
合理的・論理的思考に富んでおり政治のセンスも抜群のためラインハルトに信頼され首席秘書官となる。特に他人の心理を洞察することにかけては異常といっていいくらいの嗅覚を見せ、大親征で同盟政府が自滅することを予見したり、シュタインメッツの遺産の受け取りをグレーチェンが拒否することを事前に読んでいたりと、その真価が遺憾なく発揮されている。
また、ラインハルトが皇帝になったあとの不敬罪の定義などを決めたり、イゼルローンが左遷先になるのを阻止したりとか、細かいところにも気がつく。オーベルシュタインとは実は理解しあえる仲なんじゃないかという気もしてくる。
が、その性格上、勘というものは信じないのだが、ロイエンタールの野心については漠然と不安を感じていたようで、バーミリオン会戦の時にはあえてミッターマイヤーにハイネセン急襲の策を話した。
残念なことにシュタインメッツの死後は大本営幕僚総監になったため政治的発言権はなくなったが、これも彼女の天性の感覚がなせる業のひとつといっていいだろう。
そのおかげでブルックドルフの署名で提出された「ロイエンタールに不穏の気配あり」という報告書で、一度ロイエンタールはラインハルトの審問を受けた際、その処置に対する意見を求められた彼女は即答を避けたのだが。
おそらくもっともその能力が発揮されるのは外交だと思うがどうだろう。
フレデリカと比較してみると、彼女がヤンに対してはっきりと思慕の情を持っていたのに対し、ヒルダは私が陛下のお相手なんて恐れ多い、みたいな発想だったので二人の進展は遅かった。結婚後も皇帝と皇后というそれぞれの役割がそのまま私生活にも入り込んでいるような感じに見えた。