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ゲーム攻略、読書感想文など。

銀英伝人物評7<ラザール・ロボス>

2004年08月05日 18時04分31秒 | 銀英伝人物評
こいつのことを書く前に、ちょっと自由惑星同盟軍の組織について復習。

自由惑星同盟において、制服組のトップは統合作戦本部長。で、それに次ぐ地位は宇宙艦隊司令長官。
戦時には本部長が最高司令官代理となる。ちなみに最高司令官は最高評議会議長。その下で軍政を国防委員長が、軍令を本部長がとることになる。

ロボスが宇宙艦隊司令長官についたのがいつかは不明だが、794年にはすでに就任していてて、その前年に元帥に昇進している。
ちなみにこの時統合作戦本部長の地位にいたのはシドニー・シトレで、この2人が仲悪いのは有名な話。

ロボスがその在任期間中に指揮をとった会戦は以下のとおりとなる。

 794年 3月 ヴァンフリート会戦
     10月 第6次イゼルローン要塞攻防戦
 795年 2月 第3次ティアマト会戦
     9月 第4次ティアマト会戦
 796年 10月 帝国領侵攻作戦(アムリッツァ会戦)
 
このうち引き分けに近かったヴァンフリート会戦は、後方基地司令官のセレブレッゼ中将を捕虜に捕られているため実質的には敗北に近くて、それ以外の会戦も敗戦ばっかり。
ただしロボスは決して無能ではないというのが面白いところで、もともと参謀を統括する立場であったから作戦立案は得意だったはずで、実際ヤンが賞賛するような用兵の手腕を発揮した場面も存在する。どうも同盟軍の首脳は使えるのか使えないのかよくわからないのが多いなぁ。

第11艦隊の司令官だったウィレム・ホーランドやアンドリュー・フォークを起用したのはなぜか不明だけど、シトレに対抗できる勢力を築こうとしたのか?

2000万人という途方も無い兵力を動員した帝国領侵攻作戦が原作の初登場だけど、この作戦は、来る選挙対策という政治家の思惑があって生じた。ロボスはこの作戦を計画立案者のフォークに一任してしまったのがなぜなのかいまだに謎。これについては原作内でちゃんと説明してほしかった・・・。

作戦中、総司令部はイゼルローン要塞におかれたため、ロボスはずっとそこにいた。
で、この敗戦の責任を負い、ロボスは宇宙艦隊司令長官の座を退き、ライバルでもあったシトレも同じく敗戦の責を負って辞任した。なんだかなぁ。

銀英伝人物評6<チュン・ウー・チェン>

2004年08月05日 17時47分48秒 | 銀英伝人物評
チュン・ウー・チェンが原作で初登場するのはラグナロック作戦の時だけど、元々は士官学校の戦略研究科の教授。戦略研究科といえばかつてヤンが在籍してた学科だが、ヤンが仕官学校を卒業した時にチュン・ウー・チェンは27歳なので実は年は近い。

士官学校の学生たちからは”パン屋の二代目”というあだ名をつけられていた。由来は戦略研究科の教授に任官する直前に士官学校に下見に行った所、学生から出入りのパン屋と間違われたから、というエピソードは有名な話。
容貌が冴えないという点ではヤンもそうなのだが、同盟軍においてヤンに次ぐ戦略家であるチュン・ウー・チェンがこの点も共通しているのは作者のキャラ作りの特徴なのか?

思いっきり余談だけど、ラグナロック作戦時の総参謀長(つまりチュンの前任者)はオスマン中将だけど、この人の説明は何にもない。

そのオスマンが急性脳溢血で倒れて、そのまま更迭されたために後を受けて総参謀長に就任した。当時の軍首脳の顔ぶれは宇宙艦隊司令長官アレクサンドル・ビュコック大将を中心に、パエッタ、ラルフ・カールセン両中将。あとは・・・いないな。
で、チュン・ウー・チェンはイゼルローン要塞で攻防戦を繰り広げているヤン・ウェンリーに要塞を破棄させて帝国軍本体の迎撃にあたらせることをビュコックに提案し、それを受け入れたビュコックはヤンに
「責任は宇宙艦隊司令部でとる、最善と信じる方策をとるように」
という命令を下した。チュンはこの短い命令だけで、ヤンがイゼルローン要塞を放棄すると断言し、実際にこの命令を受けたヤンは要塞を放棄するんだけど、当時のヤン艦隊の幕僚たちが要塞の放棄に驚愕したことを思うと、ヤンとチュンの戦略家としての思考はかなり似通っていたということかな。

