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ゲーム攻略、読書感想文など。

銀英伝人物評40<アルツール・フォン・シュトライト>

2004年08月23日 15時31分50秒 | 銀英伝人物評
帝国軍准将で、ブラウンシュヴァイク公の部下だった。外伝では時々登場している。リップシュタット盟約が結ばれたとき、ラインハルトの暗殺を献策して退けられている。注目すべきは暗殺の理由として、大規模な戦闘では民衆が巻き添えになるからとしているところ。フェルナーが暗殺を勧めた本音が、単に勝ち目がないからというのとは違うのだ。

ブラウンシュヴァイク公がオーディンを脱出した際取り残されてしまったため逮捕されてラインハルトの元へ出頭。ブラウンシュヴァイク公のところへ行っていいと言われたが、猜疑心の塊である公の下へ今更戻ってもあらぬ嫌疑をかけられるだけと読みきっていたため、そのまま下野することを許される。
このあたり、同じことをして殺されたオフレッサーとはさすがに格が違う。ただの忠誠心だけの男ではなかったということだ。

リップシュタット戦役後、領地を取り上げられた貴族から、ラインハルトに便宜を図ってもらうよう頼まれたため、ラインハルトに嘆願するが、なぜシュトライトに頼んだのかは謎。どう考えてもこいつに頼むのは筋違いとしか思えないのだが・・・。結局シュトライトは嘆願を受諾されるかわりにラインハルトの首席副官の地位につかされる。能力が評価されていたということだ。ちなみに前任者はいたのだが、誰もラインハルトの副官が務まらなかったため、空席になりかけていた。
何気にミナミの中ではこの首席副官とヒルダの首席秘書官がごっちゃになっていた。しかも次席副官とかいうのもあるし。

以後は常にラインハルトの側にあって、数々の進言・諫言を行うが、事務的な部分はともかく、他の部分ではヤンに対するムライに近い立場で、たいしてラインハルトの覇業に役立っていたようには見えない。それでも得がたい人物ではあったと思うのだが、諫言をする臣下を側におくというのはやはりラインハルトが名君であった証といいだろう。
ちなみに作中でラインハルトに結婚を奨めたのはこいつとオーベルシュタインとマリーンドルフ伯の3人のみ。

銀英伝人物評39<アウグスト・ザムエル・ワーレン>

2004年08月23日 14時43分51秒 | 銀英伝人物評
銀河英雄伝説外伝 奪還者ラインハルトが元帥府を開いたとき、帷幕の一員となる。
外伝では「奪還者」でラインハルトが艦長を勤める巡航艦の副長として登場。
リップシュタット戦役ではキルヒアイスの元で戦っている。ラグナロック作戦ではヤンから補給物資を奪おうとして罠にはめられたくらいで、あまり見せ場がない。
やっと見せ場が来るのは地球征伐の時。ただし途中で地球教徒に襲われて左腕を義手にするハメにもなっている。まぁそれでも指揮をとりつづけるあたりは流石といってよいのか。

味方からは確かな手腕を持った男としてけっこう高い評価だが、とにかく地味。幕僚もほとんど登場しないし。地球征伐の後の動きは、たしか大親征では最初オーディンに残留し、後にフェザーンへ移動。そこでテロに遭ってしまったが、事故の処理をした後に進発。回廊の戦いの最中はハイネセンと回廊の中間地点に待機して、大本営の後方警備みたいな役割を担っている。ヤンの死後は一度フェザーンに戻っている。

第2次ランテマリオ会戦ではミッターマイヤーの指揮下にあって、ロイエンタール軍と戦い、旗艦が直撃をくらったにも関わらず最後まで奮戦。ロイエンタール死後はハイネセンで新領土の統治にあたり、そのためにラインハルトの結婚式には参列できず。逃亡中のランズベルクが発見されたのもこの頃。

次の見せ場はダウンティング街の騒乱。黒色槍騎兵と軍務省の憲兵隊とのにらみ合いのど真ん中に装甲車で突っ込み、騒動を抑えた。これはかっこよかった。

イゼルローン共和政府と最初に交戦したのもこいつで、トゥール・ハンマーの最後の被害者にもなった。ユリアンとは地球以来、色々因縁があるようだ。シヴァ会戦ではそれほど活躍はしておらず、ラインハルトが死ぬ間際に地球教徒が襲ってきた時、ド・ヴィリエを射殺したユリアンと会話したのが最後のセリフ?その前にはビッテンフェルトと喧嘩してアイゼナッはに水をぶっかけられた。

読者からは軽んじられている男だが、帝国軍の中では誰もワーレンを軽んじていないところにギャップが。でもこういう男が上司だと仕事もやりやすいだろう。

銀英伝人物評38<エドウィン・フィッシャー>

2004年08月23日 14時28分06秒 | 銀英伝人物評
同盟軍第4艦隊の准将。第13艦隊の結成にあたり、アスターテで崩壊した第4艦隊を吸収したことから同艦隊の一員になったと思われるが、艦隊運用に関してはヤンの抜擢を受け、すべてを任される。
艦隊運用とは、陣形を作る際の各艦の動き等の指揮のことだと思われる。このあたり明確な説明がないのはちょっと困る。。。

