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ゲーム攻略、読書感想文など。

銀英伝人物評45<ブルックドルフ>

2004年08月23日 19時35分00秒 | 銀英伝人物評
コアなファンじゃなければ「誰それ?」という人物だ。全然書くことがないのだが…

旧帝国で大審院判事および法学博士。厳格な法律家であり明敏な頭脳を持っている。
外伝でベーネミュンデ侯爵夫人の自裁に立ち会っている。たしかセリフはなかったと思う。

ローエングラム王朝では初代司法尚書。要は法学・法律のエキスパートということだ。
本伝で唯一の出番は、ロイエンタールの身辺調査。
ことの始まりは同盟特使ウィリアム・オーデッツがラインハルトへの謁見が適わなかった後、ロイエンタール謀反の噂をばら撒きまくったことに始まる。それに飛びついたラングはブルックドルフに真相の究明を要請した。
ブルックドルフはこれに対し、わざわざオーディンからフェザーンへ行き、オーベルシュタインの了解のもと臨時執務室を設けて調査した。結果、リヒテンラーデ一族の女性(エルフリーデ)の存在が判明。
それでも、これがロイエンタールを陥れようとする罠ではないか、と疑ったあたりこの男は公明正大だ。だがエルフリーデが、ロイエンタールの子を孕んでいる事実はともかく、他に不穏当な発言をしていることを偽証してしまった。
この調査結果はすぐにラングに取り上げられてしまい、ラインハルトに提出された。なぜラングが取り上げられることができたかというと、ロイエンタールの行為自体は法に抵触していないため、司法省の管轄外にあたるからだ(とラングは説得した)。
内容はたいしたことないのだが、ブルックドルフがサインをしている書類である、という部分が重要。この報告書は、イゼルローンに遠征しようとしていた帝国軍の足を止めたため、「一千万人の足をとめた一通」と言われる。

無論、ラングに利用されたわけだが、ブルックドルフ自身が、ラインハルトを頂点とする軍部独裁の政府の雰囲気に対して面白く思っておらず、また謹厳な法律家としてロイエンタールの漁色を快く思っていなかったので、掣肘するチャンスと思っていた。そしてまんまとその心理を利用されたわけだ。

それ以外には特にエピソードがない…。

銀英伝人物評44<フレデリカ・グリーンヒル・ヤン>

2004年08月23日 19時23分44秒 | 銀英伝人物評
有名過ぎて紹介するべきエピソードはないが・・・

14歳の時エル・ファシルでヤンに出会って以来ぞっこんになる。それがきっかけで軍人になったようなことが書かれていた気がしたが、別の個所にはそれ以前から士官学校への受験の準備を進めていたようなことが書いてあった気がする。これはそのうち確認しないと…

士官学校を次席の成績で卒業。第13艦隊が結成された時、統合作戦本部情報分析課から異動してくる。階級は中尉。以後はずっとヤンの副官になる。ちなみにヤンの副官になる経緯について、小説版では、ヤンから若くて優秀な人材を要求されたキャゼルヌが手配しているが、OVA版ではドワイト・グリーンヒルが手配している。
職務だけでなくプライベートでもユリアンと結託してヤンの不摂生を戒める役割も持つ。ヤンがフレデリカに苦情を言うと(イゼルローンでロイエンタールと戦った時)、それをキャゼルヌが聞いたら「逆だろう」というようなことも書かれている。

バーミリオン会戦前夜にヤンにプロポーズされ、退役後結婚。結婚式では「まるで姫と従者」とか「最大の戦果」とか「奇蹟の名にふさわしい」などとヤンが言われてしまうあたり、かなり不釣合いなカップルだったようだ。
抜群の記憶力を持つが、料理が不得手。キャゼルヌ夫人に料理を習うがキャゼルヌの娘と同格扱いを受けるあたり面白い。
ヤンが政府に逮捕されると、その救出に乗り出し、ヤンが射殺されそうなところを救う。

回廊の戦いが終わった後、インフルエンザにかかったためにラインハルトとの会見に同行しなかったが、一緒に行っていたらやっぱり運命は変わっていただろう。
ヤンの死後にイゼルローン共和政府の主席に就任。就任のスピーチはかなり感動した。
ヤンの弔問に訪れたミュラーに会い、「美しい人でした」と言われる。ちなみにヤンの遺言を聞けなかったことに関しては少しも後悔していない。「ごめん」と言ったに違いないと確信しているからだ。

後にヤンの怠惰な性格について、ユリアンは極力弁護しているのに対し、彼女は弁護するどころか怠惰が美徳のように言いかねないため、ヤンを知る上では彼女の発言はあまりあてにならないとユーモアたっぷりに書かれている。

よく考えたら父親はクーデターを起こして国家の反逆者となり、夫はテロで殺され、自身は民主共和主義の砦の代表者となったわけだから、この物語で一番すさまじい人生を送っている。

銀英伝人物評42<ユリウス・エルスハイマー>

2004年08月23日 18時43分27秒 | 銀英伝人物評
ほとんど書くことがないが、とりあえず挑戦。ルッツの義弟(妹の夫)。ロイエンタールが新領土総督に赴任した際、ラインハルト自身の推薦によって民事長官として同時に赴任。以前の経歴は内務省次官と民政省次官を短期間に歴任したと紹介されている。新領土内で叛乱が多発していたが、治安を守るべき立場としては、動じずに必要最低限の要求のみを軍隊に求め、ロイエンタールからは肝の座った男と評される。