その後、ビュコックの参謀として、ランテマリオ星域で帝国軍を迎え撃つ(第1次ランテマリオ会戦)。これはヤン艦隊の到着までの時間稼ぎが第一の目的だったけど、ビュコックは敗戦の責を負って自殺しようとした。が、チュン・ウー・チェンに止められ、戦犯として生き残るよう説得される。ってことはこの時のチュンは、ヤンが帝国軍を破ることを想定はしておらず、同盟が帝国に屈した後に、戦犯として統合作戦本部長ドーソン、ビュコック、そしてチュンの3人が責任をとることでヤンにまで責任が及ぶのをとどめようと考えていたってことだろう。

バーラトの和約後、ビュコックが退役したため、宇宙艦隊司令長官代理として、残務処理を請け負う。
だがラインハルトが大親征を敢行したためチュンは現役復帰したビュコックと共にマル・アデッタ星域で最後の決戦に臨んで、ビュコックたちとともに戦死。

チュンはヤンのことを、用兵家としての才能よりも、民主主義国家の軍隊を、その建前どおりに導いた人物として高く評価していた。実はヤンと会話するシーンはなく、実際にしてなかったとおもうけど、誰よりもヤンの本質を知っていたんじゃないだろうか・・・。そのまま生き延びてイゼルローン共和政府のブレーンになっていたらおもしろかったのに。


銀英伝人物評5<エルネスト・メックリンガー>

2004年08月05日 17時20分06秒 | 銀英伝人物評
芸術家提督と呼ばれる異色の軍人だけど、芸術を嗜んでいたにも関わらず軍人になったのはなんでだ?
まぁおそらく平民の中でも比較的裕福な家庭だっただろうとおもうが。

第4次ティアマト星域会戦時(帝国歴486年)には准将として、ラインハルトの参謀を務めている。この時両者は互いの存在を認めあい、以来メックリンガーは、彼独自の人脈から得た情報をラインハルトに流すようになったが、この時点ではラインハルトの野心は知らなかったはずだから、単純に好意を持ったってことだろう。

軍事については単独で活躍する場面こそないが、ミュラーやビッテンフェルトと同じように昇進していったところを見ると、ラインハルトの期待には十分に応えられるだけの才能は持っていたと思われる。特に「広い視野で戦局全体を見、状況によって的確に兵力を配置できる戦略家タイプの軍人(『ウィキペディア』)」と評されてるので、ヒルダが皇妃になった後を受けてローエングラム王朝の3代目幕僚総監の任になったのは妥当、というかヒルダより才能は劣ると見られていたとしたら泣ける。

ラインハルトを「人生そのものが芸術」と評して、わりと距離をおいてラインハルトを観察していたのが実は物語的に与えられた役割なんだろうなぁと勝手に思ったりもするが、それにしてもOVAではなんで犬みたいな髪型なんだろう・・・。

銀英伝人物評4<ナイトハルト・ミュラー>

2004年08月05日 16時16分22秒 | 銀英伝人物評
初登場はリップシュタット戦役で、その時の階級は中将。戦役後に大将に昇進した。何気にラインハルト・キルヒアイスを除けば、その昇進のスピードは破格といえるくらいなのでラインハルトが早くからその才能を買っていたのが伺える。
最も高く評価された場面は、ロイエンタールの助命をミッターマイヤーが自身の地位と引換にラインハルトに嘆願したとき、後任の宇宙艦隊司令長官にミュラーを推した場面だろう。

要塞対要塞の戦いではケンプの副官として出撃するも、敗戦。この時点の描写ではあまり有能という感じはしない気がするがどうだろう。
余談になるが、この敗戦で負った傷のために、軍務復帰後も左肩がこころもち下がるようになった。