アムリッツァ戦役でキルヒアイス艦隊と交戦したとき、ヤンがわざわざフィッシャーをヒューベリオンに呼んで陣形作成を指示している場面があったり、回廊の戦いでは座標軸を各艦に指示する場面がある。思うに、広大な宇宙空間にあって陣形を組む際、各艦単位では自分がどこに位置しているか、多数の艦隊が縦横をどのように並べばがいいかといった把握は非常に困難なことだと思われ、それを掌握・指示するのが上手だったのではないだろうか。

それだけにとどまらず、フィッシャーがいる限り宇宙空間で迷子になることはない、というようなことが原作に書かれていたし、生ける航路図というあだ名もあったことから、単に一戦場における敵との位置関係の掌握にとどまらず、宇宙という広大な空間での位置掌握に才能があったと思う。
その手腕はヤンの戦術を実行する上で非常に貴重なものであったのは言うまでもない。

アムリッツァ会戦後、イゼルローン駐留機動艦隊副司令官に就任。
バーラトの和約後、辺境にとばされたが、チュン・ウー・チェンによって呼び出され、譲渡された艦隊を率いてヤンの元に向かう。そして回廊の戦いでビッテンフェルトの猛攻の前に死んでしまう。地味な人物だが、死に際の描写がないのが悲しい。ちなみに艦隊司令官としての腕前はあまりたいしたことはなかったらしい。

同名のピアニストが過去に実在していたのは有名な話。

銀英伝人物評37<ダスティ・アッテンボロー>

2004年08月23日 12時11分52秒 | 銀英伝人物評
ジャーナリストを志望していたが、軍人になってしまう。この経緯に関するエピソードは「螺旋迷宮」で語られている。アッテンボローの父が結婚する際、軍人である相手の父(ダスティの祖父。名前は同じダスティ)に猛反対され、結局男の子が生まれたら軍人にするという条件で結婚を認められた。
その後祖父は死んだが、父は遺言を忠実に守りダスティをどうにかなだめて士官学校を受験させる。そして他の志望校に落ちてしまったため、やむなく士官学校に入学することになったのだ。

ヤンとは士官学校時代から知り合いだったようで、「螺旋迷宮」ではアルフレッド・ローザスの葬儀で士官学校生のアッテンボローとヤンの会話シーンがある。

後、原作では第10艦隊に所属し、帝国侵入作戦の際、リューカス星域で司令官のウランフが死んだ後は残存艦隊をまとめて帰還する。OVAではずっとヤンと同じ艦隊ということになっているが。
アムリッツァ会戦後、残存の第10艦隊はすべてヤンの指揮下に置かれ、イゼルローンの駐留艦隊になったので、アッテンボローがヤンの指揮下に入るのはここからだろう。

出世のスピードだけでいえば実はヤンより早く、ヤン艦隊の作戦にはイゼルローン再奪取作戦をのぞいてすべて参加。バーラトの和約後、ヤンが拉致されると革命戦争に身を投じ、ヤン死後のイゼルローン共和政府の軍首脳としてユリアンを盛り立てる。ヤンが死んだ時に泣く描写がないのは、彼自身の革命観として、死を常に隣り合わせに考えていたから、と思うのはうがちすぎか。

ヤンよりも剛柔のバランスがとれた男で、戦術眼も非凡なものを持っているそうだ。特に敗走のふりは無類の上手さ。でも帝国の一線級の指揮官には及ばないような感じはするのだが。。。
女ッ気がなく、本人も独身主義を貫くつもりらしいが、何気にカリンには気があったのではないか、という気もする。ちなみにカリンがシェーンコップの隠し子だと最初に気付いたのはこいつだったっけ。

銀英伝人物評36<ウォルター・アイランズ>

2004年08月23日 10時43分16秒 | 銀英伝人物評
トリューニヒトの子分として、何度か原作内で名前が登場。国防委員長のネグロポンティが査問会の責任をとり辞職した後、その後任におさまる。

トリューニヒト自身が国防委員長をしていた時から、軍需産業との癒着があり、そのおこぼれに与っていた自他ともに認める三流政治業者であった。しかし帝国軍がフェザーン回廊を通過して同盟が滅亡の危機を感じ始めた時、急に使命に目覚めてビュコックら軍首脳をバックアップし始めた。
この劇的な変化が彼の株を上げるとともに、レベロとキャラがかぶって最初の頃はあまり区別がつかなかった(OVAでは外見が似ているので)。そうでもなけりゃたぶん誰それ?で終わったと思うのだが。

トリューニヒトの子分としては、どちらかというと格下の方ではないだろうか。見逃せないのは、トリューニヒトの息がかかった政治家・軍人のうち、フルネームで登場するのはこいつだけだというところ。作者のひいきか。

帝国軍がハイネセンに襲来した時、あっさり降伏勧告を受諾しようとしたトリューニヒトを制しようとするが、ここで過去のスキャンダルを暴露されまくったのは非常に醜悪なシーンだったが、まぁこの頃の同盟の高官はアイランズに限らず、みなこうだったのだろうと思われる。

結局バーラトの和約後は引退してしまった。オーベルシュタインの草刈りにも名前が登場しない(間違いなく捕まったと思うのだが)のは残念。

ヤンがランテマリオ会戦で同盟艦隊を救ってハイネセンに戻った時、彼との会談で、ラインハルトを倒すことが唯一同盟軍が勝つ方策だと聞かされた。この時、アイランズが人生でこれほど真摯に一人の人間の死を願ったことはなかった、というようなことが書かれているのが笑った。