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銀英伝人物評49<ハインリッヒ・フォン・キュンメル>

2004年08月25日 13時40分09秒 | 銀英伝人物評
キュンメル男爵家の20代目当主。ところが生まれた時から先天性代謝異常という病気を抱えていたため、明日をも知れぬ命をひきずったまま成長する。外見は目鼻立ちは端正だが、肉付きが薄く血色も悪い。
両親がいないため、叔父であるマリーンドルフ伯が後見人としてキュンメル家の財産を管理していたが、それを横領するようなことはマリーンドルフ伯はしないため、これが彼の名声を高める一因ともなっている。
キュンメル男爵の従妹のヒルダは、昔から彼の面倒をよく見ていて、願いはなんでもかなえてあげようとしている。

ただベッドに臥せっているだけの人生を送らざるを得ない彼は、何かを為してから死にたいと願い、地球教の陰謀に荷担する。そしてキュンメル事件が起きるが、この時のラインハルトとの会話が面白い。
ラインハルト自身は延命とか、生命を守ること自体を目的とする言動は絶対に行わないため、いくらキュンメル男爵が脅迫してもまったく効果がない。殺すなら勝手に殺せ、という態度。会話が脅迫する側とされる側のものになっていない。
ラインハルトのペンダントに興味を持ち、それを見せるよう要求するが、断固として拒むところは完全に子供のようだ。シュトライトとキスリングが渡すよう進言するが彼らの慌てッぷりも面白い。結局奪い取ろうとしたが逆に殴られたため、暗殺に失敗し、死んだ。この時、隠れていた地球教徒が現れてラインハルトを殺そうとするが、それは次席副官リュッケによって阻止された。こいつが目立ったのってこれくらいかも。

ちなみに首謀者が地球教だと判明していたため、キュンメル男爵自身の罪は問われることはなかった。

銀英伝人物評48<シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ>

2004年08月25日 10時47分44秒 | 銀英伝人物評
子爵家の令嬢。のちに侯爵夫人。たぶん15、6歳の時にフリードリヒ4世の後宮に納められる。原作の本伝には登場していない。皇帝の寵愛を受け、子を身篭るが流産してしまう。これはブラウンシュヴァイク公が医師を買収して生まれたばかりの赤子を殺させたという説が有力で、彼女自身も信じている。その後も流産を繰り返し皇帝の寵愛は去った。

やがてアンネローゼが後宮に納められると、皇帝から見向きもされなくなった孤独な生活が始まる。そして皇帝の寵愛を奪ったと信じているアンネローゼを激しく憎むのだが、さすがに皇帝の寵姫に危害を加えるわけにはいかないので、代わりにラインハルトを殺そうと、宮廷医師グレーザーを使って数々の陰謀を企む。外伝で言うと「白銀の谷」「黄金の翼」「決闘者」など。

実のところ、アンネローゼがいなくなったところでベーネミュンデに寵愛が戻ることはないのだが(ラインハルトも理解に苦しんでいた)、本人はそれを信じて疑わない。リヒテンラーデ侯爵ですらこの女を持て余してしまい、新無憂宮を出るよう言われたときのベーネミュンデの反応は面白い。

ベーネミュンデの腹心の医師グレーザーは、別に彼女に忠誠を誓っているわけではなく、単に彼女の持つ財産が目当てであり、最後のほうは道連れにならないよう色々影で画策していた。

ラインハルトの策謀によって、不名誉な噂を流されたため、追い詰められたベーネミュンデはアンネローゼ自身を害そうとするが、ラインハルトやロイエンタール、ミッターマイヤーの活躍によって失敗に終わる。そして皇帝から自裁を賜る。

典礼尚書に、アンネローゼが死んだため皇帝から呼び出しがあると偽られたベーネミュンデは歓喜して身支度をして出立した。ところが行き先は別の場所。しかも自分が毒を仰いで死ななければならないと告げられた彼女は、逆切れしてブラウンシュヴァイク公をたちを弾劾、さすがのラインハルトも思考がストップするほどの修羅場となった。その際ラインハルトは唾をかけられるのだが、その唾から香り玉の匂いがした(宮中の女性の嗜みとして香り玉を口に含んでいた)のを嗅いで、ほんのちょびっと憐む。

ベーネミュンデの死に対して、皇帝も憐れむが、その時のセリフは達観していて面白い。でもこの人の人生は可哀想だなぁ。後宮に納められたときはまったく正反対の性格であったというから、彼女の陰湿さやヒステリックなところは後天的なものに違いないのだが、それにしても女の嫉妬は恐ろしい。