最初で最後の見せ場はロイエンタールが叛乱を起こした時。ロイエンタールに去就を訊ねられたエルスハイマーは、公人としての立場で叛乱に荷担できないことを告げた後、ルッツの死の責任がロイエンタールにあることを明言し、それが法的かつ道義的に解決しない限り味方をする気にはなれないと告げる。
無論、半分は殺されるのを覚悟して言ったのだろう。これに対し、自分の叛乱になんら正当性がないのを自覚していたロイエンタールは、「公人としての意見は陳腐で平凡だが、私人としての意見は勇気と正義、ふたつの条件に適っている」と賞賛した。
これはロイエンタールの理性がまっとうであることを示すエピソードなのだが、「勇気と正義」という言葉がでるあたりなんかかっこいい。書きたかったのはそれだけ。

この後、ロイエンタールは、エルスハイマーが叛乱に荷担しなかったことを明記した書類を作成してエルスハイマーに与えて、自分が敗れた後にエルスハイマーに迷惑がかからないようにし、自宅に軟禁した。

ロイエンタールがランテマリオで敗れてハイネセンに戻ってくると軟禁を解かれて、政務を任された。たぶんワーレンが新領土を統括するときもそのまま残ったと思われるが、この後は登場しない。

なんかロイエンタールのことばかりになってしまった…

銀英伝人物評42<フランツ・フォン・マリーンドルフ>

2004年08月23日 18時16分03秒 | 銀英伝人物評
伯爵。初登場はカストロプ動乱の時。マリーンドルフ家とカストロプ家が縁戚関係にあるため、叛乱をやめるよう、説得に訪れていたのだが逆に監禁されてしまうというハードな登場の仕方をする。というか直接乗り込むこと自体危ないだろ。よく考えろといいたい。だがこれが後々の伏線になるとは…

アムリッツァ後、帝国が二つの勢力に分かれる中でどちらの勢力につくべきか迷っていた。というか貴族側につくべきだと思っていた。この時点でかなりマイナスだと思うのだが、娘のヒルダにすべて任せてしまった。原作では後に、この一事をもってマリーンドルフ伯の見識の広さを称えるべきみたいなことが書かれている。たしかに表舞台には決して登場しないはずの女性に(しかも若い)すべてを委ねるというのは尋常な決断ではない。おそらくラインハルトもそこを評価し、ローエングラム王朝の国務尚書に任命したと思われる。

長年続いた貴族社会にあって、大部分の貴族は特権意識に溺れ結局身を滅ぼしたのだが、マリーンドルフ伯にはそういう意識を描写する場面がないので、それなりに先見の明があったのだろうか。
国務尚書としての仕事は、最初のパーティーくらいで後は、、、なんかあったかな?仕事の能力については、原作内に、与えられた仕事は無難にこなす能力があることと、創造性を必要とする仕事には向いていないとある。

ただ、ヒルダが妊娠したのを知り、国務尚書を辞退する決意を固めたのはさすがといいたい。後任にミッターマイヤーを挙げた時、「私ですら務まったのだから」と冗談を言ったが、大半の読者には冗談に聞こえなかったのではないだろうか。
ちなみにラインハルトの異常なまでの性欲の無さを、17世紀の北方の流星王に例えているが、これはおそらくスウェーデンのカール12世のことと思われる。

銀英伝人物評41<オリビエ・ポプラン>

2004年08月23日 15時54分20秒 | 銀英伝人物評
銀河英雄伝説 Vol.18同盟軍のエースパイロット。第13艦隊結成時に配属され、戦闘とその他もろもろの場面で活躍する。
特に僚友のイワン・コーネフとの毒舌の応酬は漫才のようで、読んでいて楽しい。
ヤン艦隊の性質上、新兵が多いため、彼らを率いて戦わなければならないポプランは3機一体となって敵1機を撃墜する戦法を行わせた。これが空戦史では画期的な出来事であったらしく、ポプランの名は空戦術の一派として後世に残ったらしい。ただし本人は個人の技量によって敵機を葬ることに美学を見出しているのため、他人とつるむことはない。
生涯撃墜数は250機を超え、空戦史上ベスト10に入る戦果を上げた。ようするに天才パイロットということだ。

ただしポプランの本領はそれよりもプライベートにあり、その道ではシェーンコップとともに同盟軍の双璧と言われている。シェーンコップが大人の魅力で誘惑するのに対し、ポプランの場合は底抜けの陽気さで魅了するタイプなのだろうかと昔は思ってたが、読み返すとまた印象が変わるかも。
過去には色々あったらしく、苦労人にふさわしく年下の面倒見が良い。空戦についてはユリアンとカリンの師でもある。それにしてもコーネフやヤンが死んだ時に見せた「精神の骨格」はすさまじいものだった。
ヤンの死後は努めて明るく振舞っているようにユリアンに見られる。
格闘技術もいっぱしで、地球やイゼルローン再奪取作戦で活躍したが、まさか最後にキスリングと一騎打ちをするとは思わなかった。キスリング自身も陸戦での活躍を買われて親衛隊長になった男だけに、こいつと引き分けたのは何気にすごい。
最後はユリアンたちと別れ(この場面はちょっと寂しかった)、独自の道を歩むことに決めたがどんな生活を送るのだろう・・・。

劇場版では、敵味方のどちらが勝つか、僚友と賭けを行っているところをヤンに見られる場面がある。