋をラインハルトの寝所か何かと勘違いして攻撃したため、オーベルシュタインが死ぬことになるが、これは自ら囮になったのか、それとも自分がテロの対象になったのは計算外だったのかどうかという謎。

まぁこれは答えは用意されてない気がするけど、回廊の戦い終結後、オーベルシュタインはラインハルトに、帝国軍の高官をひとりイゼルローンに人質として出し、それと引き換えにヤンをおびき寄せて殺すよう進言し、その人質役には、候補がいなければ自分で構わないともいっているから、同じように自分の命すらも王朝の運営に利用しようという意思があったんじゃないかと思ったりもする。

あえて飛躍した推測も書いちゃうと、ロイエンタールの叛乱は、もとはと言えばオーベルシュタインがラングを登用したことに端を発していて、ラングの諜報能力は必要悪だったとはいえ、結果的にラング自身が奸臣だったわけだから、これを用いた責任は免れない。その罪を贖うために自らを犠牲にしたってことまで想像できるけど、これは考えすぎか。。。

ちなみにラインハルトは最も信頼をおくキルヒアイスに、その能力を十分に発揮させるために、2度にわたり2階級特進をさせたが、オーベルシュタインにも同じく2階級特進を2度行っている。

銀英伝人物評1<カール・エドワルド・バイエルライン>

2004年08月05日 10時44分12秒 | 銀英伝人物評
初めて登場するのは要塞対要塞の戦いに援軍に向かうウォルフガング・ミッターマイヤー上級大将の部下として。ミッターマイヤーの幕僚の中で最も若く、また活躍の機会も多く、周囲からはミッターマイヤーの後継者と目されている人物。幕僚の中で最も安定感のありそうなビューローの名が挙がらないのはバイエルラインが、「用兵の鋭敏さと機動性の高さは軍でも傑出している(『エンサイクロペディア』)」と評されるように、ミッターマイヤーの用兵を最も濃く受け継いでいたからだろう。

が、やっぱりヤンやビュコックなどの名将を相手にする戦いではぱっとしないし、実際のところ戦場の活躍ってミッターマイヤーの陰に隠れていまいち。
ただし、後世の歴史家からは「有能で誠実で清廉な軍人」と評されてるので、原作内の活躍はともかく、まぁその後活躍したのかもしれないな・・・。

バイエルラインには意外な一面を示す面白いエピソードがある。
バーミリオンでラインハルトがヤン艦隊と死闘を繰り広げている時、主君の危急を救いに向かわず、同盟の首都ハイネセンを攻撃するようヒルダがミッターマイヤーに進言し、それを受け入れた彼が、誤解(ラインハルトの下から独立)を避けるためにロイエンタールも誘うのは有名な話。このとき、ロイエンタール自身は胸の奥に燻っている野心が僅かに頭をもたげたのだが、バイエルラインはそれを見抜き(そんな簡単に見抜けるのか)、ミッターマイヤーにロイエンタールを誘う危険性を示唆するのだ。ここでミッターマイヤーはバイエルラインに対して「力業だけの男ではないこと」を認識し、彼をして時に異常な嗅覚を示すという評が書かれている(ってことはバイエルラインと同じ危惧をミッターマイヤー自身も抱いていたことをも示しているな)。

結局この時ミッターマイヤーは、自分から誘っておいて、戦闘態勢で迎えるのは不自然という次元を通り越した話になるためバイエルラインの進言を退るが、バイエルラインは自身が率いる艦隊のみに第一級戦闘配置を命じ、結果、合流したロイエンタールに彼の危惧を見透かされた。
ただし、このエピソードはロイエンタールが反旗を翻した際も含め一度も振り返られることはないのが残念・・・。