が、後の人格的成長ぶりと用兵家としての活躍を見ると、この敗戦で成長したのだろうか?ミュラーが後に双璧に次ぐ地位を与えられたにも関わらず一度も傲慢な態度をだすことがなかったのは、まわりの高級士官が皆年長者とういこともあるが、なんとなく謙虚さを学んだんじゃないかと思ってしまう。
バーミリオン会戦の後、ブリュンヒルトでヤンとミュラーが出会って会話をした際、ヤンに向かって、もしヤンが帝国側に生まれていたらその下で用兵を学びたいと言ったことからもそんな気がする。

その用兵は防御の粘り強さに定評があり、バーミリオン会戦では3度にわたって乗艦を乗り換えながらも身を挺してラインハルトを救ったことから”鉄壁ミュラー”とあだ名される。用兵の特徴によってついたあだ名は確か魔術師ヤン、疾風ウォルフ、鉄壁ミュラーの3つだけなので、有能なのは間違いない。

新帝国成立後に最初に工廠で作られた戦艦パーツィバルを下賜された。軍政についてはロイエンタールやメックリンガーといった先輩格がいたため結局ミュラーの手腕が発揮される機会がなかったのは残念だがそつなくこなせたのではないだろうか。
精神的には常に安定しており、上級大将の中では最年少ながら筆頭格になり、ビッテンフェルトの抑え役になることも何度かあった。
だが活躍のわりにはプライベートについては、独身ということ以外はほとんどと言っていいほど不明で、中尉時代に手痛い失恋をしたらしいということしかわからない。

ラインハルトの幕僚となる前の経歴については外伝「奪還者」で若きフェザーン駐在武官として名前だけ登場したのみ。

敵将であるヤンからも良将と誉められ、その感情はヤン艦隊全員の共通のものになったのか、ヤンの弔問にイゼルローンを訪れたときも友好的に迎えられている。

そのヤンは、バーミリオン会戦でミュラーの戦いぶりを見たとき、ラインハルトはミュラーを部下に持ったという一事を持って歴史に名を残せると賞賛を惜しまなかったからやっぱり有能なんだけど、原作を読む限りはあまりわからない・・・。

銀英伝外伝その3「決闘者」

2004年08月05日 14時51分12秒 | 銀英伝外伝
「決闘者」

貴族間の決闘の代理人となったラインハルトが暗殺者と戦う話。

ストーリー:
帝国歴483年、大尉に昇進し軍務相の内勤になったラインハルトとキルヒアイス。ある日アンネローゼの友人であるシャフハウゼン子爵夫人と会った時、彼女の夫が、自分の鉱山をヘルクスハイマー伯爵(リッテンハイム侯爵の眷属)に狙われ、決闘で白黒つけるよう迫られていることを聞く。しかも決闘は本来代理人を立てて行うのだが、その代理人が見つからないと聞いて、ラインハルトは姉の友人の危機を見捨てられぬと自ら決闘の代理人に立候補してしまう。

ちなみに決闘は火薬式の銃(または剣)で行うのだが、貴族のショー的要素の強い決闘の儀式においては、相手の命を奪うのは非常識とされている。だがこの話を聞いたベーネミュンデ侯爵夫人は暗殺者を雇い、ヘルクスハイマー側の決闘代理人と入れ替えさせる。

決闘では銃の打ち合いでラインハルトが勝ったものの、剣での勝負で劣勢に立たされてしまう。だが、皇帝から決闘の中止命令がくだることで鉱山の権利は折半ということになり問題は解決した。プライドを傷つけられたラインハルトは、暗殺者からの挑戦状を受けて、再戦することに。剣の訓練をみっちり積んで本当の決闘に臨んだラインハルトはあわやというところで真剣白刃取り(ここは笑うところ)で形勢逆転。暗殺者は自害する。

無論、こんなことで昇進はできない。

見所としては、ルッツ(少佐)の登場・・・くらいか。ルッツが射撃の名手だということでラインハルトに火薬式銃の扱い方を教える。決闘者からの挑戦状をキルヒアイスにとぼけるラインハルトとそれに感づいたキルヒアイスとのやりとりも面白い。

次回予告のコピーは「守るべきものは、誇りか、夢か、それとも愛か」

銀河英雄伝説外伝 決闘者